食品や飲料、トイレタリー、クレンジング商品、パーソナルケアガジェットなどの商品を含む国際的なFMCG市場は、引き続き世界の金融システムの基礎となっています。このFMCG市場は、その遍在性、ペースの速い性質、絶え間ない革新によって特徴付けられ、クライアントの日常生活の重要な部分となっています。FMCG市場の主要な要因の1つは、人口急増です。世界の人口が増加し続ける中、生活必需品に対する需要は一貫してあるかもしれません。FMCGの市場規模は2023年に1兆2,200億2,000億米ドルと評価され、2024年の1兆3,000億米ドルから2032年には1兆7,300億5,000億米ドルに成長し、予測期間(2025年から2032年)の間に3.5%のCAGRで成長する態勢を整えています。無料サンプルをリクエストする レポートのレポート: https://www.skyquestt.com/sample-request/fmcg-market市場概況FMCG製品は、迅速な回転率、比較的低コスト、および幅広い入手可能性を特徴としています。この業界は、消費者行動の変化、技術の進歩、持続可能性のトレンドに大きく影響されています。eコマースとデジタルマーケティングの台頭に伴い、FMCG企業はオンラインプラットフォームを活用してリーチを拡大し、顧客エンゲージメントを強化しています。より健康的でオーガニック
...more、かつ持続可能な製品への需要は、FMCGセクターを再形成しており、ブランドは革新と適応を余儀なくされています。市場成長の主な推進力一. 人口増加と都市化世界人口の増加、特に都市部では、必需品の需要が増加しています。二. eコマースとデジタルトランスフォーメーションオンライン小売と消費者直販(DTC)モデルは、FMCG市場に革命をもたらし、ブランドがより多くのオーディエンスにリーチすることを可能にしました。三. 消費者の嗜好の変化消費者は、より健康的でオーガニックで持続可能な製品にシフトしており、FMCG企業の再処方と革新に影響を与えています。四. 新興市場の経済成長アジア太平洋、アフリカ、ラテンアメリカの発展途上国では、可処分所得が急増しており、FMCG消費量の増加が進んでいます。五. ブランディングとマーケティングのイノベーション企業は、競争力を維持するために、インフルエンサーマーケティング、AI主導の消費者インサイト、パーソナライズされた広告に投資しています。市場セグメンテーション一. 製品タイプ別:o 食品および飲料:包装食品、乳製品、飲料、スナック。o パーソナルケア: スキンケア、ヘアケア、化粧品、オーラルケア製品。o 家庭用品: 洗浄剤、洗剤、使い捨て紙製品。o ヘルスケア&医薬品: 市販薬、ビタミン剤、サプリメント。二. 流通チャネル別:o スーパーマーケット&ハイパーマーケットo コンビニo Eコマース&オンライン小売o Direct-to-Consumer(DTC)チャネル三. 地域別:o 北米: オーガニックで健康志向の製品に重点を置く成熟した市場。o ヨーロッパ: 持続可能性と環境に優しいFMCG製品に重点を置く。o アジア太平洋地域: 急速な都市化とデジタル変革が成長を後押ししています。o 中東・アフリカ: 可処分所得の増加と近代的な小売業の拡大が需要を牽引しています。カスタマイズされたレポートについては、カスタマイズをリクエストするためにお問い合わせください https://www.skyquestt.com/speak-with-analyst/fmcg-marketFMCG市場における課題一. 激しい競争FMCGセクターは非常に競争が激しく、多数のグローバルおよびローカルブランドが市場シェアを争っています。二. サプライチェーンの混乱原材料の不足や物流の問題など、グローバルなサプライチェーンの課題は、生産と流通に影響を与えています。三. 原材料コストの上昇商品価格の変動は、利益率に影響を与え、価格圧力につながる可能性があります。四. 規制とコンプライアンスの問題各国政府は、食品の安全性、表示、持続可能性についてより厳しい規制を課しており、企業には適応が求められています。五. 進化する消費者の期待消費者は、透明性、倫理的な調達、持続可能な包装を求めており、企業にイノベーションを迫っています。FMCG市場の新たなトレンド一. 