石破茂氏は首相就任前に、先んじて衆院選の実施を明言した。この対応は、憲法に違反する疑いがあるとの批判が出ている。 石破氏は9月30日、新総裁として記者会見した自民党本部で衆院の解散に踏み切る方針を示し、10月27日に衆院選を実施することを表明。「首相でない者がこのようなことを行うのは、かなり異例
岸田文雄首相の後継を決める自民党総裁選は27日午後、自民党本部で投開票され、石破茂元幹事長(67)=無派閥=が第28代総裁に選出された。総裁任期は3年。10月1日召集の臨時国会で、石破氏は第102代…
2013年7月に投開票が行われた参院選の公示日4日前、当時の安倍晋三首相と旧統一教会会長らが自民党の総裁応接室で面談していたとされる写真を、9月17日付の朝刊でスクープした朝日新聞。教団票の差配に関する協議も行われたとの証言もありますが、岸田首相やすべての総裁選候補は統一教会問題の再調査を頑なに拒むかのような姿勢を崩しません。今回の『きっこのメルマガ』では人気ブロガーのきっこさんが、これこそが政権とカルト教団の癒着の実態と指摘。さらに政権が変わらないかぎりこのような状態が終わることは決してないと断言し、ある国の事例を挙げて解説しています。※本記事のタイトル・見出しはMAG2NEWS編集部によるものです/原題:政権とカルト教団
安倍晋三と統一教会だけじゃない。政権とカルト教団「癒着」の実態
日本と同じアジアの島国であるフィリピン共和国は、国としての規模が日本ととても良く似ています。まず、日本の総面積は約37.80万平方キロメートル、フィリピンの総面積は約34.34万平方キロメートル。日本の人口は約1億2,400万人、フィリピンの人口は約1億1,600万人。国土の総面積も人口も、フィリピンは日本の約9割ほどで、ほぼ同じ規模なのです。
また国際社会での立ち位置も、日本もフィリピンも同盟国の名のもとにアメリカから都合良く使われがちな点や、日本は東シナ海で、フィリピンは南シナ海で、中国からの
...moreチョッカイに手を焼いている点なども類似しています。そして、こうした背景を踏まえた上で、アメリカと中国の板挟みになりつつも、自国の経済のために外交努力に余念がない点も同様でしょう。
しかし、こうした表面上だけでなく、水面下でも日本とフィリピンは、否、日本の自民党政権とフィリピンの前ドゥテルテ政権は酷似していたのです。それは、政権与党がカルト教団と手を組み、政権維持のために利用していたという点です。日本では朝日新聞が、2013年の参院選の直前に当時の安倍晋三らが自民党本部で統一教会の会長らと面会している写真を公開したことで、これまでの岸田文雄首相の「党としての組織的な関係はなかった」という説明が虚偽であったと証明されました。
それでも岸田首相は「再調査の必要はない」と強弁し、任期切れでの逃亡を図りました。また、総裁選に出馬している9人の候補者も、全員が再調査には否定的な姿勢を示し、今でも教団と深い繋がりのある議員が多数いるという自民党の実体を白日の下に晒したのです。そんな「自民党と統一教会の問題」が再燃する中、フィリピンでは9月8日、ロドリゴ・ドゥテルテ前大統領の盟友と言われるアポロ・キボロイ容疑者(74)が、フィリピン国家警察(PNP)に逮捕されました。
アポロ・キボロイは、フィリピンのミンダナオ地方ダバオ市に30ヘクタール(東京ドーム6.4個分)の広大な拠点を持つカルト教団「イエス・キリストの王国(KOJC)」の創設者にして教祖であり、自分のことを「宇宙の所有者」だの「神に任命された息子」だのと抜かしてるアレな人です。でも、統一教会しかり、こういうアレな人にこそ騙されちゃうんですよね、ピュアな一般人たちって。
アポロ・キボロイの宗教詐欺の基本は「この世は近いうちに滅亡するが、私を信じて寄付をした者だけは救われる」という宗教詐欺の定番メニューですが、このカルト教団の信者数は、フィリピン国内に400万人以上、ウクライナやブラジルやアメリカなどに200万人以上、推定で600万人を超えると見られています。キボロイは統一教会と同様に、信者らに強制的に集金活動をさせ続けているだけでなく、気に入った女性信者を日替わりで「夜の義務」と称した自分への性的サービスを強要して来ました。
ドゥテルテ政権が一丸となって守った「太すぎる客」
