安倍晋三元首相銃撃事件で起訴された山上徹也被告(45)は2日、奈良地裁(田中伸一裁判長)で開かれた裁判員裁判の被告人質問で、2022年7月8日に安倍氏を銃撃した理由について「安倍元首相は世界平和統一家庭連合(旧統一教会)と政治の関わりの中心にいた。他の政治家では意味が弱い。銃撃断念は教団への敗北で
俳優黒沢年雄(81)が2日、ブログを更新。高市早苗首相の台湾有事をめぐる発言に対する中国側の対応に私見を述べた。 黒沢は「中国問題が一部の政治家、ジャーナリスト、知識人が、曖昧のお陰で今まで中国と上手く交流して来たと発言しているが…そも…
旧統一教会の問題が社会の前に可視化されてから、私たちはようやく「宗教2世」が背負ってきた現実の深刻さに向き合い始めました。今回、安倍元首相を銃撃した山上徹也被告と同じ環境で育った妹さんの証言は、母親の記憶の空白を埋めるだけでなく、宗教的虐待がどのように家庭を壊していったのかを、誰よりもリアルに伝える貴重な記録です。メルマガ『詐欺・悪質商法ジャーナリスト・多田文明が見てきた、口外禁止の「騙し、騙されの世界」』では、著者で同教団にかつて信者として身を置いていたジャーナリストの多田文明さんが、山上被告の妹さんの証言から学ぶべきことについて語っています。
宗教2世の立場として育った妹さんの証言は大事なことを教えてくれる
被告と同じ境遇で育った、妹さんの証言は、信者である母親の記憶の飛んでいる部分をしっかりと補完して重要な証言となっています。
母親は子供たちの苦悩がみえないほどに旧統一教会の教義にはまりこみ、宗教的虐待をしてきた姿がありました。
しかしこれは純粋な信者であれば、仕方ない側面ともいえます。
母親が91年に入信した当時、自分の家庭に起こった不幸をもとに、霊感商法でも使われる因縁トーク(悪因縁や悪霊が原因で、家庭が不幸になっている)が心に入れられてしまい、これ以上不幸にならないためには、文鮮明教祖夫妻や教団上層部の指示通りに活動して、サタン(悪魔)による悪の働きかけを排除しなければ
...moreならないと思っていたことでしょう。
しかし、その結果、起こったことはひどいものでした。46回の渡韓を行い育児放棄、多額の献金による生活苦など、被告の子供たちが宗教的虐待を受けて家庭崩壊に陥りました。
妹さんの証言に「(妹さんに)発熱があっても出かけてしまったり、教会のことで頭がいっぱいで、私に対し、かかわりが少なくなりました」「(自分が)14歳の頃に祖父が亡くなってからは、母親と口論して、『私のことをどうして愛してくれないの?』と言ったら鼻で笑われた」というものがありますが、本当に苦しかった時期を過ごしたことがわかります。
この記事の著者・多田文明さんのメルマガ初月無料で読む
反対する祖父と、信者である母親との対立のなかでの板挟み
妹さんの証言を聞きながら、改めて一般の親が児童虐待をするのはとは違い、救いの道がない状況であったことがみてとれます。
被告の家庭は、信者である母親からの児童虐待を受けるだけでなく、教団に反対する祖父との板挟みのなかで、輪をかけて苦しめられたと推察します。
こちらは、山上被告の言葉になりますが(祖父から)「母親が帰ってきても、家に入れないように鍵を閉めて、鍵も回収して、『母親抜きでやっていく』というようなことを言われた」としています。
母親を家に入れると「なぜ入っているのか。誰が開けたのか」と、子供たちが祖父の怒りの矛先となり、責められていたようです。二重苦に陥っていることがわかります。
しかし、祖父の気持ちもわからなくもありません。
教団へ強い批判をすれば、母親の目が覚めて、信仰から離れるだろうとの思いで行動したのでしょう。これまで子供に愛情を注いできた人ほど「きっと気づいてくれる」との気持ちが強くなり、そうした行動をしてしまいがちだからです。
しかし旧統一教会のようなカルト思想をもった団体においては、この行動は逆効果です。信者らは、それをサタンからの攻撃と考え、信仰がより強くなってしまいます。
教団の側でも、反対する親がそのような強い行動に出ることは想定済なので、どのように対策をすべきか、信者に教え込んでいます。
旧統一教会への対応方法への理解が乏しい祖父の行動に加えて、母親の宗教的虐待もあり、被告と兄弟は相当苦しんだはずです。
通常の児童虐待と違い、救いの道がなく、三重苦に陥っていた被告の兄弟たち
それだけではありません。山上被告の兄弟たちは、さらなる苦悩を背負い、三重苦に陥ります。
他の宗教2世もそうですが、この問題の根深さは、通常の親が児童虐待するのとは違い、信者である母親の背後に宗教団体と教義があるために、もし子供が虐待行為を周りに相談しても「宗教の問題」「信教の自由の問題」として片付けられてしまいます。その結果、どこにも相談できないことになります。
そうした社会の状況に加えて、旧統一教会の被害への認識もないために「周りに相談できない」という三重苦の状況にあったはずです。
はからずも、安倍元首相銃撃事件を通じて、その実態が世に明らかになりましたが、本来ならば、もっと早く、宗教2世の実情に気づくことが社会には必要でした。
この記事の著者・多田文明さんのメルマガ初月無料で読む
なぜ、被害者が声をあげられない社会だったのか?
