2019年8月22日に高知県南国市で起きた小学2年生男児の水難事故。発生から5年以上も「放置」されてきたと言っても過言ではないこの事件ですが、ここに来てようやくスタートラインにまで辿り着いたようです。今回のメルマガ『伝説の探偵』では、この事案に深く関わってきた現役探偵で「いじめSOS 特定非営利活動法人ユース・ガーディアン」の代表も務める阿部泰尚(あべ・ひろたか)さんが、今年に入って決まった「いじめ問題の第三者委員会再設置」の動きを報告。その上で、遺族への支援と事件の風化防止を強く訴えています。※本記事のタイトル・見出しはMAG2NEWS編集部によるものです/原題:南国市いじめ第三者委員会再設置
高知小2水難事故がようやくスタートラインに。南国市がいじめ第三者委員会を再設置
2025年1月19日、高知小学生水難事案に確かな進展があった。私は立場上、この日、南国市役所にいた身であるため、調査委員会の方々がやり辛くなってはいけないから、詳しいレポートは避けざるを得ないが、報道にて公開された範囲と当日、ご遺族から聞いた話をここに記すことにする。
雨が降る中、報道陣は思っていた以上に集まっていた。
高知小学生水難事案は、2019年8月22日、当時小学2年生であった岡林優空君の行方が分からなくなり、その後、近くを流れる下田川で遺体で見つかった件で、当時一緒にいたとされる小学1年生から5年生の
...more4人が助けを求めずその場から立ち去ったというのが警察の調べでわかった。
詳しくは、私の記事でも確認できる。
【関連】あまりに多い嘘。探偵が調査で見抜いた高知小2水難事故の深い闇
続報も多く記事化しているので、参考にしてもらえればと思う。
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二転三転する当時の証言は、どれも的を外れていた。例えば、溺れている人はまず声を上げることができないのは、こうした件に詳しいものの常識であるが、テレビドラマなどで描かれるものは、状況を分かりやすくするために溺れている人が「助けて」という設定になっている。水の中で声を出そうとすれば大量に水を飲みこんでしまうことになるから、そもそもで声を上げることはほぼ出来ない。だからこそ、溺水は「静かな死」とか「静かな事故」と呼ばれるのだ。
しかし、当初の報道では、優空君が「助けて」と言いながら沈んでいったと証言があり、その後これは削除されている。それは不自然だと指摘があったからだ。
このように、事案自体の証言が二転三転され、それがあまりに異常であったし、ご遺族がSNSで疑問点や呼びかけをしたことなどで、多くの人が注目することになった。
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真実の追求を妨害する何らかのどす黒い勢力
一方、優空君がいじめの被害に遭っていたことから、2019年に第三者委員会の設置が決まったものの、選任された委員が市の関係者が含まれるなどして、ご遺族側が再構成等を求めると、南国市側がこれを拒絶し、2019第三者委員会の任期2年間を放置し、その後、再設置への動きを緩やかに始めた。
この間、ご遺族は多くの支援者を得て、高知県警などに対し、再捜査を願う署名活動を2回行った。初回はおよそ7万6,000筆、第2回は14万5,000筆もが集まり、これらは提出されている。およそ22万筆の署名が集まるというのは、ものすごい量である事は誰もがわかるだろう。
私はこの際の記者会見を含め、提出などでも協力したが、記者クラブに出したプレスリリースが予定2日間のところ数時間で取り上げられたり、怪文書が届く他、旧知の記者から本社にクレームが入って行けないなどの連絡を多くもらった。
ご遺族が本当に何があったのかを知りたいという思いと、事件報道をみて納得できるはずもないと思う国民、ご遺族の思いを受けて賛同した多くの人々の声は、何らかのどす黒い勢力の妨害により、提出と受理こそできても、その後は事実は何もしない形だけの捜査継続となったようだ。
事件解説などを行う著名な方々もこの件に触れると即座に「やめろ」という通知がくるそうだ。実際私には、多くの嫌がらせがあり、記事を出しているまぐまぐ編集部にも不詳の電話があったと聞く。かけ直すと「知らん、私ではない」と答えたようだ。
ご遺族にはもっと多くの嫌がらせがあった。支援者として近づきデータを盗み出そうとするスパイがいたり、直接の誹謗中傷も目を覆うほどあった。ご遺族宅にある防犯カメラには、家の玄関を撮影したり、中を覗き込もうとする男の姿があったり、不安のみならず、精神的な暴力を常に受け続けるような苦しい日々が続いていた。
そうして、やっとこの2025年に入り、いじめ問題の第三者委員会が再設置されスタートすることが決まった。
2025年に入り、高知新聞が真っ先に「再開」と報じ、2019年発足から3回目のような印象を与えたが、これは誤報であり、「再設置」であると19日取材をした報道機関は報じた。
第三者委員会の委員長は「出来得る限りの調査をして、事実をしっかり解明したい」と報道陣に述べたと同時に「中断と、新たな設置までかかった時間が長期過ることから、これも調査対象になる」と述べたと報じられている。
ご遺族である岡林優空君の父、岡林宏樹さんは、「確かに誹謗中傷や嫌がらせはあったが、SNSを通じて全国の方から温かい言葉をもらった。本当に心が折れそうなときも、多くの方からの声や言葉が支えとなった」と私に話してくれた。「ありがとうございます」と伝えたいとのことであった。
確かに、やっとスタートラインに立ったというところではあるが、多くの被害者を見ていて、このスタートラインに立たせてもらえない人もいるし、ここまで時間が掛かったのは私もはじめてのことであるが、それだけ重い事案である。
多くの方に、引き続き、ご遺族への支援、風化防止のためにできることをやって頂ければと思う。
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「事実に向き合わないこと」がそんなに大事なのか
私は本件を通じ、様々な人と出会いました。地元の方とも交流ができ、気の良い、熱い方が多くて助けてもらっています。確かに妨害はあり、今でもトラウマになるようなこともありました。おかげで、実体験としてトラウマが起きるとどうなるかを知りました。
一言で言えば、相当にきついです。
私の場合、そうは思っていられないような切迫した相談や依頼もあり、契約上絶対に遵守しなければならない期限や業務もあります。従業員もいますから彼らの生活なども私の肩には乗っています。だから、どんなにきつくても、呼吸が上手くできなくなっても、全てに対応するわけですが、それを続けると、ある日突然、身体が動かなくなるという体験もしました。
きっと治ったわけではないのです。ただ単に、そうなりそうなところでの対処方法やもし動かなくなったときの対処方法を知っているだけですが、なんとか立っています。
事実を調査すると、そんなに不都合があるものなんでしょうか。事実に向き合わないことがそんなに大事な事なんでしょうか?我が子が亡くなっても、地域の調和のために黙っていることが美学なんでしょうか?と妨害してきた人たちには問いたいです。
「必ず風化する」と何度かメッセージをもらいましたが、もう5年以上経っても、風化はしていません。そして、僅かな一歩かもしれませんが、前に進みました。ざまーみろと返信したいところですが、こういう卑怯者は、送信後すぐにアカウント変えたりしちゃうんですよね。なので、ここに記します。「ざまーみろ、卑怯者ども」と。
ご支援いただいている皆様、本当にいつもありがとうございます。私も皆様の声が心の支えになっています。引き続き、ご遺族のご支援、風化防止を何卒お願いいたします。
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image by: 伝説の探偵
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