パンテラ・キャピタルのレポートによれば、次期大統領ドナルド・トランプ氏の就任が市場をさらに押し上げ、2025年はビットコイン(BTC)および仮想通貨市場にとって好調な年になると見込まれている。
今年7月の東京都知事選の選挙期間中、マイクロソフトでWindowsやインターネットエクスプローラーの開発を指揮した伝説のプログラマーでメルマガ「週刊 Life is beautiful」の著者・中島聡さんとYouTube対談が実現した、都知事選の立候補者でAIエンジニアの安野貴博さん。そんな安野さんは当時、無所属の新人にも関わらず都知事選で5番目の得票数を得たことがネットで大きな話題になりました。その後も中島さんが安野さんの発言に関心を寄せ、今回改めて初対面による特別対談を実現することができました。第一回の対談に続き、エンジニア同士で熱く語り合った末に見えてきた日本や世界の「現在と未来」とは?
【対談 第一回】【中島聡×安野貴博 特別対談Vol.1】スーパーエンジニアだけに見える「現在と未来」とは?
小説が証明した安野貴博の未来予測の正確度
中島:運転手がいてハンドルを握ってて、1時間に一回ちょっと危ないと言うならいいけど、運転手がいなかったら1時間に一回事故が起きる。これはまずい。
そういえば、読みましたよ『サーキット・スイッチャー』。
安野:ありがとうございます。自動運転のSF小説を書いているんです、まさに今の話みたいな感じで。
『サーキット・スイッチャー』2020年 (ハヤカワ文庫JA)
中島:小説家としても一流じゃないですか。一気に読ませていただきました。でも1個だけ突っ込
...more みたかったのが、自動車がセンサーで受け取ったデータを全部渡せば、左にハンドルを切るのが一意に決まるって書いてあるんです。要は人間が書いたアルゴリズムであれば一意に決まるんですけど、最近ニューラルネットだから一意に決まらないんじゃないかって。
安野:同じインプットでも確率的に挙動が変わるタイプの計算方法もあるよねってことですよね。
中島:そうですよね。だから、自動運転とかどうなんだろうなっていうのは、すごく読んでて気になって「聞かなきゃ」って思ってたんだけど(笑)。
安野:まあ私の認識だと、それは固定もさせられるし、毎回確率的な挙動を示させることもできるかなと思ってて。
昔AI関連のスタートアップやってた時は、固定させないとむしろデバッグとかがやりにくいから、なるべく固定させる方向でやっていたんですけど、その固定させることにも確率的な挙動が混じる部分がいくつかあったりしてて。例えばGPUのこのライブラリでこの計算すると、毎回確率的にそうなるとか、そういう部分が若干混じるので、そこを一個一個シード値を固定させていくようなことをやっていましたね。
中島:じゃぁもし安野さんが自動運転を作るとしたら固定させる?
安野:その方がデバッグしやすいのかなと。
中島:事故の原因を究明したりとか……。
安野:なので、たぶん実務でも固定したシミュレーターが作れる……っていう予想はしてました。
中島:あれは一応ニューラルネットを使ってるかもしれないけど、固定してるという前提なんですね。
安野:そうですね……まさかそんなところまで突っ込んでいただけるとは。嬉しいというか、そこまで読んでいるのは中島さんくらいな気がします(笑)
中島:でも、そこって謎を解くところで重要なところじゃないですか。
安野:そうですね。そこは非常に大事なポイントですよね。
中島:いやぁ、でもすごい。あれっていつ書いたんですか?
安野:あれは。2020年ですね。4年くらい前に書きました。なので、ようやく時代が追いついてきてるなと思いました。
中島:そうですよね、2020年ぐらいに読んだ人とかは……ファインチューニング話が出てくるじゃないですか。あれはわからなかった人が多いでしょうね。ニューラルネットを作った後にファインチューニングできるっていうことすら、ほとんどの人が知らなかったでしょう。僕はいつぐらいに知ったんだろう。ChatGPTよりも少し前に、GPT-3のAPIを知っていたからギリギリわかるくらいかな。でもその頃もAIが出したレベルをお客さんがファインチューニングして使うみたいなことはされてなかったですよね。
安野:当時はAPIなかったと思いますね、GPTに関しては。
(左)安野貴博氏、(右)中島聡氏
中島:それが出てきたのは2年前ぐらいですか?
