砂漠で迷子になったり海の上を漂流したりするような極限状況で、特に苦労するのが水分の摂取です。真水を入手しづらい環境でどうしても喉が渇いた時、最終手段の1つとして「自分の尿を飲む」という方法がありますが、サバイバル術として自分の尿を飲むことは果たして正解なのかについて、グリフィス大学看護学部上級講師のマシュー・バートン氏とボンド大学医学部のミハエル・トドロヴィッチ准教授が解説しています。
日本の東京大学医科学研究所(IMSUT, 東京大学医科学研究所)で行われた研究によって、マウスのほとんどの遺伝子をまるごと人間の遺伝子に置き換えられる大胆な技術が開発されました。
研究チームはゲノム編集(DNAを自由に改変する技術)を2段階組み合わせた新手法「TECHNO」により、理論上、ヒト遺伝子の約93%にあたる大部分をマウスで全長ヒト化の対象にできると見積もっています。
ヒトのタンパク質をつくる遺伝子はおよそ2万個とされ、単純計算では、約1万8,500個のヒト遺伝子をヒトに近いかたちでマウスの体内に持ち込める計算になります。
さらに今回の研究では実際の置き換えも行われており、免疫や生殖に関わる3つの遺伝子座でマウスの遺伝子をヒト版に「まるごと」置換することに成功。
そのうち一つではヒトの病気の主要な特徴のまでマウスで再現してみせました。
この技術によって遺伝子をヒト化されたマウスの臓器や細胞を調べれば、ヒトの病気の理解がより進むと期待されています。
研究内容の詳細は2026年1月14日に『Nature Communications』にて発表されました。
目次
ヒトの設計図を“使い方ごと”マウスに移植したいヒト遺伝子93%をマウスにまるごと持ち込む技術「TECHNO」誕生
ヒトの設計図を“使い方ごと”マウスに移植したい
ヒトの全長遺伝子をまるごとマウス遺伝子と置換 / C
...moreredit:あらゆるマウス遺伝子を”ヒト遺伝子全長”に置き換える ――汎用的遺伝子全長ヒト化技術「TECHNO」の開発――
私たちがニュースでよく見る「マウス実験」は、いつもどこかで「でも人間とは違うよね」と心の中で但し書きがつきます。
また「マウスではうまくいったのにヒトではダメだった」──新薬のニュースなどで、そんな残念な話を耳にしたことがあるかもしれません。
病気の研究や治療法の開発には実験用マウスがよく使われますが、私たちヒトとまったく同じというわけではないため、マウスで得られた成果が人間にそのまま当てはまらないことも多いのです。
その大きな理由のひとつは、意外なことに「遺伝子(設計図)の中身」ではなく、各遺伝子たちの前後に存在する「スイッチ部分」にありました。
このスイッチ部分は各遺伝子たちがいつどこで働くかを決める役割を持っており、この部分がヒトとマウスでかなり違うのです。
遺伝子部分を曲の小節だとすれば、スイッチ部分はその小節が曲全体のどの部分に入るかを決めていると言えるでしょう。
遺伝子そのものが似ていても、演奏するタイミングや音量が違えば別の音楽に聞こえてしまうように、同じ遺伝子でも使われ方が違えば生体内の振る舞いが変わってしまうのです。
この問題を解決するため、生物学者たちは「ヒト遺伝子を組み込んだマウス」、いわゆるヒト化マウスの作製に取り組んできました。
これまではヒトのDNAをマウスのゲノムに一部追加したり、小さな断片だけ置き換えたりする方法が主流でしたが、それでは肝心の「遺伝子のスイッチ部分」がマウスのまま残ってしまいます。
そこで今回、東京大学医科学研究所の小沢学准教授らの研究グループは、マウスのゲノム上で特定の遺伝子座(遺伝子のある場所)を丸ごと対応するヒト版に置き換えるという汎用的な手法に挑みました。
開発された汎用的なゲノム編集技術「TECHNO(テクノ)」は、プラモデルのパーツを差し替えるようにマウスの遺伝子をヒトのパーツに入れ替えてしまう仕組みです。
もしこの手法を使用すれば、ヒトの難病で起きる遺伝子の「設計ミス」を、あらかじめマウスの体でリハーサルし、薬の候補をふるいにかけることが、今よりかなり“ヒト寄り”の条件でできるようになるかもしれません。
あるいは、「マウスでは安全だったけれど、人では危なかった」タイプの薬を、早い段階でふるい落とせるかもしれません。
そんな未来を見すえた第一歩として、TECHNOが登場したのです。
ヒト遺伝子93%をマウスにまるごと持ち込む技術「TECHNO」誕生
