佐賀県内は16日夕方から18日にかけて、雷を伴った激しい雨が降る恐れがある。佐賀地方気象台は、18日には警報級の大雨が降る可能性があるとし、注意を呼びかけている。 気象台によると、太平洋高気圧周辺の暖かく湿った空気が流れ込むため、大気の状態が不安定となる見込み。16日18時から17日18時までの間に予想される1時間降水量は多いところで30ミリ、24時間降水量は多いところで60ミリ。その後も降水量が増える恐れがあるという。
2025年7月7日
学校法人立正大学学園立正大学
国立研究開発法人防災科学技術研究所
国立大学法人北海道大学
発表のポイント
・2025年2月3日から4日にかけて北海道の十勝地方において短期間の大雪(いわゆる、ドカ雪)が生じ、帯広では12時間降雪量として国内観測史上一位の120cmを記録しました。
・本研究は、十勝地方沖合に存在した黒潮起源の海の渦がもたらした海面水温の異常高温『海洋熱波』※1と気象条件(温帯低気圧※2や前線※3)の複合効果が記録的なドカ雪をもたらしたことを解明しました。
・本研究の成果は、海面水温の変動を適切に観測・推定・予測することが豪雪の理解や予測において極めて重要であることを意味するとともに、地球温暖化が深刻化する将来の世界における豪雨や豪雪のメカニズムの理解にも有用な知見となります。
【参考図】2025年2月上旬の帯広におけるドカ雪の領域気象モデル※4による数値シミュレーションの結果の可視化。白~灰色の領域は雪雲の3次元分布、陰影は海面水温、矢印は地上付近の水平風を示す。可視化にはMet.3D (https://met3d.wavestoweather.de/met-3d.html)を使用した。
研究の概要
立正大学データサイエンス学部・平田英隆准教授、防災科学技術研究所極
...more端気象災害研究領域雪氷防災研究センター・田村健太特別研究員、北海道大学大学院環境科学院・博士後期課程森岡丈博氏、北海道大学大学院地球環境科学研究院・佐藤友徳教授らの研究グループは、2025年2月上旬に北海道の帯広で発生した記録的な短期間降雪(いわゆるドカ雪)が、黒潮起源の暖かい海水を伴う海の渦に起因する海面水温の異常高温『海洋熱波』と気象条件の複合効果によって生じたことを解明しました。本研究成果は、2025年7月3日に国際学術誌「Scientific Online Letters on the Atmosphere(SOLA)」 に早期オンライン公開されました。
本研究の成果は、海洋の渦と関連して発生する海洋熱波が豪雪災害の発生リスクを高めることをはじめて指摘しました。この成果は、海の流れや渦に伴う海水温の変動を適切に観測・推定・予測することが、豪雪等の極端気象現象の理解や予測において極めて重要であることを意味します。
研究の背景
2025年2月3日から4日にかけて北海道十勝地方において短期間の大雪(いわゆる、ドカ雪)が発生しました。特に、帯広では12時間降雪量として国内観測史上一位の120cmを記録しました(図1、気象庁2025)。この影響で交通の乱れや建物被害が生じました(内閣府 2025)。
大雪が発生した際の気象概況を確認すると、北海道の南西の日本海上に温帯低気圧が存在し、この低気圧に伴う強い南東風が海から十勝平野へ吹き込んでいました(図2a)。風上側の十勝沖の海上の海面水温の状態を確認すると、暖水を伴う海の渦の影響で平年よりも4.6℃も高く、海面水温の異常高温『海洋熱波』が生じていました(図2b、2c)。この海の渦の起源を遡ると暖かい海水を伴う暖流・黒潮から切離したことがわかりました(図3)。このような大気と海洋の概況は、海洋熱波が豪雪の一因になったことを強く示唆します。
図1. (a)北海道南東部の気象庁の地上観測点における2025年2月3日から4日の積算積雪量(cm)。陰影は標高(m)を示す。(b)2025年2月10日の気象庁帯広測候所の地上観測システムの様子(撮影:防災科学技術研究所)。2月4日にはこの写真の2倍程度の積雪が観測された。
図2. (a) 2025年2月4日0から3時の期間で平均した10 m高度の水平風(矢印)、その大きさ(風速; 陰影)およびジオポテンシャル高度(等値線)の水平分布図。(b)2024年2月4日における海面における水温(等値線)、その平年値からのずれ(陰影)および海流(矢印)の水平分布図。強い海洋熱波が発生していた海域を斜線で示す。(c)図2bの緑枠内で領域平均した2月上旬の海面水温の1982~2025年の時系列図。黒線は平年値(1991~2020年の平均)を示す。