持続可能で環境に優しい製品ブランドは、生分解性包装、植物ベースの成分、カーボンニュートラルな生産プロセスを採用しています。二. パーソナライゼーションとAI主導のインサイト企業は、データ分析を活用して、パーソナライズされた製品とマーケティング戦略を提供しています。三. Direct-to-Consumer(DTC)の拡大FMCGブランドは、従来の小売チャネルを迂回し、eコマースプラットフォームを通じて顧客と直接関わっています。四. ヘルス&ウェルネスフォーカス機能性食品、オーガニックスキンケア、免疫力を高めるサプリメントは、健康志向の消費者の間で人気を集めています。五. スマート パッケージとデジタル ラベルQR コードと NFC 対応パッケージは、消費者に詳細な製品情報とトレーサビリティを提供します。今すぐ購入して、貴重な洞察を得て最新情報を入手してください:https://www.skyquestt.com/buy-now/fmcg-marketFMCG市場のトッププレーヤー● プロクター・アンド・ギャンブル(米国)● ユニリーバ(オランダ/イギリス)● ネスレ(スイス)● コカ・コーラカンパニー(米国)● ペプシコ(米国)● ジョンソン・エンド・ジョンソン (米国)● ロレアル(フランス)● コルゲート-パーモリーブ(米国)● キンバリー・クラーク(アメリカ)● モンデリーズインターナショナル(米国)● ダノン(フランス)● Mars, Inc.(米国)● レキットベンキーザー(イギリス)● ケロッグ社(米国)● ゼネラルミルズ(米国)● クラフトハインツカンパニー(米国)● AB InBev (ベルギー)● ヘンケル(ドイツ)● Beiersdorf AG(ドイツ)● エスティローダーカンパニーズ(米国)● ハーシーカンパニー(米国)● SCジョンソン社(米国)● Constellation Brands(米国)● Ferrero Group (イタリア)● Coty Inc.(米国)今後の見通し世界のFMCG市場は、企業がデジタル化、持続可能性、イノベーションを採用するにつれて、大幅な成長を遂げる準備ができています。サプライチェーンの混乱や規制の圧力などの課題は依然として残っていますが、eコマース、AI主導のマーケティング、消費者中心の製品開発の進歩により、業界は進化することが期待されています。パーソナライズされた、環境に優しく、健康に焦点を当てた製品に対する需要が高まる中、これらの変化するトレンドに適応するFMCG企業は、市場での競争力を維持します。レポート全文は、以下のURLでご覧いただけます https://www.skyquestt.com/report/fmcg-marketSkyQuest Technology1 Apache Way、Westford、マサチューセッツ州 01886米国 (+1) 351-333-4748メール: sales@skyquestt.com当社の Web サイトをご覧ください: https://www.skyquestt.com/配信元企業:SkyQuest Technology and Consulting Pvt. Ltd.プレスリリース詳細へドリームニューストップへ...
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「学校で習う算数や数学が、実際の日常生活で本当に役立っているのだろうか?」という疑問に、インドの最新研究が鋭い切り口で答えを示しました。
アメリカのMIT(マサチューセッツ工科大学)で行われた研究によって、市場で働く子どもたちは、複雑な計算を瞬時にこなし、暗算で効率的に取引の金額やお釣りを求める一方、教科書に沿った抽象的な問題となると苦戦することが明らかになっています。
逆に、学校で高得点を収める子どもたちは、定型的な問題には強いものの、実際の取引シーンでは単純な計算すらうまくいかず、このギャップは従来の「学校で学ぶ数学=実生活に役立つ」という常識を根底から揺るがす結果となりました。
この記事では、インドのコルカタとデリーで行われた調査結果をもとに、学校教育と実生活における計算能力の間に存在する大きな隔たりについて探ります。
研究内容の詳細は2025年2月5日に『Nature』にて発表されました。
目次
市場で働く子供は学校で学ぶ子供よりも算数が得意なのか?なぜ実践と勉強の間でスキルが移行しないのか?