旧統一教会の宗教2世や被害者は、なぜ声をあげられなかったのでしょうか。
それができなかった理由の一つにやはり、政治家と旧統一教会のつながりがあったからだと考えています。当時、現職の総理大臣である安倍一強といわれた時代です。被害者は政治的の権威の前に、被害の声すらもあげられなかった状況があります。
全国統一教会被害対策弁護団による集団調停で、被害者である申立人132人に対して、教団側が合計で約21億3364万円の解決金を支払うことで調停が成立しました。
調停が成立した一人である、母親の相続人である60歳代女性は次のように話しています。
ちなみに、母親は信者として土地の売却代金で全額献金させられるなどして、約2億2000万円の被害に遭っています。その被害に気づき、返金を教団にすべきか、親戚に尋ねたようです。
「母はとても悔やんでいました。でも、親戚から安倍総理とつながりがある統一教会と闘うのは危ないのではないかといわれ、怖いからと諦めていました」と話します。
このコメントは大事で、いかに被害者が政治家と旧統一教会のつながりを前に声を上げられずにきたかを示しています。
霊感商法や高額献金などの被害の声を封じて、葬り去りたい。教団の狙いが確実に社会に浸透していたことがわかります。
政治家が教団にかかわることで、信者らの活動を鼓舞することで被害が広がる点については指摘されてきましたが、被害者が声をあげられない負の側面もあります。
このような声をあげられない社会の姿を二度と繰り返してはなりません。
『信じる者は、ダマされる。元統一教会信者だから書けた「マインドコントロール」の手口』好評発売中!
初月無料購読ですぐ読める! 12月配信済みバックナンバー
いますぐ初月無料購読!
image by: Shutterstock.com
MAG2 NEWS...
高い支持率を維持している高市早苗政権。その源泉とは何か? 「文藝春秋」2025年12月号では、高市早苗首相の「人間力」を総力特集で深掘りしている。「うちは、みんな政治家が嫌いでな」 政治家になるまで、…
戦後日本のジャーナリズム史に、ひとつの濃い影を刻んだ男。NHK会長として「エビジョンイル」と揶揄され、巨悪の象徴のように語られることも少なくなかった海老沢勝二氏が先日亡くなりました。今回のメルマガ『佐高信の筆刀両断』では辛口評論家として知られる佐高信さんが、ノンフィクション作家の小俣一平氏が語る海老沢氏の人となりを追悼として紹介しています。
追悼譜 海老沢勝二
坂上遼こと小俣一平と、どういうキッカケで知り合いになったのか記憶にないが、いまも人なつっこい笑顔で語りかけてくる。
NHKの社会部記者から転じて東京都市大教授となり、弓立社という出版社の社長もした。
私より5歳下の大分県生まれ。
NHKでは検察に食い込み、ロッキード疑獄を解明した吉永祐介の知遇を得る。
NHKを離れたのは海老沢が会長の座を追われたからである。
大鹿靖明編著の『ジャーナリズムの現場から』(講談社現代新書)で小俣が語る。
「実は私はね、海老沢派なんです。『エビジョンイル』などと言われて巨悪のように見られている海老沢さんだけど、素顔は全然違う。
『エビジョンイル』というステレオタイプの報道が、悪いイメージを作り上げてしまった気の毒な面があります。
だって海老沢さんは『俺はでかくて、ハゲで、この風貌だから損している』とよく自分で笑いながら言っていました。
素顔の海老沢さんは、実に太っ腹な、愉快なオヤジという感じ。まあ
...more気が短いところはありましたが」
NHK内の権力闘争で島桂次に追われ、一時、海老沢さんはNHKエンタープライズに移された。
その後、島が失脚し、芸能畑の川口幹夫が会長となって、海老沢は副会長に復帰する。
当時“ワンマンの島、エンマン(円満)の川口、タフマンの海老沢”などと言われた。いずれもNHKの出身だが、その後、外部の財界人などが会長となって、政権批判ができなくなる。
“海老沢派”の小俣の海老沢評を続けよう。
「正月に海老沢さんの家で飲むんですが、いつも和服ですから、昔の親分という感じでね。正月は、お客さんがいっぱいに来るんで、膝を組んだままですが、超美人の女性記者が来た時なんか突然立ち上がって着物を直して正座しなおしたりして。本当に照れ屋で、ひょうきんちゅうか……」
茨城県生まれで、同郷の橋本登美三郎が田中(角栄)派の大番頭だったこともあって、経世会をバックにしていたが、岸信介から福田赳夫を経て安倍晋三に至る清和会が政権を握っていたら会長にはなれなかったかもしれない。
当時の自民党の有力な政治家の名前を挙げながら、小俣が続ける。
「左の宇都宮徳馬や、田川誠一から右の奥野誠亮や藤尾正行まで幅広く抱えているような、NHK内部の極左もファシストも取り込んでいて、めちゃくちゃウイングが広い。仕事ができる人については、キチンと評価していました」
安倍政権でNHKの経営委員に百田尚樹などが起用された。
それについて小俣は「安倍政権が続くうちは、歴史認識を問われるような番組制作は無理」と言っている。
その予言は残念ながら当たってしまったが、安倍信者の高市早苗によって電波支配はいっそう強まると思われる。
エビジョンイルが恋しくならないでもない。
この記事の著者・佐高信さんのメルマガ初月無料で読む
image by: Shutterstock.com
MAG2 NEWS