他にも、児童への性的虐待や人身売買や偽装結婚の斡旋、詐欺や強制労働、現金密輸や資金洗浄などを繰り返し、2014年から2019年までの6年間だけで少なくとも約2,000万ドル(約30億円)を集め、自身の贅沢三昧や政治家への賄賂に使って来ました。フィリピン国内に数々の不動産を所有しているだけでなく、分かっているだけでも米カリフォルニアと米ラスベガスとカナダに、計1,100万ドル(約16億5,000万円)を超える4つの邸宅を所有しています。
アメリカ連邦大陪審は2021年11月、アポロ・キボロイを複数の罪で起訴し、逮捕状を出しました。そして、米FBIはキボロイを指名手配しましたが、彼をアメリカから守ったのがロドリゴ・ドゥテルテ前大統領でした。マルコス独裁政権時代から政治家への賄賂を怠らなかったキボロイは、常にフィリピン政権から守られて来たのです。
ロドリゴ・ドゥテルテ前大統領は2016年、テレビのインタビューで、ダバオ市内の3つの不動産と2台の車をアポロ・キボロイからプレゼントしてもらったと話しました。そして「教祖はとても気前がいい。別荘や車など何か買い物をする時は、必ず2つ買って1つを私にくれる」と笑顔で述べています。また、自身の持病の治療のため、アメリカのトップクラスの脳外科医を紹介してもらった上、高額な医療費も全額をキボロイが負担してくれたと述べました。
キボロイは2機の航空機と3機のヘリを所有しており、選挙のたびにドゥテルテ前大統領を始め、政権の中枢の政治家らに無償で提供して来ました。ここまでしてくれる「太すぎる客」なのですから、いくらアメリカのFBIが指名手配をしようとも、ドゥテルテ政権は一丸となってキボロイを守ったのです。それまでのアキノ政権が「親米反中」だったのに、ドゥテルテ前大統領に代わったとたんに「反米親中」になったのも、この「太すぎる客」を守るためだったのです。
ドゥテルテ前大統領は、アポロ・キボロイを自分の「スピリチュアル・アドバイザー」に任命し、精神的なことだけでなく、政治的な問題に関してまで、キボロイに意見を求めるようになりました。しかし、これが功を奏したのか、「麻薬密売人は裁判など受けさせずにその場で射殺しても良い」などという民主主義を無視したトンデモ政策も国民からは支持され、最後まで高い支持率を誇ったのです。
日本では「フィリピンのトランプ」などと揶揄されましたが、それはアメリカの属国である日本のマスコミの報じ方の問題だったと思います。たとえば日本の拉致問題について、ドゥテルテ前大統領は「日本は兄弟よりも大切な友人だ。北朝鮮の金正恩は大馬鹿野郎だ」と述べているのです。こういう発言を日本のマスコミが正しく報じていれば、日本からの見方も変わっていたかもしれません。もちろん、それとカルト教団との癒着の問題は別ですが。
さて、そんなフィリピンですが、現在の大統領は、ボンボン・マルコス(66)。これは通称で、本名はフェルディナンド・マルコス・ジュニア。1965年から20年間に及ぶ独裁政権に君臨した悪名高きフェルディナンド・マルコス元大統領の長男で、私物化した税金で買いあさったイメルダ夫人の3,000足もの靴のコレクションを覚えている人もいると思います。
そして副大統領は、サラ・ドゥテルテ(46)。これまた強権を振るったロドリゴ・ドゥテルテ前大統領の長女です。ドゥテルテ前大統領の任期満了に伴って行なわれた2022年5月の大統領選では、当初、出馬を示唆しましたが、すぐにボンボン・マルコス候補との連携を発表し、自身は副大統領選に出馬。そして、ボンボン・マルコス&サラ・ドゥテルテのタッグは、対立候補に倍以上の差をつけて圧勝し、今日に至るというわけです。
有権者の15%を意のままに操るアポロ・キボロイ
で、この時、教団を挙げてボンボン・マルコスとサラ・ドゥテルテを支援したのが、そう、アポロ・キボロイでした。キボロイは2人への全面支援を宣言し、航空機やヘリの無償提供を始め、あらゆるバックアップに尽力しました。しかし、何よりの支援は、400万人を超える国内の信者でした。冒頭でフィリピンの人口は約1億1,600万人と書きましたが、フィリピンは日本と違って未成年者が多い国なので、有権者は人口の半数の,6000万人ほどしかいません。
しかし、そのうちの15%に当たる400万人が、キボロイの指示通りに動く洗脳信者なのです。これは得票数としても選挙の支援としても大きな力です。そして、その結果、ボンボン・マルコスとサラ・ドゥテルテの2人は対立候補にダブルスコアで圧勝したのです。
この結果を誰よりも喜んだのが、米FBIから指名手配されているアポロ・キボロイでした。選挙後の2022年6月19日、サラ・ドゥテルテの副大統領就任宣誓式に「宗教指導者」として招待されたキボロイは、...
