Waymoは、マイアミで一般向けロボタクシーを開始した。約155平方キロメートルのエリアから順次招待制で提供し、年内には空港への拡大も予定。マイアミ特有の強い日差しや突発的な豪雨にも対応する。
川は昔から変わらず、そこにあるように見えます。
しかし実際には、川にも誕生と終焉があり、多くは地形の変化や気候の影響で姿を消してきました。
そんな中、「恐竜時代よりも前から流れ続けている川がある」と聞いたら、驚くかもしれません。
では、現在も痕跡をとどめている川の中で、世界で最も古いと考えられているのはどの川なのでしょうか。
目次
恐竜より古い川「フィンケ川」山より先にあった川の証拠
恐竜より古い川「フィンケ川」
現在「世界最古の川」として最有力視されているのが、オーストラリア中央部を流れるフィンケ川です。
先住民アランテの言葉では「ララピンタ」と呼ばれ、推定年齢は約3億〜4億年。
これは、恐竜が地上に現れるよりもはるか以前の時代にさかのぼります。
フィンケ川/ Credit: en.wikipedia
フィンク川は、北部準州から南オーストラリア州にかけて約640キロメートルに広がる河川系ですが、現在は常に水が流れているわけではありません。
大陸中央部は極めて乾燥しており、川の多くは一年の大半を「点在する水たまりの連なり」として過ごしています。
それでも科学者たちは、周囲の地層や堆積物、岩石に残された地質記録を詳しく調べることで、この川がデボン紀から石炭紀にかけて成立した非常に古い河川系であると判断しました。
特に重要なのが、川が山脈を「横切って」流れているという、直感に反す
...moreる特徴です。
山より先にあった川の証拠
通常、川は硬い岩を避け、流れやすい方向を選びます。
ところがフィンケ川は、硬い岩石帯を横断しながら、オーストラリア中部のマクドネル山脈を貫いています。
これは珍しい地形で、川のほうが山よりも先に存在していた可能性を示しています。
これは地殻が押し上げられて山脈が形成される間も、川が流れ続け、徐々に岩盤を削り下げてきたというものです。
実際、マクドネル山脈は約3億〜4億年前の造山運動によって形成されており、年代はフィンケ川の推定年齢と一致します。
さらに、岩石の風化のされ方や化学的な特徴、放射性同位体の比率を調べることで、岩石がいつ地表に現れ、どのように水と接してきたのかも推定できます。
放射性同位体は一定の速度で崩壊するため、その割合を逆算すれば、過去の出来事の年代を復元できるのです。
こうした複数の証拠が組み合わさり、フィンケ川は「地球史を通じて生き残ってきた川」と考えられるようになりました。
それでも川の未来は保証されていない
これほど長く生き延びてきた理由の一つは、オーストラリア大陸が数億年にわたり、地殻変動の少ない安定した環境にあったことです。
また、更新世に大規模な氷河に覆われなかったことも、川が寸断されずに残った要因とされています。
しかし、未来は決して安泰ではありません。
乾燥地帯の川は、人間による取水や気候変動の影響を強く受けやすく、流れそのものが失われる可能性も指摘されています。
恐竜よりも前から地球の表情を刻んできた川。
その存在は、私たちが暮らす風景が、想像を超える時間の積み重ねの上に成り立っていることを静かに教えてくれます。
全ての画像を見る参考文献What’s the oldest river in the world?https://www.livescience.com/planet-earth/rivers-oceans/whats-the-oldest-river-in-the-worldライター千野 真吾: 生物学に興味のあるWebライター。普段は読書をするのが趣味で、休みの日には野鳥や動物の写真を撮っています。編集者ナゾロジー 編集部
セキュリティの近代化と重要インフラ保護に牽引され、市場規模は2027年までに10億3,920万米ドルに達する見込み2026年1月 - 世界のドローン検知光学システム市場は、各国政府、防衛機関、民間事業者が不正な無人航空機システム(UAS)への対策を強化していることから、急速な拡大を遂げています。2021年には2億1,220万米ドルだった市場規模は、2027年までに10億3,920万米ドルに急増すると予測されており、2022年から2027年の予測期間における年平均成長率(CAGR)は30.3%という高い成長率を記録する見込みです。