ヒト遺伝子93%をマウスにまるごと持ち込む技術「TECHNO」誕生 / Credit:あらゆるマウス遺伝子を”ヒト遺伝子全長”に置き換える ――汎用的遺伝子全長ヒト化技術「TECHNO」の開発――
ではTECHNOは、どうやって「マウスの設計図をヒト仕様に着せ替える」のでしょうか。
手順は大きく二段階です。
まず特定のDNAを狙って切り取る技術「CRISPR-Cas9」を使用して、マウスのDNAから特定の遺伝子がある領域を切り出します。
次にその場所に「足場」となる短いDNAを入れます。
この足場には、ヒト遺伝子の両端と似た配列がついており、後から来るヒト遺伝子がここにピタッとはまるように設計されています。
次に組み込むヒト遺伝子全長+前後のスイッチ部分を用意し、足場の助けを借りて入り込ませることを目指します。
では、この新技術の威力は実際にどれほどなのでしょうか。
研究チームはまず、c-Kit遺伝子と呼ばれるマウスの遺伝子座(約10万塩基対)を選び、そこをヒト版c-KIT遺伝子に置換する実験を行いました。
c-Kit遺伝子は血液の形成や生殖に必須の遺伝子です。
すると、マウス本来のc-Kit遺伝子の跡地をヒトc-KITで埋めた場合も、マウスはきちんと生まれ、血液細胞の数や造血の働き、オスでは精子の産生などが概ね保たれている一方で、一部の個体では軽い貧血や精巣の変化も見られていることが示されました。
ヒトのc-KIT遺伝子がマウス体内でしっかり働き、血液を作ったり生殖機能を維持したりする“本来の役割”をかなりの部分で果たしたと考えられます。
次に研究チームは、この手法がどこまで大きな遺伝子に通用するかを試しました。
対象として選ばれたのは、全長約20万塩基対にも及ぶ巨大な遺伝子群(APOBEC3遺伝子クラスター)です。
その結果、TECHNOはこの巨大遺伝子クラスターのヒト化にも威力を発揮し、10~15%という高い効率で組み込みに成功しました。
従来、ES細胞を用いた方法で20万塩基を超える大きなDNA断片を入れようとすると、効率はごく低い値(0.2%ほど)にとどまることが多く、TECHNOはその点で大きな改善だといえます。
またヒト化遺伝子を持つマウスが生まれるとすべてのAPOBEC3遺伝子群がきちんとスイッチオンになっていることが確認されました。
さらに興味深いことに、それぞれの遺伝子が臓器ごとに示す発現バランス(どの遺伝子がどれくらい活動するかの割合)がヒトの場合と非常によく一致していたのです。
特に肺の中で7種類のAPOBEC3遺伝子が発現する割合を比べると、ヒト化マウスと本物のヒトの肺とでほぼ同じパターンになっていました。
これはマウスという小さな体の中に、人間のAPOBEC3遺伝子ネットワークがかなり近いかたちで再現されたと考えられます。
さらに極めつけの実験として、研究者たちはヒト化した遺伝子に病気の変異を加えればマウスで人間の病気を再現できるのか?という問いに挑みました。
標的となったのはX連鎖性慢性肉芽腫症(CGD)というヒト指定難病の原因遺伝子であるCYBB遺伝子です。
この遺伝子が壊れると免疫の白血球(好中球)が活性酸素(ROS)を作れなくなり、細菌などを十分に殺せなくなってしまいます。
研究チームはまずマウスのCybb遺伝子座(約5.5万塩基対)をヒトCYBB遺伝子に全長ヒト化し、さらにヒトで報告されている2つの疾患変異をその遺伝子に導入したマウスを作製しました。
こうして生まれたマウスの白血球を刺激してみると、正常なマウスでは大量に発生する活性酸素が、変異を持つヒト化マウスではほとんど発生しないことが確認されたのです。
言い換えれば、ヒト患者で見られる「白血球が活性酸素を十分に作れず感染症に弱くなる」という病気の核心的な特徴の一つがマウス体内で再現されたことになります。
これはTECHNOによるフルセットのヒト化マウスが病気のモデル動物として有用であることを強く示す結果となりました。
各遺伝子を全長ヒト化されたマウスたちの外観 / Credit:あらゆるマウス遺伝子を”ヒト遺伝子全長”に置き換える ――汎用的遺伝子全長ヒト化技術「TECHNO」の開発――
今回の研究により、少なくとも本研究で試した範囲では、大きなヒト遺伝子領域でもマウスで丸ごと機能させられることが示されました。
理論上、この手法でヒト全遺伝子の約93%(およそ18,500個)に相当する遺伝子群をヒト化できると試算されています。
これにより一つひとつのヒト遺伝子が「本気で...
