私たちがこの3年、常に着用し続けてきたマスク。そんなマスクを巡って今、世界的大論争が起きていることをご存知でしょうか。今回のメルマガ『小林よしのりライジング』では、小林よしのりさん主宰の「ゴー宣道場」参加者としても知られる作家の泉美木蘭さんが、その騒動を詳細に紹介。もはや地に落ちた「エビデンス界の世界最高権威」の実態を伝えています。
この3年間はなんだった?「マスクに感染予防効果なし」は本当か
医療情報の評価を世界的に展開しているコクランから、今年1月末、「マスクをつけた場合とつけない場合を比較して、インフルエンザやコロナにかかる人の数にはほとんど差がない」とする論文が発表された。
コクランは、イギリスに本部を置く国際組織で、「根拠に基づく医療(EBM=Evidence Based Medicine)」を掲げ、急速に発展する治療や予防に対して、その内容を査定する活動を行っている。
活動をまとめた論文が収録される『コクラン・レビュー』は、“エビデンス界の世界最高権威”とされ、これまで世界の医学界の教科書として専門家たちから重要視されてきた。
そこに、さんざん珍重されていたはずのマスクに意味がなかったという内容が掲載されたことで、今、世界的に大きな物議を醸している。
61万人以上が参加した調査で判った「マスクに意味無し」
コクラン・レビューは、2011年、2020年にもマスクに関する論
...more文を発表しており、いずれも「マスクをつけてもつけなくても差がない」という結論だった。
今回の論文では、世界各国でこれまで行われた78件の研究──2009年、2016年のインフルエンザ流行期/非流行期、2020年以降のコロナ禍において、病院、学校、家庭、職場、地域社会などで61万人以上が参加したマスクに関する調査を評価。
複数のデータを吟味したうえで、「マスクに感染予防効果がある」と結論づけられた論文は「信頼性が低い」と指摘し、「マスクをつけた場合とつけない場合を比較して、インフルエンザやコロナにかかる人の数にはほとんど差がない」「N95マスクと医療用・手術用マスクを比較して、おそらくほとんど差がない」と判断した。
ただし、「手指衛生(手洗い)」については、呼吸器系ウイルスの感染拡大を抑制するのに有効かもしれない、としている。
コクラン・レビューを全力で無視した日本の専門家
ところが、コクラン・レビューが1月30日に発表された直後、これをまるっと無視したのが日本の「専門家」だ。2月8日、厚労省アドバイザリーボードに、西浦博からマスクに関する資料が提出されているのだが、そのタイトルは…
「マスク着用の有効性に関する科学的知見」!
そのスンバラスィ~知見→ マスク着用の有効性に関する科学的知見
内容は、世界各国のマスク着用政策に関連した研究を引用したもので、さも「マスクの有効性は明らかである」かのような書きぶり。しかも、インフルエンザや従来の風邪の感染経路は勝手にさておいて、コロナについてのみ「無症状の感染者から2次感染が起こり、また、多くの感染者が発病前に感染性を有するとき、自宅以外での屋内空間で他者を感染させる性質があるため」、マスクは有効だと展開していた。
10日前に発表されたばかりの“エビデンス界の世界最高権威”であるコクラン・レビューには、どういうわけだか一切触れず、真逆の見解で押し通したひどい内容である。
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ジェファーソン博士がコクランから受けていた圧力
西浦博がコクランを丸無視している間も、「マスク意味なかった論文」はSNSを中心に世界中で広まり、議論が再燃していた。
2月5日には、オーストラリア放送協会の調査医療記者マリアンヌ・デマシ氏が、コクラン・レビューの主執筆者であるオックスフォード大学トム・ジェファーソン博士にインタビューを行っている。
ジェファーソン博士は、今回の論文について、
「2020年11月に発表したものを更新したレビューですが、2020年から2023年まで、エビデンスは本当に変わりませんでした。パンデミック時にマスクが有効であるというエビデンスはまだありません」
と強調。にもかかわらず、世界中の政府がマスクの義務化を実施したことについて、