市場で働く子供は学校で学ぶ子供よりも算数が得意なのか?
多くの人々は「学校で学ぶ算数・数学は日常生活の問題解決に直結している」と信じています。
教科書で習う計算方法やアルゴリズムを身につけることで、家庭の買い物やお金の管理、ビジネスの基本的な取引に応用できるはずだというのが従来
...moreの常識でした。
しかし、最新の研究はこの前提に重大な疑問を投げかけています。
インドのコルカタやデリーで行われた調査では、市場で働く子どもたちが実際の取引現場で驚異的な計算能力を発揮している一方、同じ子どもたちが学校で習う抽象的な数学の問題に取り組むと、成績が大きく低下することが明らかになりました。
逆に、学校で優秀な成績を収める子どもたちは、教室での計算問題には強いものの、実際の市場取引のような具体的な状況下では、基本的な計算すら苦戦するというギャップが存在しています。
この現状は、数学の知識が文脈に依存して身につくため、学習した環境や形式が異なるとその知識がうまく転用できないことを示唆しています。
つまり、教科書に書かれた抽象的な数字や数式と、実生活で直面する具体的な数値や取引は決して同じものではなく、双方に通用する「橋渡し」が欠けているのです。
今回、マサチューセッツ工科大学(MIT)の研究者たちは、インドの二大都市―コルカタとデリー―において、市場で働く子どもたちと学校に通う子どもたちという二つのグループを対象に、実生活での計算能力と教科書で学ぶ抽象的な数学の能力の違いを明らかにするための調査を実施しました。
調査では、インドのコルカタとデリーの地元市場で働く1,400人以上の子どもたちと、学校に通う471名の生徒を対象に、「実際の市場取引を再現する問題」と「教科書形式の抽象的な数学問題」の2種類の課題に取り組んでもらいました。
「実際の市場取引を再現する問題」では、800グラムのジャガイモを20ルピー、1.4キログラムのタマネギを15ルピーで販売した場合の総額や、200ルピー紙幣を渡した際のお釣りの計算など、普段は見かけない数量や単位、価格設定を用いました。
一方、「教科書形式の抽象的な数学問題」では、学校で実施される形式の、3桁の数を1桁の数で割る問題や、2桁同士の引き算といった問題が出題されました。
また、実験では単なる計算の正誤だけでなく、どのような計算戦略(たとえば、数字の丸めや分解による効率的なアプローチ)が用いられているかも詳細に観察されました。
さらに、ストレスやインセンティブ(報酬)の影響など、その他の要因についても検証され、その影響は最小であることが確認されました。
もし市場で働くことと学校で学ぶことの効果に明白な優劣関係があれば、どちらかが両方のケースで高い点数を取ることになるでしょう。
しかし結果は違いました。
【Nature】学校の勉強は実践に役立たず、実践は学校のテストに役立たないと判明 / このグラフのうち番上の段は、市場で働く子ども(左)と学校で学ぶ子供(右)が実際の取引を模した3つの計算問題に対しての正解率です。 真ん中の段は市場で働く子ども(左)と学校で学ぶ子供(右)が複雑で抽象的な問題を解いた場合の正解率です。一番下の段は市場で働く子ども(左)と学校で学ぶ子供(右)が教科書形式の数学問題に取り組んだ際の正答率を示しています。このグラフから、市場で働く子供は実践的な計算が得意なものの教科書的な問題が苦手で、学校に通う子は実践的な計算が苦手なものの教科書的な問題が得意であることを示しています。/Credit:Abhijit V. Banerjee et al . Nature (2025)
調査の結果、子どもたちの計算能力は学習環境に大きく依存していることが判明しました。
市場で働く子どもたちは、実際の市場取引を模したシナリオにおいて90%以上の正答率を示し、実生活で求められる複数の計算操作を迅速かつ正確にこなしていることが確認されました。