東京情報大学(設置者:学校法人東京農業大学)では、「生命情報学が明かすバナナゲノムの進化と多様性」をテーマに公開講座を開催します。
開催日時:2026年2月25日(水) 10時00分~11時30分
会場:千葉市生涯学習センター 3階大研修室(千葉市中央区弁天3丁目7−7/JR千葉駅より徒歩8分)
※会場は、東京情報大学ではありませんのでご注意ください。
定員:70名※
※事前予約制(先着順)。定員になり次第締め切りとなります。
受講料:無料
講師:田中 啓介(東京情報大学 総合情報学部 准教授)
共催:千葉市生涯学習センター
[講師プロフィール]
東京情報大学総合情報学部准教授。長岡技術科学大学大学院 工学研究科 生物統合工学専攻修了。博士(工学)。生命情報学・ゲノム生物学を専門とし、生命の遺伝情報をデータとして解析する研究を行っている。これまでに、キク科植物ニガナの遺伝的多様性や、甲州ブドウのゲノム解読に取り組んできた。現在は、バナナの遺伝的多様性の研究をはじめ、DNAを用いた新しいプロファイリング技術や、空気中の花粉を解析する技術の開発に取り組んでいる。
■講座内容
世界中で親しまれているバナナには、私たちがまだ知らない進化と多様性の物語が秘められています。本講座では、パプアニューギニアでの現地調査の体験
...more記、パラオや沖縄などで収集した試料を用いたゲノム解析の成果、さらに最新の研究から見えてきたバナナの起源と栽培化の歴史を紹介します。身近な果物から広がる生物多様性の奥深さを、楽しく探ってみませんか。
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※本セミナーは、一般社団法人東京国際金融機構(FinCity.Tokyo:フィンシティ・トーキョー)が都の補助事業として実施し、株式会社日本取引所グループ、株式会社東京証券取引所、金融経済教育推進機構(J-FLEC)が共催するものです。
1 日時
令和8年2月14日(土曜日) 午後1時00分から午後3時00分まで
2 主な対象
若手社会人・
...more大学生・専門学生等
※年代等に関わらずどなたでもご参加いただけます。
3 登壇者
加納嘉将さん(BALLISTIK BOYZ)
奥田力也さん(BALLISTIK BOYZ)
山田幸美さん(フリーアナウンサー)
馬渕磨理子さん(日本金融経済研究所 代表理事/大阪公立大学 客員准教授)
4 会場
WITH HARAJUKU HALL
(東京都渋谷区神宮前1丁目14-30 WITH HARAJUKU 3階)
会場定員200名、オンライン配信も併せて実施
※会場参加、オンライン参加のいずれも事前申込制です。会場参加は、応募者多数の場合抽選となります。
公式ホームページ(外部サイトにリンク)からお申し込みください。
▲公式ホームページQRコード
5 参加費
無料
6 セミナー概要
オープニング
主な内容
「お金のことを自分ごとにアップデートしよう!」/前回の復習
どこで始める?口座開設の進め方
主な内容
「自分にぴったりの「窓口」を見つけるコツ」
特別コーナー
主な内容
「知っておきたい!「契約と信用」スマート・クイズ!」
何を選ぶ?NISAでの商品選び
主な内容
「自分らしい「投資スタイル」を組もう」
Q&Aセッション
主な内容
視聴者からリアルタイムで寄せられた質問に回答
エンディング
主な内容
登壇者からのメッセージ
第2回のまとめ&第3回(実践編2))へのご案内
7 お金のトークスポット
第1回に引き続き、セミナーの開始前と終了後に、お金に関する無料相談「お金のトークスポット」を開設します。お金の専門家であるJ-FLEC認定アドバイザーに15分程度の相談をすることができます。金融商品の勧誘などは一切ありません。複数人での参加も可能です。ぜひお気軽にお立ち寄りください。
お金のトークスポット開設時間
セミナー開始前
午前12時30分~午後1時00分
セミナー終了後
午後3時00分~午後3時30分
本件は、「2050東京戦略」を推進する取組です。
戦略12 国際金融「国際金融都市・東京のプレゼンスを確立」
▲2050東京戦略
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