安野:そうですね。時間軸のところまで見ていただいて(笑)。最近読んだ人に「すごい最近の流行を捉えているね」って言っていただけたんですけど、実は4年前に書いたんだよなぁと思ってて(笑)
中島:でも、あれはぜひ読むべきですよ。特にファインチューニングのあたりがミソなところがいいですよね。
安野:エンジニアの人が読んだ時に「これ嘘じゃねえな」って許せるSF小説を書きたかったんですよね。
中島:そうですよね。僕、あの手のは結構我慢できないんですよ。
安野:PCをカタカタとやったら世界中の人工衛星がハックされたりするとか、ちょっと厳しいんじゃないかなみたいな。この時間軸でそういう攻撃をするならが結構思うところがあったりするんですけど。
中島:Googleの人しかできないハックとかね。
安野:そうですね、あそこが一番リアリティーレベルは低いと思ったんです。さすがにサービス変えたら相当影響範囲が広いんで。「それはちょっとな」とは思いましたけど「ギリギリ許せるかな」というので突っ込みましたね。でも嬉しい、そういうふうに読んでいただいてて。
中島:今のレベルを理解している人が読むとすごい面白いですよね。多分4年前に僕が読んでも、イマイチわからなかった部分はあると思うな。だからすごいですよ。
安野:めちゃめちゃ嬉しいです。最近もまた2冊目を出しまして。
中島:あ、まだそれは読んでいない。
安野:『松岡まどか、起業します AIスタートアップ戦記』というタイトルで、今から2~3年後くらいから始まるAIエージェントの話を書いたんです。前回は自動運転の話ですけど、次はAIエージェントを使いこなしながら起業する話を書きました。こちらもエンジニアの人とかスタートアップ業界の人とか、AI使って仕事してみたい人とか、そういう方におススメなので、ぜひ読んでください。ちょっと宣伝しちゃった(笑)。
『松岡まどか、起業します AIスタートアップ戦記』2024年(早川書房)
中島:でもSFって、結構役に立ってますよね。イーロン・マスクも、思いっきりSF小説に影響されているじゃないですか。
安野:もう完全にそうですよね。自分を形作ったのはSFだって言ってますから。
中島:アイザック・アシモフとかアーサー・C・クラークとか、あの辺の人たちが偉大だったんだなと。
安野:偉大ですよ。あの時代にここまで先のビジョンを描いてて。だから現代のSF作家は、そういう意味ではすごい苦労してますね。アーサー・C・クラークとかの時代から、全く違ったビジョンを見せられているかというと。今の技術が上がってきたことによって、解像度が上がった部分をしっかり描写するSF小説が多いとは感じてますよね。
中島:専門家から見たら「嘘じゃん」みたいなことを書いちゃう可能性もかなり高いし、3年経ったら陳腐化してるとか、結構難しいですよね。自動運転の方も今は面白いけど、ひょっとしたら10年経ったら。
安野:全然違うアーキテクチャで「何を言ってんだ、こいつは」となる可能性があるので、陳腐化の早さとは戦っていますね。特にAIのことを書いても、SFじゃなくなったのは大きくて。
中島:そうですね。
安野:みんな普通に使っているんで、そういう意味では難しくなっています。あともう一つの問題が、AIが作中に登場した時に、そのAIがどういう形の知性なのかということです。人工知能的なものを思い浮かべる人もいれば、ひと昔前のチャットボットや今のChatGPTを思い浮かべる人もいるだろうし、全てができる生態を想像する人もいるわけで。
AIって一言で言った後に、その知性がどれくらいのレベルなのか。しかもそれってIQとかで測れる1次元的な数値でもない。今もチャットボット・アリーナとかで色々なベンチマークをテストとかしながら「数学の部分はこれくらいだね」とか「科学技術の部分はこれくらい」「法律はこれくらいだね」とか、色々やっているじゃないですか。
なんかあの形の歪さが人間の形の歪さとは違うので、だから「これができて、これができないんだよ」というのを説明するのがめちゃめちゃ難しいというSF作家的悩みがありますね。
AIが変える人間のコミュニケーション
中島:そういえばうちの嫁さんも、僕が仕事の話をしても全然面白がってくれないので、今まで話をしていなかったんですよ。でも最近、特にChatGPTにボイスモードが...
