韓国で逮捕された北朝鮮のスパイと見られる組織の幹部への取り調べで、北朝鮮が彼らに対して、福島第一原発の処理水を巡る悪質なデマを拡散するよう指示していたことが明らかになりました。この事件を取り上げているのは、台湾出身の評論家・黄文雄さん。黄さんはメルマガ『黄文雄の「日本人に教えたい本当の歴史、中国・韓国の真実」』で今回、北朝鮮サイドの動機を詳しく解説するとともに、我が国でも各国の工作員が暗躍していることは明白であるとした上で、日本人に対して「スパイ防止法の制定を真剣に考えるべき」と訴えています。
※ 本記事は有料メルマガ『黄文雄の「日本人に教えたい本当の歴史、中国・韓国の真実」』2023年3月29日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会にバックナンバー含め初月無料のお試し購読をどうぞ。
プロフィール:黄文雄(こう・ぶんゆう) 1938年、台湾生まれ。1964年来日。早稲田大学商学部卒業、明治大学大学院修士課程修了。『中国の没落』(台湾・前衛出版社)が大反響を呼び、評論家活動へ。著書に17万部のベストセラーとなった『日本人はなぜ中国人、韓国人とこれほどまで違うのか』(徳間書店)など多数。
【韓国】福島への「風評被害デマ」は北朝鮮の工作活動であることが判明
● 北朝鮮「福島沖に怪魚出現、奇形児出生デマを流せ」…韓国内のスパイ組織に反日感情刺激を指示
昨年に尹錫悦政権が発足して
...moreから、韓国では北朝鮮のスパイ団摘発が大々的に行われるようになっています。「従北政権」であった文在寅政権下で、韓国には数多くの北朝鮮スパイ組織が結成され、世論工作などが展開されてきたといわれています。
今年の2月には、防衛産業都市である昌原で、北朝鮮のスパイと見られる組織の幹部4人が国家保安法違反で逮捕されました。この組織は2016年に結成された左派団体「自主統一民衆前衛」で、北朝鮮工作員と接触し、さまざまな指令を受けていたことが明らかになっています。
● 「北朝鮮の指令を受けて韓半島旗を振った」…韓国の反国家団体関係者4人拘束
ソウル中央地検は3月15日、これら4人が北朝鮮工作員の指令に従い、在韓米軍の撤退を主張する反米集会や尹錫悦政権の退陣を求めるデモなどを行ったとして起訴しました。
朝日新聞は、検察関係者らの証言として、同団体は2021年ごろから北朝鮮工作員から電子メールで指示書を受信、日本の福島第一原発の処理水について、「東海(日本海)が汚染される」「魚を妊婦が食べれば胎児に影響を与える」などというデマをSNSを通じて拡散させるよう指示されていたことを報じています。
● 北朝鮮工作機関、韓国世論の扇動指示か 処理水の放出に「怪物出現」
冒頭の朝鮮日報の記事は、こうした北朝鮮からの指示を独自の調査によってさらに詳しく報じたものです。
北朝鮮側は「自主統一民衆前衛」に対し、「日本当局が福島原子力発電所の汚染水を放流すると決定したことと関連し、(中略)放射能汚染水放流問題を掲げて地域社会の反日民心をあおり立て、日本のやつらを極度に刺激する一方、あいまいに遊び続けている文在寅一党を圧迫して、当局のやつらと日本の間の対立・葛藤を取り返しのつかないところまで追い込むことに重心を置いてさまざまな反日闘争を組織・展開していかねばならない」と伝えたそうです。
そのために、「福島沖で怪魚出現、奇形児出生」といったデマをインターネットで大量にばらまいて社会的反感と不安感を増幅させるよう指示。韓国の市民・大衆運動団体が韓国政府に対して東京オリンピック参加拒否、日本の水産物全面輸入禁止、日本商品不買運動といった対日強硬姿勢を要求するよう仕向けたことが明らかになっています。
そういえば、2021年に行われた東京オリンピックでは、韓国のオリンピック委員会が選手村の食事で使われる福島県産などの食材を食べないように指導、選手村近くのホテルで韓国選手団用の弁当を用意する給食センターを設置し、日本人の反感を買ったこともありました。
● 韓国選手団が福島食材懸念 弁当支給、知事が批判
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北朝鮮は、日韓の対立を「取り返しのつかない状態へ追いやること」に重点を置いて、環境運動家や海洋専門家をテレビに出演させて、日本の「汚染水」放出が韓半島にとって破局的災厄になることを論証させるよう指示したとも報じられています。