調査レポートのサンプルコピーをリクエストするには、https://www.astuteanalytica.com/ja/request-sample/drone-detection-optical-systems-market販売台数ベースでは、2021年の2,727台から2027年には13,153台に増加すると予測されており、CAGRは30%です。この急速な成長は、世界中でマルチセンサー型ドローン検知アーキテクチャにおける重要な要素として、光学検知技術の導入が拡大していることを示しています。UASの脅威の高まりが光学検知システムへの需要を促進ドローン検知光学システムは、電気光学(EO)、赤外線(IR)、サーマルイメージング技術を用いて無人航空機を検知、識別
...more、追跡するように設計されています。レーダーベースのソリューションとは異なり、光学システムは視覚的な確認、高い標的分類精度、リアルタイムの状況認識を提供するため、機密性の高い高リスク環境において不可欠な存在となっています。低価格の商用ドローンの普及と、スパイ活動、密輸、テロ、重要インフラへの妨害行為などへの悪用が増加していることから、高度な対UASソリューションへの需要が大幅に高まっています。空港、軍事基地、国境、発電所、石油・ガス施設、大規模公共施設などでは、新たな航空脅威に対処するため、光学式ドローン検知システムの導入が進んでいます。技術革新が市場導入を加速高解像度カメラ、AI対応画像処理、マシンビジョン、長距離サーマルセンサーにおける継続的なイノベーションは、ドローン検知光学システムの性能を向上させています。最新のソリューションは、検知範囲の拡大、脅威の自動認識、レーダー、RFセンサー、指揮統制プラットフォームとのシームレスな統合を実現しています。人工知能とディープラーニングアルゴリズムは、誤報の削減、自律追跡の実現、ドローンと鳥などの他の飛行物体との識別において、革新的な役割を果たしています。これらの技術革新は、防衛分野と民間分野の両方で幅広い導入を促進しています。防衛および重要インフラが主要エンドユーザーであり続ける防衛機関および国土安全保障機関は市場需要の相当な部分を占めており、光学式ドローン検知システムは国境監視、軍事施設、前線基地などにますます多く配備されています。同時に、商業分野も特に空港、港湾、刑務所、スタジアム、スマートシティなどで高成長セグメントとして台頭しています。光学式検知システムをより広範な対ドローンエコシステムに統合することで、運用者は多層的なセキュリティを実現し、不正なUAS(無人航空機システム)活動に対する早期検知、識別、および協調的な対応を確保できます。地域別展望:力強い勢いでの世界的な拡大北米は現在、高い防衛費、対UAS技術の早期導入、厳格な航空保安規制により、世界市場をリードしています。ヨーロッパも国境警備と重要インフラ保護への投資増加に牽引され、それに続いています。一方、アジア太平洋地域は、防衛近代化プログラムの進展、空港インフラの拡大、ドローン関連のセキュリティインシデントに対する懸念の高まりに支えられ、予測期間中に最も速い成長を遂げると予想されています。中東、アフリカ、南米の新興経済国も、民間および軍事分野でドローン活動が活発化するにつれて投資を増やしています。サンプルレポートをダウンロード、特別オファー(このレポートは最大 30% 割引となります -https://www.astuteanalytica.com/ja/industry-report/drone-detection-optical-systems-market競合他社分析● Aroniaは、測定、追跡、監視技術を専門とするハイテク企業です。同社は、非常に高い範囲、精度、信頼性を備えた包括的でインテリジェントなドローン検知・防御システムを提供する製品において豊富な経験を有しています。● Lockheed Martin Corporationは、世界中に事業を展開するアメリカの航空宇宙、防衛、情報セキュリティ、テクノロジー企業です。同社は主に、高度な技術システム、製品、サービスの研究、設計、開発、製造、統合、維持管理を行っています。● Raytheon Technologies Corporationは、世界中の商業、軍事、政府顧客向けに高度なシステムとサービスを提供する航空宇宙・防衛企業です。● Citadel Defenceは、軍事、政府、商業のエンドユーザー向けに、自動化されたオンデマンドの対ドローンソリューションを開発しています。