安倍晋三首相(当時)が2013年の参院選直前、世界平和統一家庭連合(旧統一教会)の会長らと自民党本部の総裁応接室で面談し、教団側による自民比例候補への選挙支援を確認したとされる問題で、この候補が実際…
自民党総裁選で、一時は独走状態にみえた小泉進次郎氏が急失速している。最新の各紙調査からは「石破氏vs高市氏」の決選投票になる可能性が浮上。このまま進次郎氏が消えれば、自民と対照的に地味な代表選を繰り広げる立憲に一筋の光明が差すかもしれない。元全国紙社会部記者の新 恭氏が詳しく解説する。(メルマガ『国家権力&メディア一刀両断』より)※本記事のタイトル・見出しはMAG2NEWS編集部によるものです/原題:進次郎失速か?高市総裁誕生なら立憲は攻めやすいが
進次郎氏早くも失速で、自民党総裁選劇場のシナリオに狂い
自民党総裁選で、大本命とみられた小泉進次郎氏の勢いが失速しているようだ。もしかして、高市早苗氏または石破茂氏が総理・総裁の座に就く可能性もあるのだろうか。
そうなると、“刷新感”の衣を纏った進次郎劇場を総選挙に向けて繰り広げ、国民を幻惑しようとする自民党裏選対のシナリオは崩れてしまい、逆に地味な代表選を続ける立憲民主党にとっては、一筋の光明となる可能性がある。
16日の読売新聞オンラインに、党員・党友への電話調査(14、15日)と、国会議員に投票先を取材した結果が掲載されている。
それによると、党員・党友の投票先は、石破氏が26%、高市氏が25%、小泉氏が16%で、他の候補者に圧倒的な差をつけている。これを票として試算すると、石破氏が97票、高市氏が94票、小泉氏が60票
...moreになるという。
また、誰に投票するかを党所属国会議員の96%に当たる352人から聞き取りしたところ、小泉進次郎氏(45人)、小林鷹之氏(40人)、林芳正氏(35人)、茂木敏充氏(33人)、高市早苗氏(29人)、石破茂氏(26人)、河野太郎氏(24人)、上川陽子氏(23人)、加藤勝信氏(21人)の順になった。もっとも、「未定」と「未回答」の91人がどうするのかは、わからない。“勝ち馬”を見定めたいということだろうか。
「石破氏vs高市氏」の決選投票になる可能性
今回の総裁選は9人もが乱立しているため、票が分散し、国会議員367票、党員・党友367票による1回目の投票で過半数を獲得する候補者はいないとみられている。注目のマトは、決選投票にのぞめる上位2人が誰になるかだ。
そこで、この読売調査で判明した党員票と議員票を足してみると、高市、石破両氏が123票で並び、小泉氏が105票となった。実に意外な結果である。
読売だけではない。日本経済新聞社とテレビ東京の世論調査(13~15日)でも、自民党支持層に限れば、トップの石破氏が25%、2位の高市氏が22%。小泉氏は21%で、前回のトップから3位に転落した。
石破氏への支持はもともと高かったので不思議はない。特筆すべきは、ついこの間まで小泉氏や石破氏の後塵を拝していた高市氏の急伸だ。もともとネット上では、安倍元首相の後継者として人気があったが、ここへきて岩盤保守層の界隈では、高市総裁を待望する声が澎湃(ほうはい)として湧き上がっている。
これまで小泉進次郎氏が強いと見られていたのは、総裁選に出馬する意思を示したとたん、世論調査で石破氏と肩を並べるほど人気がハネ上がったことと、党の刷新をアピールする広告塔としての期待感が、衆院選をひかえた議員たちの間で高いからだ。
石破氏はメディアのインタビューに応じて政権に批判的な発言をすることが多いためか、国会議員間の評判はよくない。かりに党員・党友票でまさっても、議員票では劣勢とみられている。このため、全体としては小泉氏が1位で、2位に石破氏か高市氏という見方が強かった。それは今でも変っていないのではないかと筆者は個人的に思う。
だが、読売や日経の調査を素直に受け取るなら、上位2人から小泉氏がはじき出される可能性がなくはない、ということになる。かりに石破、高市両氏による決選投票になれば、議員票の比率が高いため、高市勝利も十分考えられるのだ。
人気急落、小泉進次郎氏の大誤算とは?