彼らはペンや紙に頼らず、頭の中で複雑な掛け算や割り算を分解し、丸め計算といった直感的な戦略を駆使して問題に対処しており、その柔軟性と効率性が際立っています。
しかし、同じ子どもたちが学校で出題される抽象的な数学問題に挑戦すると、正答率は大幅に低下し、例えば3桁の数を1桁で割る問題では正答率が32%程度に留まる結果となりました。
これまでの研究では、市場で働く子どもたちの算数能力が学校で学ぶ子どもたちより優れているとする報告もありましたが、本研究では働く子どもたちは学校形式の問題がかなり苦手であることが明らかになりました。
一方、学校に通う子どもたちは、教科書に基づいた抽象的な問題では筆記具を用いながら丁寧に計算し高い正確性を発揮するものの、実際の市場取引のように複数の商品や異なる単位、価格が絡む具体的なシナリオでは、その柔軟な応用力を欠き、正答率がわずか1%程度にまで落ち込むことが確認されました。
このように、両グループはそれぞれ慣れ親しんだ環境では優れた計算能力を発揮するものの、学習コンテキストが異なる場面ではそのスキルがうまく転用されず、市場で働く子どもたちは実生活に特化した直感的な戦略を持つ一方、学校で鍛えられた子どもたちは柔軟な解法に欠けるという明確な能力の二極化が浮き彫りになりました。
そうなると気になるのが理由です。
なぜ市場の経験は学校の問題を解くのに役立たず、学校の勉強は市場での実践に役立たないのでしょうか?
この事実を放置し続けることは、学校教育の危機につながりかねません。
なぜ実践と勉強の間でスキルが移行しないのか?
【Nature】学校の勉強は実践に役立たず、実践は学校のテストに役立たないと判明 / 学校に通う子供が行った筆算の例。抽象的な数字の羅列が続いている。/Credit:Abhijit V. Banerjee et al . Nature (2025)
なぜ実践と勉強の間でスキルが移行しないのか?
謎を解明するため研究者たちはデータの分析を行いました。
その結果、市場で働く子どもたちは、まるで経験豊富な職人のように、現場で必要な直感的かつ柔軟な計算技を自ら見つけ出し、磨いていることが分かりました。
例えば、複雑な掛け算や割り算を、大きなパズルを小さなピースに分けるかのようにシンプルなステップに分解し、数字を適度に丸めることで計算の負担を軽減するなど、効率の良い方法を自然と使いこなしています。
しかし、これらの戦略は「生きた現場」での経験に根ざしているため、教室で提示される数字だけの抽象的な問題では、その意味が文脈から切り離され、まるで魔法の杖が使えなくなったかのように役に立たないのです。
一方、学校で学ぶ子どもたちは、決められた教科書のレシピに沿って、固定的なアルゴリズムや手順に従う訓練を重ねています。
そのため、記号や数式が並んだ問題に対しては、まるで精密機械のように正確な答えを導き出すことができます。
しかし、実生活のように複数の変数や不規則な条件が絡む場面では、その硬直した方法は、まるで鎖に縛られているかのように動かず、柔軟な対応が求められる状況には全く力を発揮できないのです。
今回の研究結果は、従来の数学教育が抱える根本的な課題を浮き彫りにしています。
市場で働く子どもたちと学校に通う子どもたちの間で見られる大きなギャップは、単に「計算ができる・できない」という問題ではなく、どのような環境でどんな計算方法が身につくかに起因しているのです。
そこで今回の研究では、学校教育を...
「相手の偏見に寄り添った発言をすれば、すぐに信頼を勝ち取れる」――こう聞くと、どこか危うく感じる人も多いかもしれません。
偏見は、差別や誤解、対立を生む原因として、一般的にネガティブに捉えられてきました。
しかし、人の心理には「自分に似た考えを持つ人」に好感を抱きやすいという傾向があるのも事実です。
たとえば、政治的な立場やイデオロギーを共有する話し手には、私たちは思わず耳を傾け、結果として大きな信頼を寄せがちになります。
なぜ、そうした現象が生まれるのでしょうか?