人工知能と機械学習を活用したCitadelの技術は、個々のドローン脅威や群れを高い精度で対処し、通信や周辺環境への副次的影響を軽減します。● Robin Radar Systemsは、小型ターゲットの追跡と分類のためのレーダーシステムを手がけています。同社は、手頃な価格のセンサーとスマートソフトウェアを組み合わせることでこれを実現しています。Robin Radar Systemsは、最大10キロメートル四方の鳥の動きを24時間体制で監視・記録する鳥類レーダーシステムを開発しました。世界のドローン検知光学システム市場のセグメンテーション概要世界のドローン検知光学システム市場のコンポーネント別セグメントは、以下のように細分化されています。● ハードウェア(機器)世界のドローン検知光学システム市場のアプリケーション別セグメントは、以下のように細分化されています。● 軍事● 国土安全保障● 民間/商業● 空港● エネルギー・公益事業● 重要インフラ● データセンター● スタジアム● 住宅● その他の公共施設世界のドローン検知光学システム市場の地域別セグメントは、以下のように細分化されています。● 北米● 米国● カナダ● メキシコ● ヨーロッパ● 英国● ドイツ● イタリア● フランス● スペイン● ロシア● ポーランド● その他のヨーロッパ● 日本● その他の地域市場展望ドローンの使用が商業およびレクリエーション用途で飛躍的に増加すると予想されるため、信頼性の高い検知および識別システムの必要性は極めて重要になっています。世界のドローン検知光学システム市場は、空域セキュリティへの規制当局の注力、急速な技術進歩、対UASリスクに対する意識の高まりに支えられ、持続的な高成長が見込まれています。光学技術が進化し、AI駆動型防衛プラットフォームと統合されるにつれて、ドローン検知光学システムは世界中の次世代航空セキュリティフレームワークの礎となるでしょう。完全なレポートをリクエストする - https://www.astuteanalytica.com/ja/request-sample/drone-detection-optical-systems-marketAstute Analyticaについて:Astute Analyticaは 、クライアントに提供してきた具体的な成果により、短期間で確固たる評判を築いてきたグローバルな分析・アドバイザリー企業です。私たちは、様々な業種にわたる非常に要求の厳しいクライアントのために、比類のない、詳細かつ驚くほど正確な見積りと予測を提供することに誇りを持っています。テクノロジー、ヘルスケア、化学、半導体、FMCGなど、幅広い分野において、多くの満足したリピーターのクライアントを擁しています。世界中から、こうした満足したお客様が集まっています。複雑なビジネス環境、セグメント別の既存および新興の可能性、テクノロジーの動向、成長予測、そして利用可能な戦略的選択肢までを分析することで、お客様は的確な意思決定を行い、困難な課題を克服しながら、非常に収益性の高い機会を活用することができます。つまり、包括的なパッケージです。これらすべては、ビジネスアナリスト、エコノミスト、コンサルタント、テクノロジー専門家で構成される、高い資格と経験を...
宇宙に、まるで線香花火が凍りついたような奇妙な天体があります。
Pa30と呼ばれる超新星残骸で、1181年に日本や中国で記録された「客星(急に現れて数か月だけ光る星)」の残骸候補のひとつと考えられています。
中心から細い筋が四方八方に伸びる「花火のような形」が特徴で、もし1181年の客星と同じ天体だとすれば、爆発から約850年たった今もその姿を保っていることになります。
しかしアメリカのシラキュース大学(Syracuse Univ.)などの研究機関で行われた研究によって、この筋は爆発で飛び散った破片そのものではなく、爆発後に生き残った白色矮星(太陽の燃えかすのような高密度の星)から吹き出した風によって、重たいものと軽いものが押し合う境目で筋が伸びた結果である可能性が示されました。
飛び散った「花火の火の子」の先端に思える筋部分は、実は、コーヒーに垂らしたミルクの中を突き破って伸ばしていく筋のように、あとから吹いた濃い風が周囲の薄いガスを押しのけて形作った“風の指先”だったのです。
しかし、ふつうなら混ざって消えてしまいそうな筋が、なぜ850年を経てもほとんど崩れずに残り続けられたのでしょうか?