それにしてもどうして、小泉人気が急落したのだろうか。9月14日の夕刊フジは、12日の日テレの調査などで高市氏の評価が上昇していると指摘したうえ、小泉失速の原因について、二人の識者のコメントを掲載した。
「告示(12日)前に行った出馬会見で差が出たのではないか。高市氏は自分の言葉で力強く語っていた一方、小泉氏は用意された原稿をうまく読むだけで演出に失敗したようにみえた」(政治ジャーナリスト、安積明子氏)
「高市氏と石破氏は強気に見える一方、小泉氏は根っこがないように感じる」(経済ジャーナリスト、荻原博子氏)
各候補者の出馬会見を見た後、人々の小泉氏に対して抱く印象が以前とは変ってきたのだろうか。政策面をみると、「解雇規制の見直し」を打ち出していることがマイナスに響いているかもしれない。
「新卒入社した企業で定年まで働く終身雇用は通用しなくなっている。賃金が上がらない理由も、優秀な人材が成長分野に流れていかないことにある。日本経済のダイナミズムを取り戻すために不可欠な労働市場改革の本丸である解雇規制の見直しに挑みたい」(小泉氏出馬会見より)
大企業に眠る人材が、スタートアップや中小企業に流れやすくする仕組みをつくるために、解雇がしにくい今の規制を見直すというのである。解雇を検討するさい、働く人のリスキリング・学び直しとその間の生活・再就職支援を義務付けるのが改革の主眼だと小泉氏は言うが、世間の納得を得るのは、なかなか難しい。
不要な社員を整理し国際競争力をつけるための規制緩和を求める経済界のニーズにそったもの、あるいは、首切りをしやすくするための政策手段と言われても仕方がないだろう。
TV討論で進次郎氏を圧倒した高市氏
その点を小泉氏の弱みとみた高市氏は12日のテレビ討論(フジテレビ系)で小泉氏を指名し、次のように質問した。
「労働市場の流動化のご主張ですが、OECDの指標をみると、イタリア、フランス、ドイツの方がかなり解雇しにくい。G7では日本は4番目で、どちらかというと解雇しやすい国になっている」「労働市場の自由化をしたら、より生産性が高く賃金が高いところにいけず、失業してしまう可能性はないですか」
小泉氏は「解雇の自由化なんてまったく考えていません。大企業にセーフティーネットとしてリスキリング(職業能力の再開発)や再就職支援の義務づけをやっていきたい」と、主張した。
高市氏は、日本はすでに解雇しやすい国なのだから、規制を見直す必要はないと言っているようなのだが、進次郎氏はそれには反論せず、企業に再就職支援の義務づけをするのだと、出馬表明用に作成した文言の一部を繰り返すだけ。かみ合わない議論の仕方はいつも通りだ。
他の候補者に比べ、進次郎氏の能力はお世辞にも高いとは言い難い。それでもなお、進次郎氏の人気をアテにしなければならないのが、今の自民党のつらいところだ。
だが高市氏で自民は衆院選に勝てるのか?
それにしても、かりに高市氏が自民党の総裁になり、首相の座につくとして、衆院選で党の再生を堂々とアピールできるのだろうか。
高市氏の推薦人の顔ぶれを見てみよう。20人のうち、安倍派が14人を占め、その中には派閥からパーティー券売り上げの裏金キックバックを受けた議員が12人もいるのだ。
今年2月2日の東京新聞に掲載された「還流額の一覧」をもとに、高市氏の推薦人となった安倍派議員14人の裏金金額を記入してみた。
杉田水脈(872万)、鈴木淳司(52万)、関芳弘(524万)、高鳥修一(484万)、谷川とむ(134万)、赤池誠章(98万)、衛藤晟一(0)、古庄玄知(0)、佐藤啓(236万)、西田昌司(234万)、堀井巌(466万)、山田宏(282万)、三ツ林裕巳(1808万)、若林健太(184万)=敬称略
これでは、裏金問題の真相解明や、責任のさらなる追及、政治資金問題の根本的解決に後ろ向きになるのもうなずける。高市氏は政治資金を党幹部の好き勝手にさせないで公平に配分するべきだと主張するが、小泉氏が政策活動費の廃止、旧文通費の使途公開を主張しているのと比べて具体性に欠ける。
高市氏が“自民の顔”になるなら野党に勝機あり
高市氏が自民党の総選挙の“顔”になるとしたら、野党としてはどうだろうか。攻めやすくなるのは間違いない。進次郎氏は政治的な能力こそ全くの未知数だが、刷新イメージはなんとなく漂っていて、その茫漠感が野党にとって最大の脅威だった。高市氏だと若さや鮮度は薄れ、野党は、裏金にまみれた安倍派の傀儡として徹底的に攻撃を仕掛けるだろう。
もっとも、そんなことは自民党国会議員なら先刻承知のはず。最終的には自分の選挙に有利な総裁を選ぶことに...