この背景には、社会心理学でよく知られる「類似性―魅力効果」や「社会的アイデンティティ理論」などが大きく関わっていると考えられています。
人は自分と同じ「グループ」だと認識する相手を自然と味方だと感じ、逆に「違うグループ」と判断した相手には拒否感や不信感を抱きやすいのです。
つまり、何らかの偏見や先入観を共有している(あるいは共有しているように見える)相手には、好感だけでなく信頼までも高めやすいというわけです。
しかし、一方で「偏見の利用」には当然ながらリスクが伴います。
相手との関係を一時的に強化する一方、他のグループとの対立や誤解を深める可能性もあるのです。
また、こうした手法が倫理的に正しいかどうか、長期的な信用を損なうのではないかという懸念も拭えません。
アメリカのブラウン大学(Brown)で行われた研究は、特に
...more政治分野での「党派的言語」の使い方を例に、偏見を活用したコミュニケーションがどのように信頼や評判を左右し、さらに意見の分極を促進するかを検証しています。
その結果には、政治だけにとどまらず、私たちの日常における対人関係にも示唆を与える多くの要素が含まれているのです。
本コラムでは、「相手の偏見に寄り添うこと」がなぜこれほど強い効果を発揮するのか、心理学的メカニズムと併せて詳しく解説していきます。
同時に、こうした「心理操作」とも呼べるテクニックの活用に潜む危険性や、長期的視野で考えた場合に生じうる問題にも触れつつ、最新の研究が示すヒントをお伝えしていきましょう。
研究内容の詳細は『Cognition』にて公開されました。
目次
偏見の中でも強力な「政治的偏見」を利用する相手の偏見を信頼に変換する「心理メカニズム」
偏見の中でも強力な「政治的偏見」を利用する
【悪用厳禁の心理学】信頼されるには相手の偏見に寄り添え / Credit:Canva
近年、米国をはじめ世界の多くの国で、政治的立場の対立が顕在化・先鋭化しつつあります。
いわゆる「政治的二極化」が進むと、政治家やコメンテーターのみならず、SNSや一般メディアにおいても、自分たちの支持者をより強く惹きつけるために“党派的言語”が積極的に用いられるようになります。
たとえば、同じ出来事を「抗議」と呼ぶか「暴動」と呼ぶかで、聞き手が感じる意味合いや重みがまったく変わってしまうのは、その好例といえます。
この背景には、「分断を煽るような内容のほうが目を引きやすく、拡散されやすい」という情報拡散メカニズムが存在しているという指摘もあります。
不特定多数の大勢を味方にするよりも、争っている一方から好かれるようにするほうが、低コストかつ短期間で多くの指示を得られるからです。
ソーシャルメディアのアルゴリズムやオンラインでの情報消費パターンに関する過去の研究(Brady, Crockett, & Van Bavel, 2020 など)によれば、感情的な内容ほど“バズ”を起こしやすく、結果として対立や偏見を増幅する投稿や報道が注目を集めやすい傾向があります。
党派的言語は、こうしたメディア環境の中で特に有効であり、同じ立場の人々の結束を高める一方、異なる立場の人々との距離をさらに広げるリスクを孕んでいます。
政治的二極化が深まるほど、党派的な表現によって得られる「同調のメリット」はますます大きくなる一方で、異なる意見を持つ人々や中立的立場の人々に対しては、過度なバイアスや“不公正なレッテル貼り”として受け止められる恐れがあります。
つまり、あるグループからの支持を得るために使われた言語表現が、同時に別のグループからの反感や不信を生み、意見の対立をより強めるという悪循環が生じやすいのです。
今回紹介する研究では、こうした「党派的言語」がどのように話し手への信頼や reputational benefit(評判的恩恵)につながり、また同時に相手を遠ざける要因にもなっているのかを、実験的に検証しています。