研究内容の詳細は2025年12月23日に『The Astrophysical Journal Letters』にて発表されました。
目次
宇宙に凍った線香花火──Pa30という奇妙な残
...more骸最初の1〜10年で筋が決まり、850年残るというシナリオ
宇宙に凍った線香花火──Pa30という奇妙な残骸
宇宙に凍った線香花火──Pa30という奇妙な残骸 / Credit:Canva
夜空の花火を見ていると、その一瞬だけ軌跡が残り、すぐに煙に変わって消えていきます。
もしあの光の筋が、空一面に広がるほど巨大なスケールで、そのまま千年も凍りついたように残っていたらどうでしょうか。
Pa30は、まさにそんな「宇宙版の花火写真」のような天体です。
多くの超新星残骸は、あちこちがモコモコと膨らんだ雲のような形をしていますが、Pa30では中心から伸びる細い筋が目立ち、真ん中には不自然なほど何もない空洞が広がっています。
従来、超新星残骸の形は多くの場合、多くは「爆発で飛び出したガスの分布がそのまま固まったもの」として理解されてきました。
実際、それは多くの残骸でうまくいく説明でした。
しかしPa30のように、ほとんど一直線に近い細い筋がたくさん並び、その筋が850年たっても折れずに残っている姿は、この単純なイメージではなかなか説明できません。
ふつうなら、ガス同士がぶつかり合い、境目に渦が生まれ、時間とともに混ざり合って、きれいな筋はすぐにちぎれてしまうはずだと考えられるからです。
コラム:なぜ「失敗した超新星爆発」と言われるのか?
「失敗した超新星爆発」という言葉を聞くと、ちょっとドキッとしますが、星が「しくじった」という意味ではありません。ここでの「失敗」とは、教科書的な“完全な超新星爆発”の想定から見ると、中途半端な状態で終わってしまったという、専門家側の視点を表したニックネームです。典型的なIa型超新星では、白色矮星(太陽くらいの星の燃えかす)が限界近くまで重くなり、星全体で核反応が一気に暴走して「星そのものが粉々になる」と考えられています。
つまり、爆発のあとに白色矮星本体は残らず、ガスとして宇宙空間にばらまかれる、というのが「成功した」超新星爆発のイメージです。ところが最近見つかってきた「Iax型」と呼ばれるグループでは、どうも様子が違います。爆発の明るさが弱く、飛び散ったガスの量も少なく、そのうえ中心に白色矮星らしき“生き残り”が残っていると考えられる例が出てきました。星全体が吹き飛ばされるどころか、「かなり傷ついたけれど、芯の部分は生き残ってしまった」という状態なのです。
このため研究者たちは、理論モデルの中で「完全な爆轟(さいごまで燃え切る爆発)に到達せず、途中でしぼんでしまった超新星」として扱い、「failed supernova(失敗した超新星)」というラベルを使うようになりました。つまり、「超新星爆発としては最後までやり切らず、星を完全には壊せなかったタイプ」という意味合いです。
面白いのは、その“失敗”が新しい天体現象を生むきっかけになっていることです。Pa30のように、生き残った白色矮星がその後も速い風を吹き出し、周囲のガスに筋を刻んでいくケースでは、普通の超新星残骸では見られない「宇宙の花火」のような姿が残ります。「失敗した超新星爆発」とは、単なる評価ではなく、そうした不完全な爆発から生まれる多様な“その後”を示す、便利なあだ名のようなものと言えるでしょう。
そこで研究者たちは、爆発の瞬間ではなく「その後に吹いた風」と「風がぶつかる相手」の条件に注目し、「どんな条件なら筋が千年ほどけずに残るのか」を流体の不安定性(ガスの境目が乱れる性質)という観点から調べることにしました。
