我が国固有の領土である尖閣諸島を自国領と主張し、領海侵犯を繰り返す中国当局。7月には尖閣周辺のEEZ内に無断で設置された海洋調査ブイが発見されるなど、中国による侵犯行為はエスカレートの一途を辿っています。今回のメルマガ『黄文雄の「日本人に教えたい本当の歴史、中国・韓国の真実」』では台湾出身の評論家・黄文雄さんが、こうした行いは領土領海拡大を目論む中国の常套手段と断言。さらに日本政府に対して、沖縄奪取計画を着々と進める習近平政権への警戒を呼びかけています。
※ 本記事は有料メルマガ『黄文雄の「日本人に教えたい本当の歴史、中国・韓国の真実」』2023年9月20日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はこの機会にバックナンバー含め初月無料のお試し購読をどうぞ。
プロフィール:黄文雄(こう・ぶんゆう) 1938年、台湾生まれ。1964年来日。早稲田大学商学部卒業、明治大学大学院修士課程修了。『中国の没落』(台湾・前衛出版社)が大反響を呼び、評論家活動へ。著書に17万部のベストセラーとなった『日本人はなぜ中国人、韓国人とこれほどまで違うのか』(徳間書店)など多数。
【中国】領土領海をでっち上げる中国による「日本の領海侵略」
● 尖閣諸島近くのEEZ内、中国が新たに海洋調査ブイ…潮流データを海警船が活用か
中国が尖閣諸島近くの日本のEEZ内に海洋調査ブイを勝手に設置していたのが見つかりました。報
...more道にもありますが、2016年と2018年にも同じような場所で同じようなことがありました。その時は、固定が甘かったのか固定していなかったのか、ブイが漂流してしまい、日本側がそれを回収し、詳しく調べた後に、中国側に引き渡したということがありました。
今回の部位は、報道によると、
「中国海洋観測浮標QF212」と書かれていた。海底に重りを下ろして固定しているとみられる。
直径10メートル程度のブイ
● 尖閣諸島近くの尖閣諸島近くのEEZ内、中国が新たに海洋調査ブイ…潮流データを海警船が活用か内、中国が新たに海洋調査ブイ…潮流データを海警船が活用か
とのことです。もちろん日本政府は中国側に抗議して、ブイの即時撤去を求めています。さらに松野官房長官は、「EEZでわが国の同意なく構築物を設置することは国連海洋法条約上の関連規定に反する』と批判しました。
● 中国、日本のEEZ内に海上ブイ設置 松野長官明らかに
海上保安庁によると、このブイは今年7月に設置されたらしく、今だに撤去されていないとのこと。松野官房長官は、「領土、領海、領空を断固として守り抜くとの考えのもと、毅然(きぜん)かつ冷静に対処していく」と言っていますが、全く効果がないことは歴史が証明しています。
中国は確信犯的に領土領海拡大を目論み、いつの間にか「中国の核心的利益」として、自国の領海だと主張し始めるというのが、常套手段だからです。ときには「歴史書にそう書いてある」と、まったく関係ない記述を強引に「領土領海の証拠」とでっち上げることも少なくありません。まさしく尖閣諸島はそうしたでっち上げで、いつのまにか中国が「核心的利益」にしてしまったのです。
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このブイが問題になっている同じ時期に沖縄の玉城知事が、スイスのジュネーブで開かれている国際人権理事会で日本政府を批判するスピーチをしました。その内容について、以下、報道を一部引用します。
演説で玉城氏は米軍普天間飛行場(宜野湾市)の名護市辺野古への移設計画に関し、「県民投票という民主主義の手続きにより反対という民意が示されたにもかかわらず、日本政府は新基地建設を強行している」と主張した。移転計画を巡り、最高裁が今月4日の判決で、移設を進める国の主張を全面的に認めたことへの対応については「検討中」と述べるにとどめた。
● 玉城デニー知事、国連人権理事会で演説…米軍基地集中の「沖縄の状況に世界が関心を」
玉城知事については、媚中的な行動がよく報道され、前回の訪中の際も中国にすりよる姿勢は実に不愉快でした。このスピーチについて、産経新聞に登場したジャーナリストの我那覇真子氏は、「玉城知事は沖縄の分断工作に加担している」と主張しています。その内容について、以下、報道を一部引用します。
「玉城デニー知事は今回、沖縄県民を『先住民族』だと訴えるNGOの発言枠を使って演説をした。公的立場でありながら、沖縄と本土の分断を図るプロパガンダに加担する行為といえる。ただ、翁長雄志前知事は『先住民族』と親和性の高い『自己決定権(self-determination)』という言葉を演説に盛り込んだが、玉城氏は使わなかった。『先住民族』論が県民に全く浸透せず、逆に抗議活動が勢いを得たからだろう。沖縄をめぐる問題で最も注目すべきは、実は基地反対か容認かではない。『分断して統治せよ』という言葉があるが、本土との分断工作が進んでいることに警戒すべきだ。その背後に中国がいることも、忘れてはならない」
● 「玉城知事は沖縄の分断工作に加担」 前回カウンタースピーチの我那覇さん
全く同感ですね。尖閣諸島でのブイ設置と玉城知事の言動が、中国による一連の計画に思えてしかたありません。このメルマガでもご紹介しましたが、中国はアジア地域の境界線を勝手に操作し、勝手に自国の領土や領海だと主張しています。標的となった被害国は、もちろん猛反発しており、中国の言いなりにはならないと主張しています。