これに関連して、「正義記憶連帯」(かつての韓国挺身隊問題対策協議会=挺対協)の前代表で国会議員の尹美香氏の元補佐官チョ・ジョンフン氏に対しても、北朝鮮のスパイ疑惑が浮上しており、慰安婦問題や徴用工問題による日韓の関係悪化も、北朝鮮の工作活動であった実態が明らかにされようとしています。
● 徴用工問題をこじれさせた「北のスパイ」と「左翼裁判官」、韓国政府が排除へ
もちろんこれまでも、北朝鮮による韓国国内での反日工作については囁かれてきましたが、その指令内容が明確な形で表に出てきたことは画期的なことです。
今回、北朝鮮が福島第一原発の処理水を「危険な汚染水」だというデマを流して日韓関係を悪化させようとしていたことが判明して、韓国国内でも日本の処理水放出に対する意見も変化してきたようです。
「朝鮮日報」は、韓国が日常的に排出しているトリチウムの量は日本が希釈して排出しようとしている量の10倍だということ、その他の欧米諸国も、日本の予定排出量の何倍、何十倍も排出していることを記述したうえで、国際的検証結果から判断すべきであり、感情論による非論理的な主張は、後々、韓国の立場を困難にすると論じています。
● 【コラム】日本の汚染処理水、国際検証結果を見て判断すべき
これは当然のことでしょう。北朝鮮の工作活動が明らかになったうえで、まだ非科学的な感情論を掲げていれば、それはすなわち、北朝鮮のスパイに関係していることを認めるようなものです。
今回の「自主統一民衆前衛」のメンバー摘発は、韓国スパイ防止当局の捜査によるものです。北朝鮮の工作活動を警戒する韓国には、もちろんスパイ防止法があります。だから摘発もできたのです。
言うまでもありませんが、北朝鮮の日韓離間工作活動が、韓国国内だけで行われてきたはずがありません。スパイ防止法のない日本のほうが、よりやりやすいでしょう。そもそも日本は北朝鮮による日本人拉致を許してしまった痛い過去があります。日本に北朝鮮による工作活動がないと考えるほうが、不自然です。
そして日本には、福島原発の処理水について、いまだ「汚染水」と呼び、科学的根拠もないままに海洋放出を声高に反対する政党や知識人、市民団体、メディアが数多く存在します。
彼らを見ていると、福島に寄り添うかのような態度をしながら、その実は、風評被害を拡散し続けているだけ、反原発といった自らのイデオロギーのために、いつまでも福島を「危険な地」としておきたいのではないかとすら思えてきますが、韓国国内での北朝鮮の工作活動を鑑みれば、当然、彼らが北朝鮮の工作活動に関連している可能性もあるわけです。
なにしろ北朝鮮は韓国国内で「環境運動家や海洋専門家をテレビに出演させて」、日本による処理水海洋放出への憎悪を煽れと指令しています。同じことを日本のエージェントに指示することで、日本国内の分断と混乱を招き、韓国への反感をより強くさせることができます。
また、同じ手法は在日米軍や慰安婦問題、徴用工問題でも行われているでしょう。日本国内での分断と韓国への反発を増幅させるためのものです。もちろん中国もこうした世論操作による国内分断工作を各国で行っていることは、世界的な常識です。
繰り返しますが、スパイ防止法のない日本は、簡単に他国の工作活動に翻弄されてしまいます。そのことが、韓国における北朝鮮のスパイ摘発によって改めて明らかにされたわけです。スパイ防止法の制定を真剣に考えるべきときなのです。
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ロシア国防省は28日、日本海で対艦ミサイル演習を実施したと発表した。ロシア国防省がSNSに投稿した声明によると、同国のミサイル艇2隻がピョートル大帝湾から巡航ミサイル「モスキート」2発を発射し、約100キロ先に設置した標的を破壊したとしている。韓国南部・釜山に米国の原子力空母が入港していることから、このけん制が狙いではないかとしている(時事ドットコム、テレ朝NEWS)。なお、日本の林外務大臣は「政府としてこうしたロシア軍の動向について、引き続き注視して参ります」と述べている(TBS NEWS DIG)。
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ロシア国防省は28日、ロシア太平洋艦隊が日本海で巡航ミサイルの発射実験を実施したと発表した。ロシアがウクライナで始めた「特別軍事作戦」が収束する見通しが立たない中、岸田文雄首相がウクライナを訪れたことに反発し、実施した可能性もある。