このように、政治的二極化が進む社会状況下では、党派的言語が生むインパクトは単なる“言葉選び”の問題にとどまりません。
どのような言語フレームを選ぶかによって、私たちが出来事そのものをどう捉え、誰を信じ、どんな立場をとるかが変わりうることが、より明確に示されつつあります。
また、こうした「偏見に寄り添う発言」の問題は政治領域に限ったものではありません。
職場やコミュニティ、あるいはSNS上の議論でも、同じグループに属する人々のバイアスを肯定するような表現を使えば、瞬時に“味方認定”されやすくなり、逆に相手の偏見から外れる表現をすれば“敵認定”されやすくなることが想定されます。
そこで今回、ブラウン大学の研究者たちは、偏見の中でも最も根深い「政治的偏見」が相手の好感度や信頼にどれほど甚大な影響を与えるかを調べることにしました。
調査にあたっては、同じ政治的出来事をリベラル寄り、保守寄り、中立的な3種類の言葉で表現し、参加者に話し手の信頼度や道徳性などを評価させました。
その結果、自分の政治的立場に合う表現(集団内言語)を使う話し手はより高く評価され、反対の立場(集団外言語)の場合は信頼度や道徳性が低いと見なされました。
この戦略を使うと、高い評価や信頼を得られるだけでなく、道徳的にも優れた人間とみなされるわけです。
一方、中立的な言葉を使う場合は、どちらの立場からも一応の理解を得られるものの、バイアスの強い参加者にとっては「頼りない」と映ることもありました。
また、もう1つの実験では、同じ出来事をリベラル寄り、保守寄り、中立的な言葉で表現した場合に、参加者自身がどのように出来事を捉えるか(同意・反対の度合い)を調査しました。
その結果、バイアスのある言葉で説明された出来事は、参加者が既に持っている政治的傾向をより強化する(分極化を深める)働きを持つことが示唆されました。
このことは、「自分の立場に一致する」表現(政党が好む表現:『アメリカを偉大に』や『アメリカンファースト』など)を目にすると、たとえ発言内容の質にそれほどかかわらず、評価や態度がプラスなりやすいことを示しています。
研究者たちは、この結果について、「人々が自分のイデオロギー的傾向に沿った形で政治的出来事を語る演説者を非常に信頼できるとみなす、という証拠を発見しました。政治的分極化が進むほど、人々は中立的な報道よりも、むしろ自分のバイアスを肯定してくれる報道に信頼を寄せるかもしれません。」と述べています。
また、本研究の大きな意義は、誤情報が必ずしも必要なくても“偏った言葉選び”が分断を助長し得る、という点にあります。
研究者たちは、「誤情報の悪影響ばかりが注目されがちですが、今回の結果は、真実であっても党派的な表現を用いれば、相手への不信感を煽り、意見対立をさらに先鋭化させる可能性があることを示しています。」と述べています。
相手からの信頼を楽して得ようとするときにはしばしば「嘘」が用いられますが、嘘が露見するリスクと常に向き合わなければなりません。
しかし政治的偏見を利用する場合は嘘に頭を使わず本当のことを言うだけで、相手の信頼を勝ち得ることができるのです。
ただ研究者たちは「相手の政治的偏見に合った言葉選び」が、自分と同じ立場の人々からの信頼や好感を高める大きな効果がある一方で、反対の立場を持つ人々からの支持や信用を著しく損なうリスクもあることを示しています。
さらに、言葉の使い方ひとつで現実の出来事そのものへの認識や評価が左右され、場合によっては分断が一段と拡大する可能性があることが明らかになりました。
研究チームは、こうした「イングループからの賞賛や信頼を手にする方法」としての党派的言語が、長期的には分断を深めるリスクを孕んでいることにも触れています。
相手の偏見を信頼に変換する「心理メカニズム」
【悪用厳禁の心理学】信頼されるには相手の偏見に寄り添え / Credit:Canva
政治的な偏見や党派的な言葉選びが信頼度や評判を左右する背景には、いくつかの心理学的メカニズ...