相場の格言では、卯年の株価は跳ねるとされています。格言通り、卯年2023年の株式相場は世界的に好調でした。
日本では、日経平均株価がバブル崩壊後の高値を更新するなど、大型銘柄を中心に史上高値を更新した銘柄が目立っています。一方で、ロシアによるウクライナ侵略が続くなか、10月には中東情勢が緊迫化、中国経済の鈍化が鮮明となるなど、相場にとっての悪材料もあります。
2024年は、相場の格言では辰巳天井と呼ばれ、株式相場が天井をつけやすい年とされているため、卯年は株式の仕込み年と考えられます。
本稿では、2024年に向けて、2023年の投資環境振り返ってみましょう。
※データ基準日は全て2023年11月24日です。
※本記事は2023年11月24日時点の情報です。最新の情報についてはご自身でもよくお調べください。
※本記事は投資家への情報提供を目的としており、特定商品・ファンドへの投資を勧誘するものではございません。投資に関する決定は、利用者ご自身のご判断において行われますようお願い致します。
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目次
2023年の主な出来事
1-1.2023年1月
1-2.2023年2月
1-3.2023年3月
1-4.2023年4月
1-5.2023年5月
1-6.2023年6月
1-7.2023年7月
1-8.2023年8月
1-9.2023年9月
1-10.202
...more3年10月
1-11.2023年11月
2023年の年初から2023年11月24日までの市場動向
2-1.株式市場
2-2.債券市場
2-3.為替市場
2-4.コモディティ市場
各国の投資環境
3-1.米国
3-2.日本
3-3.欧州
3-4.中国&インド
まとめ
1.2023年の主な出来事
2023年の主な出来事を振り返ってみましょう。
1-1.2023年1月
日本
10年国債クーポンを0.5%に引き上げ(2022年4月以降:0.2%)
米国
パーティー用品専門店「パーティ・シティー」が、米連邦破産法第11条の適用を申請。
インフレに伴う売上低迷と経費増加が経営を圧迫
1-2.2023年2月
米国
FRBが政策金利を4.5%から4.75%に引き上げ
欧州
ECBが政策金利を2.00%から2.50%に引き上げ
中国
全人代が開催され習近平主席が再選、異例の3期目へ
米国
FRBが政策金利を4.75%から5.00%に引き上げ
SVB(シリコンバレー銀行)破綻
欧州
ECBが政策金利を2.50%から3.00%に引き上げ
UBSによるクレディ・スイス買収
クレディ・スイスのAT1債が無価値に
日本
東京証券取引所が、プライム市場とスタンダード市場に上場する約3,300社に対し、株価水準を分析し、改善するための具体策を公表するよう要請。
特に、PBR1倍を割り込む企業(1800社)を問題視
1-4.2023年4月
米国
生活雑貨販売大手の「ベッド・バス・アンド・ビヨンド」が、米連邦破産法第11条の適用を申請
日本
ユニゾHDが民事再生法申請
1-5.2023年5月
トルコ
エルドアン氏が大統領に再当選
米国
FRBが政策金利を5.00%から5.25%に引き上げ
ファースト・リパブリック・バンク破綻
米大手ブライダル小売店「デイビッド・ブライダル」が、米連邦破産法第11条の適用を申請
欧州
ECBが政策金利を3.00%から3.25%に引き上げ
1-6.2023年6月
欧州
ECBが政策金利を3.25%から3.50%に引き上げ
インド
モディ首相アメリカ訪問
1-7.2023年7月
米国
FRBが政策金利を5.25%から5.50%に引き上げ
欧州
ECBが政策金利を3.50%から3.75%に引き上げ
日本
日銀が金融政策を一部修正。
それまで変動幅をゼロ%の目標値から±0.5%程度としていたが、±0.5%程度を目途とすると柔軟化した上で、プラス1%までの利回り上昇を容認
科学技術振興機構(JST)は、資産10兆円規模の「大学ファンド」の2022年度の運用成績が、604億円の赤字だったと発表。
運用成績はマイナス0.6%
1-8.2073年8月
米国