■米コロンビア大学教授 マーク・リラ氏 米大統領選で当選したトランプ氏は、ヒスパニックや若者、女性など従来の民主党の支持基盤でも支持を伸ばした。エリート主義に陥るリベラル派の自滅に警鐘を鳴らしてきた米…
インスタグラムやフェイスブックを運営する米メタは、新たな取締役に総合格闘技団体「UFC」のデイナ・ホワイト最高経営責任者(CEO)を起用すると明らかにした。ホワイト氏は2024年の米大統領選で、トランプ前大統領が再選されるのに大きな役割を担った人物。
メタのマーク・ザッカーバーグCEOが新取締役を発表した。ホワイト氏のほか、自動車ブランドなどを保有する持ち株会社エクソールのジョン・エルカンCE...
記事のポイント
2024年のメディア業界を振り返ると、メディア企業は、AIとのライセンス契約や著作権訴訟が増加し、メディア企業はコンテンツ活用の新たな課題に直面した。
パブリッシャーは、参照トラフィックの減少に直面しつつも、Googleディスカバーの成長や新興SNSでのオーディエンス開発に挑戦した。
サードパーティCookie廃止の撤回やニュースルームの組織改革が、業界全体に新たな方向性をもたらした。
AIのコンテンツライセンス契約から参照トラフィックの問題まで、2024年にメディア業界を賑わした主なトレンドを振り返りたい。
2024年のトレンド総括
2024年も慌ただしい年となったメディア業界。ここで、2024年を特徴づける主要なトレンドを振り返りたい。
DIGIDAYが2024年に報じてきた主要なテーマを以下にまとめる。
2024年の業績概観
まずはメディア各社の業績に注目したい。
株式公開しているパブリッシャー5社の直近の決算報告によると、2024年第3四半期に総売上高の前年同期比増を計上したのは5社のうち4社だった。ドットダッシュメレディス(Dotdash Meredith)、ガネット(Gannett)、ニューヨークタイムズ(The New York Times)の3社はデジタル広告収入が前年比で増加したと報告。米大統領選キャンペーンのせいで広告支出が縮小し
...more 、結果として広告市場の不振を招いたという怨嗟の声が上がるなかでの増収だった。
一部の経営幹部は第4四半期には広告費が上向くと確信しているようだ。第4四半期の業績見通しを含む決算報告書によると、当期に関する各社の予想は以下の通りである。
バズフィードは5400万ドルから5800万ドル前後の売上高を見込んでいる。(昨年第4四半期の売上高は7570万ドル、2024年第3四半期の売上高は6430万ドルだった。)
ドットダッシュメレディスはデジタル広告の売上高について1桁台半ばから後半の成長を見込んでいる。
ガネットは2024年のデジタル広告の売上高が通年で前年(2023年)比6%から7%程度増加すると予測する一方、売上高全体としては1桁台前半から半ばの減少を見込んでいる。
ニューヨークタイムズはデジタル広告の売上高について1桁台後半から2桁台前半の成長を見込んでおり、広告収入全体では1桁台前半の増加を予想している。
AIをめぐるライセンス契約と訴訟
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The post AIからトラフィック、 Cookie 廃止まで。2024年の メディア 業界を賑わしたキーワード appeared first on DIGIDAY[日本版].