図3. 2024年5月から2025年2月の期間における海面高度(陰影)と海流(矢印)の水平分布図。
研究の内容と成果
我々の研究グループでは2025年2月上旬に帯広で発生したドカ雪の発生メカニズムについてイベント発生直後に調査を開始しました。本研究では、観測・客観解析データおよび領域気象モデルによる数値シミュレーションを組み合わせることで、ドカ雪の発生メカニズムの解明に取り組みました。まず、観測・客観解析データを用いて大雪と関連した気象条件を詳細に分析しました。次に、領域気象モデルを用いて現実的な海面水温分布を下部境界条件として与える数値シミュレーション(再現シミュレーション)と海洋熱波の影響を除いた海面水温の分布を下部境界条件として与える数値シミュレーション(海洋熱波の影響を除去したシミュレーション)を実施し、それらの比較から、海洋熱波が大雪へ与えた影響について評価を行いました。調査の結果、降雪発生時の気象条件と海洋熱波が複合的にドカ雪の発生に影響したことが明らかになりました。研究成果は以下のとおりです。
1)大雪の期間中、帯広の南東には局地的な前線(相当温位の水平勾配が大きな領域)が存在していました(図4a)。この前線に向かって、温帯低気圧に伴う強い風が十勝平野沖合に存在した湿潤で不安定な空気を送り込みました。
2)前線付近の上昇流により、湿潤で不安定な大気が上空へ持ち上げられ、帯広付近では局所的に雪雲が発達しました。このように前線上において集中的に発生・発達した雪雲が帯広周辺にドカ雪をもたらしました。
3)前線に流れ込む空気の流入経路を分析すると、十勝平野沖合の海洋熱波を伴う海の渦の上空を通過してきたことがわかりました(図4b)。海洋熱波は、海から大気への熱や水蒸気の供給を活発化させて、その上空を通過する空気を温暖・湿潤化させたことがわかりました。数値シミュレーションの結果は、海洋熱波の影響により帯広周辺の降水量が約2倍に増加したことを示しました(図5)。
図4. (a) 2025年2月4日0から3時の期間で平均した985 hPaにおける相当温位の水平勾配の大きさ(陰影)と水平風(矢印)の水平分布図。数値が大きなところに前線が存在することを意味する。(b) 2025年2月4日0時に十勝平野沿岸域に存在した空気の流入経路の可視化。線が空気の流入経路、線の色が空気の相当温位を示す。線の色が寒色系から暖色系に変化する(つまり、相当温位が増加する)ことは、空気が温暖・湿潤化したことを意味する。黄色の陰影は2025年2月4日の海面水温の平年値からのずれ、矢印は2025年2月3日12時~2月4日0時の期間で平均した985 hPaにおける水平風を示す。
図5. 数値シミュレーションによって見積もられた海洋熱波が降水量へ与えた影響(陰影)。正の値が大きいほど、海洋熱波が降水量を増加させたことを意味する。黄色の等値線は再現シミュレーションと海洋熱波の影響を除去したシミュレーションとの間の海面水温の差(単位は℃)、赤色の等値線は標高800 mのラインを示す。
今後の展開と展望
十勝沖に海洋熱波をもたらした渦は、2024年5月に北向きに大きく蛇行した黒潮続流※5から切離して発生しました(図3)。第一著者らの研究は、黒潮続流の大蛇行に伴う海洋熱波が、2023年9月上旬の千葉県における豪雨に影響したことを指摘しています(Hirata et al. 2025)。『千葉の豪雨』と『帯広の豪雪』は、一見、まったく異なる現象と思われるかもしれませんが、一連の調査の結果からどちらの現象にも近年の黒潮続流の大蛇行が関与していたことが分かりました。これらの研究は、黒潮続流の変動や関連する海の渦に伴う海面水温の昇温が、日本の各地で発生する顕著な気象現象へ影響を及ぼしていることを示唆しており、さらなる理解の深化が望まれます。
本研究の成果は、海の流れや渦に伴う海水温の変動を適切に観測・推定・予測することが、豪雪等の極端気象現象の理解や予測において極めて重要であることを意味します。また、今後、地球温暖化に伴い海面水温の上昇が継続することが予測されていますの...
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