日本は、それ以前から狙われており、沖縄が中国に狙われている説はかなり前からありました。そして、上記の我那覇氏が言うように「分断して統治せよ」という計画のもと、あらゆる手段を使って日本本土と沖縄の分断を進める一方で、沖縄を頂く準備を着々と進めているのではないでしょうか。
日本政府がうかうかしている間に沖縄を取られてしまうというシナリオが、現実味を帯びて迫ってきています。
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日本以上のスピードで少子化が進み、労働者不足に頭を痛める韓国。そんな隣国から見て、我が国の人材確保政策はどのように映っているのでしょうか。今回の無料メルマガ『キムチパワー』では韓国在住歴30年を超える日本人著者が、日本の海外人材への門戸拡大政策を好意的に伝える現地メディア掲載記事を紹介。その上で、自身の母国に対する偽らざる心情を吐露しています。
「選ばれる国」を目指す日本
東京で外国人労働者に最も簡単に出会うことができるところはコンビニだ。外国人らしさが感じられる東南アジア人が最も多い。中国人や韓国人の場合は、名札を見るまでわからないことが多いけれど。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の大流行前には、24時間3交代勤務するすべての店員が外国人であるコンビニもあった。
大都市のコンビニで毎日外国人に接する日本に比べ、主に工業団地や農村に多く(外国人労働者が)分布する韓国は、外国人労働者の体感水準が違う。総人口対比外国人労働者の割合は韓国1.6%(84万人)、日本1.4%(182万人)と似ているが、現実の世界で肌で感じる体感には差がある。
外国人労働者が身近だからだろうか。日本の海外人材の門戸拡大政策の足取りは日増しに速くなっている。日本最大の経済団体である経団連は、日本が「外国人に選ばれる国」にならなければならないとし、政府に制度改善を求めている。経団連は「5年以上働けるよ
...moreうにしてこそ企業が役員登用まで考え中長期人材育成ができる」と主張する。雑用ばかり任せないということだ。
小さな制度一つを改善することにも慎重な日本だが、外国人人材の拡大においてだけは「日本らしくない」ほど早い。この30年間、外国人人材確保政策の中心だった「技能実習制度」は廃止が既成事実化された。この制度は「発展途上国に技術を伝授する国際貢献」という見てくれはいいが虚勢だけ立派で外国人人権を侵害し労働力を搾取したという指摘を受けたりもした。
その代わり、日本政府は今年に入って「特定技能2号」の拡大を推進中だ。建設業、造船業のように人手不足が深刻な業種を指定し、外国人労働者を受け入れる制度だ。
滞在期間の制限がなく、家族を連れてくることもでき、永住権も取れる。自民党保守派は「事実上移民許容」と反発しているが、大勢はその方向に傾いている。本格的に議論が始まってから1年も経っていないのに、今月に入って老人の世話、タクシー・バス業界などで「私たちも許容してほしい」と要請する状況だ。
高度人材ビザもある。情報技術(IT)従事者や上位大学出身、修士・博士学位者に加算点を与えながらビザ取得を促す。日本企業がこのビザを活用して韓国で人気のIT開発者を「招いた」事例はもうニュースでもない。昨年まで約3万8000人の韓国人が恩恵を受けた。
高度人材ビザ取得者は、日本で普通の日本人より待遇が良い。通帳一つ作るのに2週間前から予約して待たなければならない国で、高度ビザを取得した外国人には低い金利で住宅担保融資をすると銀行営業社員が査定する。
国内産業現場の深刻な人材不足と少子高齢化を考慮すれば、韓国は外国人労働者をめぐって日本と競争しなければならない立場だ。外国人労働者数人が辞めても工場が止まり、畑で作物を収穫できないのが現実だ。
田舎に運転手がいなくて路線バスが廃止される日本の状況が、数年後に韓国で起きてはならないという法律もない。不法滞在や健康保険の不当受給は防ぐ必要がある。しかし、一部逸脱(外国人労働者の犯罪など)のために外国人人材導入の敷居を高めなければならないという声は、現実からそっぽを向いたいい加減な主張だという指摘が出ている。
尹錫悦政府初期、移民庁設立論議が始まり、大統領が直接外国人材統合管理方案を講じるよう注文したが、外国人人材誘致のためのまともな議論は発動すらかからなかった。数か月ぶりに外国人人材流入制度を新たに整え拡大まで検討している日本と比べると、遅すぎるなどというものではない(話にならないくらい遅い)。「外国人に選ばれる国になる」という日本に遅れを取れば、韓国経済の未来はさらに暗鬱になる。(東亜日報ベース)
日本は本質を見抜き本質をつかみ取るアタマが世界のなかでも一番発達しているのではないかと常々思っている。普段はすべてのことにおいてのろのろと遅いというイメージを持たれているし、それは事実かとも思う。しかし一旦本質を見抜き、本質に感応した瞬間、その動きは光速となる。力を抜くところでは最大限力を抜き、ここぞというところで120%の力でことを運ぶ。まるでメッシのようだが、そういう面が日本にはある。誇らしい面である。
(無料メルマガ『キムチパワー』2023年9月20日号)
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