物流大手「イエロー・コーポレーション」が、米連邦破産法第11条の適用を申請
1-9.2023年9月
欧州
ECBが政策金利を3.75%から4.00%に引き上げ
日本
東証に、これまで上場を認められていなかったアクティブ運用型のETFが上場。
銘柄:PBR1倍割れ解消推進ETF、政策保有解消推進ETF、NEXT FUNDS日本成長株アクティブ上場投信、NEXT FUNDS日本高配当アクティブ上場投信MAXIS高配当日本株アクティブ上場投信、上場Tracers米国債0-2年ラダー(ヘッジ無し)
1-10.2023年10月
米国
薬局大手の「ライトエイド」が、米連邦破産法第11条の適用を申請
中東
ハマスが、対イスラエル大規模作戦を実施
日本
日銀が金融政策を再修正、長期金利上限メドを1%に拡大
プライム市場から、無審査でスタンダード市場に移行できる特例措置を申請した177社を公表。
約2,200社あった旧東証1部企業のうち、338社が自主的にスタンダード市場に移行
1-11.2023年11月
米国
シェアオフィス大手「WeWork」が、米連邦破産法第11条の適用を申請
欧州
UBSがAT1債を発行
2.2023年の年初から2023年11月24日までの市場動向
2023年の年初から2023年11月24日までの、株式・債券・為替・コモディティ市場の動きを振り返ってみましょう。
2-1.株式市場
2023年の年初から2023年11月24日までの、先進国(日米欧州)主要株式指数の騰落率で最も高かった指数は、米国ナスダック指数の36.16%、次が日経平均の28.86%、その次はTOPIXの26.39%です。ユーロ圏では、イタリアのMIB指数が24.15%と、ドイツDAX指数の15.12%を大きく上回っています。
新興国では、アルゼンチンのメルバル指数が354.07%、トルコのXU100指数が44.49%と高い成長率が確認されています。
なお、円貨換算での騰落率は円安が進行したため、米国や欧州指数の騰落率がかさ上げされています。米国のナスダック指数の円貨換算騰落率は55.18%と、現地通貨ベースの36.16%から19%程度高くなっています。
一方、トルコリラやアルゼンチンペソについては、円高が進んでいるため、株式指数の円貨換算指数騰落率は現地通貨ベースよりも低い値となります。
トルコXU100指数の円ベース騰落率は6.72%で、現地通貨よりも約37%低くなります。
2-2.債券市場
主要先進国の10年国債利回りは上昇しています。各国の政府が金融引き締め政策を維持していることが背景にあります。
米国10年国債利回りは、2022年12月末の4.42%から4.46%に、ドイツ10年国債が2.57%から2.64%、英国10年債は3.66%から4.27%に、日本では0.42%から0.77%に上昇しています。
2-3.為替市場
為替市場では、円安(2022年末比)が進みました。円はドルに対し13.73%、ユーロに対し16.42%、スイスフランに対し19.42%、ポンドに対しては18.85%下落しています。
主要国の中央銀行が政策金利を引き上げているものの、日本銀行は依然としてマイナス金利政策を維持しており、金利差が拡大したためです。ドル円相場との相関が強い日米2年国債金利スプレッドは、2022年末の4.38%から4.88%に拡大しています。
なお、日本円は新興国通貨に対しても下落しており、ブラジルレアルに対し22.95%、メキシコペソに対し29.92%、インドルピーに対しては12.70%弱含んでいます。一方、円高が進んだ通貨としてはトルコリラが挙げられ、26.10%円高が進んでいます。
2-4.コモディティ市場
商品26品目の指数として組成されているCRB指数は、2022年末とほぼ同水準で推移しています。金価格が10%程度上昇したものの、原油、銅、銀、天然ガス、小麦、とうもろこし、大豆が大きく下落したことが要因です。
金価格は、ロシアのウクライナ侵攻の長期化、イスラエル問題など地政学リスクの高まりや、中国での経済・政治不安から金需要が高まっていることが考えられます。
円安進行により、円貨換算ではCRB指数は、2022年末に対し11.77%上昇しました。金が25.18%、原油は...