もしその条件が見つかれば、Pa30の花火だけでなく、他の奇妙な残骸の形も説明できるかもしれません。
本当に、宇宙にそんな「花火保存のレシピ」が存在するのでしょうか。
最初の1〜10年で筋が決まり、850年残るというシナリオ
最初の1〜10年で筋が決まり、850年残るというシナリオ / Credit:A Wind-driven Origin for the Firework Morphology of the Supernova Remnant Pa 30
研究チームは、まず中心の白色矮星から吹き出す風と、その周囲にあるガスの性質を整理しました。
観測から、現在の風は秒速1万キロメートル以上という極端な速さで、質量も毎年一定量が吹き飛ばされていると推定されています。
質量放出率(1年間に吹き出す量)は、太陽の重さの百万分の一〜一千万分の一程度と見積もられています。
しかしPa30の筋が作られた当初は、もっと「遅いけれど濃い風」が出ていたと仮定しました。
濃い牛乳を薄いコーヒーの中にそっと注ぐと、牛乳がまっすぐ筋状に沈んでいくことがあります。
研究チームが想定した当初の風は、この「濃い牛乳」のようなものだと考えるとイメージしやすいかもしれません。
次に研究者たちは、この濃密な風が周りの薄いガスにぶつかっていった時、どんなことが起こるのかを詳しく調べました。
すると、重たい方の濃い風が薄い周囲のガスを押し込むように進むことで、「指のような細い筋」が次々と伸びていく様子が現れました。
また風の吹き飛ばしによって筋を伸ばす時間は、最初の1〜10年ほどだと見積もられました。
そのあと風と周囲の密度差が小さくなってくると、新しい筋はもうほとんど生まれず、成長も止まります。
一方、フィラメント(細い筋)を破壊するまでに要する時間はPa30の年齢(約850年)より長い時間がかかるため筋は今も保たれる、と説明します。
これらの結果は、Pa30の奇妙な残骸の形が、超新星爆発そのものではなく爆発後に吹き荒れた白色矮星の風によって形作られた可能性を強く示唆しています。
さらに研究チームは、このように「濃い風」と「薄い周囲のガス」が存在する環境であれば、他の天体現象でも似たような筋状の構造が生じるかもしれないと指摘しています。
例えば、巨大なブラックホールの重力で星が引き裂かれる現象(潮汐破壊現象)でも、似たような「細長い筋」が発生する可能性があるというのです。
(※もっとも少なくとも現時点ではPa30以外に同じような「宇宙の花火」がほとんど知られていないため、今回の解析が特殊なケースに当てはまるのか、それとも今後同様の現象が多数見つかるのかは不明です。)
今後、研究者たちはより詳細な数値計算や観測で、この風が作るフィラメント現象の普遍性を検証していくと期待されます。
ちょうどこれからの高精細な望遠鏡観測、たとえばジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡やハッブル宇宙望遠鏡のデータが、この「風の筋」の正体をさらに試すことになりそうです。
全ての画像を見る元論文A Wind-driven Origin for the Firework Morphology of the Supernova Remnant Pa 30https://iopscience.iop.org/article/10.3847/2041-8213/ae267dライター川勝康弘: ナゾロジー副編集長。
大学で研究生活を送ること10年と少し。
小説家としての活動履歴あり。
専門は生物学ですが、量子力学・社会学・医学・薬学なども担当します。
日々の記事作成は可能な...