「各国政府は正しいことをせず、より良いエビデンスを要求することを完全に放棄しました。パンデミックの初期には、マスクは効果がないとする声もありましたが、突然、シナリオが変わったのです」
と述べている。
日本では、免疫学の権威であったはずの宮坂昌之氏が、「マスクに感染防止効果はない」という自身の発言を突如転換。アメリカでも、コロナ対策を主導したアンソニー・ファウチ博士が、当初「マスクは必要ない」と発言していたのに、数週間後に態度を一変させた。
その原因について、ジェファーソン博士は、政府には欠陥のある研究によって納得し、自分たちが何かをしているかのように見せるだけの「悪いアドバイザー」がいたと述べ、「手洗いなどの衛生管理は目に見えないが、マスクは『目に見える政策』だ」と指摘。
悪いアドバイザーとなった専門家たちを「人道主義」と表現し、「一夜漬けの専門家は何も知らない」と皮肉たっぷりに批判した。
このインタビューの中で驚いたのは、2020年4月にジェファーソン博士らが「マスクに効果はない」という内容で出版しようとした際、コクラン側から7ヶ月間も理由もなく出版を保留されていたという話だ。
コクラン側は、ジェファーソン博士らの論文に対して、理由もなく「特別な査読が必要」と主張した上に、「このレビューには新型コロナに関する試験は含まれていません」という事実でないフレーズを挿入するよう強要したという。すでにコロナ禍に入った時期の研究が含まれているにも関わらずだ。
「あの7ヶ月は非常に重要でした。その間、マスクに関する政策が形成されていた時期だったからです。私たちのレビューは重要であり、世に出るべきでした」
ジェファーソン博士は、学者や政治家がマスクについて騒ぎ始めた時期と重なっていると振り返ったほか、次のようにも証言している。
「その7ヶ月の間に、コクランの他の研究者が、受け入れがたい研究を用いて、『正しい答え』を与えるような、『受け入れがたい作品』を作っていました」
コクランは、マスク推進政策に追随するかのように、「マスク推進のための正しい答え」を世界に与えるため、科学的根拠に基づく論文とは程遠い「作品」を、研究者に作らせていたというのだ。
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コクランが「謝罪コメント」発表でジェファーソン潰しに
ジェファーソン博士のインタビューは、衝撃的な内容だった。エビデンス界の世界最高権威とされてきたコクランが、エビデンスを放棄して「政府に都合の良い作文を書く組織」と化していたのだから。
コクランは大炎上するが、3月10日になって鎮火に乗り出した。編集長がコクランを代表して、該当の論文について「誤解を招きやすいものであったため、お詫び申し上げます」と謝罪コメントを発表したのだ。
● Statement on ‘Physical interventions to interrupt or reduce the spread of respiratory viruses’ review
編集長いわく、論文は、マスクの有効性について「結論が出なかったというのが正確なところ」だという。また、多くのコメンテーターが、論文について「マスクは効果がないことを示している」と主張しているが、「不正確で誤解を招く解釈」とのこと。
苦し紛れに「お前たちの解釈がおかしいが、誤解させたうちのジェファーソンが悪いので、謝っておく」というジェファーソン潰しをやってのけたのだ。
半狂乱のNYタイムズも日本を利用しジェファーソン潰し
このジェファーソン潰しに便乗したのが、かつて、半狂乱でスウェーデンのノーマスク・ノーロックダウンをぶっ叩いた『ニューヨークタイムズ』だ。
同紙コラムニストで、コロンビア大学教授の社会学者ゼイネップ・トゥフェクシーが、コクランの謝罪当日に『マスクが効くという科学的根拠はここにある』というコラムを執筆。
● Here’s Why the Science Is Clear That Masks Work
コクランの編集長の談として、「このレビューの誤った解釈が、将来の感染症発生に対する備えを損なうことを懸念している」と紹介し、ジェファーソン博士については、「マスクに関する知見をさらに深刻に誤解」などと批判していることを伝えた。
ジェファーソン博...
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