記事のポイント
キック(Kick)は視聴時間や同時視聴者数の記録を更新し、ツイッチ(Twitch)などの競合に対して急速にシェアを拡大している。
中小規模の配信者向けに収益化条件を緩和するなど、クリエイター支援策を強化する一方で、緩やかなモデレーション方針が一部の参加障壁となっている。
共同創業者クレイブン氏は、AIによるモデレーション強化やスポンサーシップ重視の広告戦略を通じて、健全な成長と黒字化を両立させる姿勢を示している。
ストリーミングプラットフォーム「キック(Kick)」は2025年、より多くのクリエイターを獲得することをめざしている。これまでのところ、その取り組みは一定の成果を上げているが、同プラットフォームの評判には懸念が残り、さらなる成長に向けた課題となっている。
2025年3月は、キックにとって過去最高の月となった。プラットフォームの担当者によれば、同月の総視聴時間は3億1700万時間を超え、平均同時視聴者数は44万3559人と過去最高を記録した。
現在、キックの総ユーザー数は5700万人を超えており、ツイッチ(Twitch)などの競合プラットフォームに対して急速に市場シェアを拡大している。
ツイッチは総ユーザー数を公表していないが、同社のCTOであるクリスティーン・ウェバー氏のブログ記事によると、2023年の平均アクティブユーザー数は250万人...moreを超えていた。第三者の推計では、ツイッチの月間ユーザー数は約2億4000万人とされている。
キックは現在も、さらなる規模拡大に向けた投資を続けている。「キック・ロード(Kick Road)」キャンペーンは、小規模なクリエイターにキックへの参加を促す取り組みだ。4月2日から5月23日の期間にもっとも多くの視聴時間を獲得したクリエイターに、総額5万ドル(約710万円)の賞金が授与される。優勝者には2万ドル(約280万円)、6人の準優勝者にはそれぞれ5000ドル(約71万円)が贈られる。
また、3月には「ピッチ・キック(Pitch Kick)」プログラムも開始された。これは、クリエイターがライブ配信のアイデアを提案することで、キックのトップページに取り上げられる可能性が得られるという内容である。同月には、ライブ配信を収益化するための条件も緩和された。
一方で、こうしたインセンティブが用意されているにもかかわらず、キックへの参加に慎重な姿勢を見せるクリエイターも存在する。比較的緩やかなコンテンツモデレーションポリシーや、右派インフルエンサーであるアディン・ロス氏のような人物が注目を集めている状況が、リベラル派やマイノリティの立場にあるクリエイターにとっては、参加をためらう理由となっている。
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The post ストリーミング急拡大の Kick Twitchを追うも揺れるモデレーション対応 appeared first on DIGIDAY[日本版].