中国の北京大学(PKU)で行われた研究によって、地球から約1万光年離れた距離に恒星の周りを回らず、孤独に宇宙を旅している土星と同じくらいの重さの浮遊惑星が存在することが発見されました。
これまで浮遊惑星の存在は知られていたものの、距離と質量については正確に観測することは困難だったこともあり、両者の正確な観測に成功した今回の研究成果は画期的なものと言えます。
過去の研究によれば、このような恒星系から飛び出した浮遊惑星は恒星の数と同等かそれ以上存在すると推定する研究もあります。
もしこうした「星なき惑星」が天の川銀河に数十億から数兆も存在するとしたら、私たちがこれまで思い描いてきた「惑星」のイメージは大きく塗り替えられることになるかもしれません。
研究内容の詳細は2026年1月1日に『Science』にて発表されました。
目次
浮遊惑星の重さは誰も知らなかった1万光年のかなたを彷徨う浮遊惑星は土星くらいの重さがあった
浮遊惑星の重さは誰も知らなかった
浮遊惑星の重さは誰も知らなかった / Credit:Canva
「惑星にも孤独な放浪者がいるのかもしれない」──そんな空想をしたことがある人は多いと思います。
私たちが教科書で習う惑星は、太陽のような恒星の周りをぐるぐる回る「付き人」のような存在です。
ところが宇宙には、その恒星から切り離されて、暗闇の中をひとりで旅している“はぐれ
...more惑星”がいると考えられています。
コラム:実は浮遊惑星の数はめちゃめちゃ多い
天の川銀河(銀河系)には、だいたい1000億〜4000億個くらいの恒星があると言われています。一方で浮遊惑星は「数十億個~数兆個」レベルに達すると推測されています。数に大きな幅がある(特に上限が凄い)のは、数兆個という試算には月サイズの準惑星レベルのものも含めて考えているという要因もあるからです。ただ人類が拠点にするには準惑星レベルでも十分そうにも思えます。何光年も離れた隣の恒星との間には十個以上の浮遊惑星が中継地点として存在する場合もあるでしょう。これら浮遊惑星の多くは星系内の重力の押し合いなどによって星系から放り出されたものが多くを占めると考えられています。
このような放浪惑星は、自分ではほとんど光らない「真っ暗な物体」です。
そのため、どこにどれだけあるのかを直接見ることはとても難しくなります。
たまたま見つかったとしても、どのくらい遠くにいるのか、重さ(質量)がどれくらいなのかを測るのは簡単ではありません。
では、天文学者たちはこれまでどうやって「見えない惑星」を追いかけてきたのでしょうか。
そこで使われてきたカギが「重力マイクロレンズ現象」です。
重力マイクロレンズ現象とは、手前にある天体の重力によって、その奥に見えている星の光が曲がり、一時的に明るく見える現象のことです。
放浪惑星のように暗い天体でも、ちょうど背景の恒星と一直線に重なるとき、その重力がレンズのように働きます。
すると奥の星の光が少しだけ増幅され、なにもないはずの場所で星がふっと明るくなったように見えます。
言い換えると、浮遊惑星そのものが「一瞬だけ光を強める虫メガネ役」になってくれるのです。
この「一瞬の明るさの変化」をたくさんモニターすることで、天文学者たちは「ここを何かが横切った」という事実だけはつかむことができます。
しかし、明るさが上がって下がるという光のカーブだけでは、レンズになった天体がどれくらい遠くにいるのか、どれくらい重いのかを別々に決めることはできません。
その結果、過去10年ほどの観測から10個前後の放浪惑星候補が報告されてきましたが、「候補」にとどまり、直接の重さはわかっていませんでした。
そこで今回の研究チームは、ここに新しい“ひと手間”を加えました。
「見えない惑星」に、きちんとした体重計を当てられるようにしようとしたのです。
そのために使われたのが「視差(パララックス)」という仕組みでした。
視差とは、見る位置が変わることで、同じものが背景に対して少しずれて見える現象です。
私たちの両目も、右目と左目が少し離れた位置にあることで、世界を微妙に違う角度から見ています。
脳はこの左右の差を利用して、ものまでの奥行きや距離を感じ取っています。
今回の研究では、この「両目」を地球と宇宙空間に置き換えました。
地上の望遠鏡を片方の目、欧州宇宙機関(ESA)のガイア衛星をもう片方の目に見立てたのです。
ガイア衛星は地球から約150万〜200万キロメートルほど離れた場所を回っていて、人間の目の間隔とは比べものにならないほど遠くにある“二つ目”になります。
この二つの地点から同じマイクロレンズ現象を同時に観測すると、背景の星が一番明るくなる「ピークの時刻」が、地上と宇宙とでわずかにずれて見えます。
この時間のズレこそが、視差から距離を割り出すためのスケールの目盛りになります。
そして距離がわかれば、明るさの変化のしかたと組み合わせることで、「宇宙のどこを」「どれくらい重い放浪惑星候補」が通り過ぎたのかを、体重計で測るように求めることができるのです。
そしてついに2024年5月、チャンスが訪れました。
1万光年のかなたを彷徨う浮遊惑星は土星くらいの重さがあった
1万光年のかなたを彷徨う浮遊惑星は土星くらいの重さがあった / Credit:Canva
2024年5月、銀河系の中心方向にある遠い星が、わずか2日間ほどだけ少しだけ明るく輝く現象が地上の望遠鏡群で観測されました。
さらに幸運にも、その同じ現象を宇宙望遠鏡のガイア衛星も観測していました。
研究チームはこのデータを急いで解析しました。
すると、地上の望遠鏡が記録した明るさのピークと比べて、ガイア衛星が記録したピークのタイミングが約1.9時間も遅れていることを発見したのです。
これはまさに、待ち望んでいた「視差」によるピークのズレでした。
この時間差を使った三角測量によって、初めて放浪惑星までの距離と質量を正確に測定することが可能になったわけです。
分析の結果、この惑星候補までの距離は約3.05キロパーセク(およそ1万光年)だと判明しました。
また惑星の質量は木星の約0.22倍、地球にすると約70個分の質量で、土星よりわずかに軽いものでした。
こうして放浪惑星候補は、初めて明確な数値を持った惑星として私たちの前に姿を現したのです。
ワルシャワ大学によると、この放浪惑星の近く、約20天文単位(地球と太陽の距離の20倍以内)には恒星が見つからなかったため、この天体は本当に宇宙空間を孤独に漂っている可能性が高いとされています。
浮遊惑星の中には月くらいのサイズのものも存在すると考えられています / Credit:Canva
今回の研究により、星に縛られず漂う放浪惑星候補の距離と質量を直接に測定できることが示されました。
質量の直接測定は放浪惑星研究における「ゲームチェンジャー」です。
「初めて、放浪惑星候補の質量を直接測ることができました。もう“だいたい”ではなく、本当に惑星だと確信できます」と董氏は述べています。
こうしたデータが増えることで、惑星の起源や歴史についての理解を深める道が広がっていくと期待されています。
事実、本成果は長年謎に包まれていた放浪惑星の正体に迫ったという点で、「1990年代の最初の系外惑星発見に匹敵する発見だ」とウダルスキ氏は述べています。
この画期的な測定手法は、今後の天文学にも大きな追い風となるでしょう。
これまで行われた研究では、理論上は、星なき惑星が銀河系に数十億から数兆ほど存在する可能性が指摘されています。
今回明らかになった放浪惑星は、そうした無数の“宇宙の浮浪児”の氷山の一角にすぎないのかもしれません。
もしかしたら未来の小学生に「そもそも惑星とは恒星をまわっていているものであり・・・」といった調子で解説をすると、クスクスと笑い声が聞こえてきてしまうようになるかもしれません。
全ての画像を見る参考文献Joint ground- and space-based observations reveal Saturn-mass rogue planethttps://www.eurekalert.org/news-releases/1111054元論文A free-floating-planet microlensing event caused by a Saturn-mass objecthttps://doi.org/10.1126/science.adv9266ライター川勝康弘: ナゾロジー副編集長。
大学で研究生活を送ること10年...