2025年4月、トランプ大統領が打ち出した相互関税政策が引き金となり、世界の金融市場は大きな混乱に見舞われた。この混乱の中、ドイツは長年堅持してきた「債務ブレーキ(政府の債務をGDPの0.35%未満
物価高騰にあえぐ国民から「減税」を求める声があがっている。コメ価格だけでも昨年の約2倍。参院選を7月に控え、野党の多くが「消費税減税」を主張しているのは当然だろう。ところが、肝心の野党第一党・立憲民主党の野田佳彦代表は、「減税すると金持ちが得をしてしまう」とウソをついてまで消費税を死守しようとしている。これは一体どうしたことか?元全国紙社会部記者の新 恭氏が、旧民主党時代から続く「増税議員」たちの系譜を暴く。(メルマガ『国家権力&メディア一刀両断』より)※本記事のタイトル・見出しはMAG2NEWS編集部によるものです/原題:分裂危機か立憲民主党ーーー財務省に愛された男たちの系譜
消費税を死守する立憲・野田佳彦代表の奇妙な信念
野田佳彦という政治家は、よほど「消費税」と縁が深いらしい。かつて首相として消費税増税を主導し、民主党分裂を招いた張本人だが、立憲民主党の代表となった今、またしても「消費税」をめぐる党内対立に足をすくわれそうになっている。
物価高騰にあえぐ国民生活を守る。その目標を掲げ、野党のほとんどは消費税減税を主張している。維新は「消費税8%への引き下げ」、国民民主は「一時的に5%に引き下げ」、れいわ新選組は「消費税完全廃止」、共産は「消費税廃止をめざし当面5%に引き下げ」・・・といったぐあいだ。
ところが、野党第一党の立憲だけが「高所得者が最も恩恵を受ける」として慎重な姿
...more 勢を続けてきた。野田代表や、党の“創業者”である枝野幸男氏が社会保障の財源を安定的に確保するため消費税が必要だと固く信じているからだ。
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原因は「またもや」消費税。立憲民主党が分裂の危機
世の中、減税への期待感が満ちている。国民民主やれいわが昨年の衆院選で票を大きく伸ばしたのはその証拠だ。
夏の参議院選を前に、立憲の議員は「消費税」で孤立することを怖れている。衆院選で50議席を増やしたが、比例の獲得票は前回から伸びておらず、党の人気が高まったわけではない。むしろ、国民民主との比較で増税イメージが立憲にまとわりつき、選挙に不利に働く可能性が高い。
そこで消費税減税を求める議員の動きが活発になりはじめた。昨年12月、江田憲司氏を会長とし立憲の国会議員70人で結成した「食料品の消費税ゼロ%を実現する会」や、消費税率を時限的に5%へ引き下げるよう求める末松義規氏らのグループがそれぞれ参院選公約への反映をめざして党執行部に働きかけを強めている。
減税派が多数を占めるかと思われる党内情勢。そこに枝野幸男氏が4月12日の講演で「減税だ、給付だ、というのは参院選目当てとしか言いようがない。減税ポピュリズムに走りたいなら別の党をつくってください」と苦言を呈した。
これに、「消費減税を党の政策として掲げるべき」と言う小沢一郎氏が激しくかみついた。
「意見の違うやつは出て行けということだ。多くの仲間・党員・友人・国民に対して非常に失礼・無礼・傲慢だ」
旧民主党政権時代、小沢氏ら多数の議員が離党し、結果として自民党の政権復帰を許した。それも、もとをただせば当時の野田首相による消費税増税方針への反発が原因だった。(次ページに続く)
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財務省に愛された男(1) 菅直人氏の場合
消費税を上げない約束で政権の座についた旧民主党が、マニフェストに反する消費増税を打ち出した淵源をたどると、政権交代直後の苦しい状況が見えてくる。
国家戦略相に就いた菅直人氏は省庁縦割りではない政治主導の予算案を作成すると意気込んでいたが、霞が関の壁にぶつかり、マニフェストを実行するための財源確保にメドが立たずに立ち往生した。
すかさずそこに手を差し伸べたのが財務省主計局長、勝栄二郎氏だった。
「衆院選のマニフェストにそってA4の1枚を出してもらえれば、年内編成をやり遂げます」
新内閣発足10日後のことだったという。菅氏は胸をなでおろし、急速に財務省の掌中に取り込まれていく。
その後、菅氏は国家戦略相から財務相を経て首相になった。2010年夏の参院選を前に、突如として菅首相が自民党の提案する「消費税10%」の税制改革案をまとめたいとぶち上げたのも、その背後には財務事務次官に昇任する直前の勝栄二郎主計局長がいた。
この財務省べったりの路線が裏目に出て菅民主党は参院選で惨敗。それでも菅首相は翌年1月14日に内閣を改造し財政健全化の旗振り役として自民党を離党したばかりの与謝野馨氏を入閣させ、大蔵省OBで与謝野氏の東大野球部の先輩、藤井裕久氏を官房副長官にすえて増税・緊縮内閣の体制を整えた。(次ページに続く)
財務省に愛された男(2) 野田佳彦氏の場合
菅氏のあとを継いで首相となった野田佳彦氏もまた、財務省副大臣、財務相を経てすっかり財務省の色に染まっていた。
2012年6月、「社会保障と税の一体改革」の名のもとに民主党、自民党、公明党の三党が合意し、消費税率を引き上げる法案が可決成立した。現在の消費税率10%はこの法律をもとに、安倍政権が二段階に分けて引き上げたものだ。
下記は、拙著「小沢一郎の死闘1500日」(Kindle 版)のうち、消費増税に反対した小沢一郎氏と野田首相の闘いを記録した一節である。
野田は党内の反対派に見切りをつけ、水面下で自民党の財務大臣経験者に電話をかけまくった。伊吹文明、額賀福志郎、谷垣禎一・・・そして森喜朗もからんだ。・・・良好な関係を保っている森に、日ロ外交について指南をあおいでいるうち、いつの間にか野田-森のホットラインができあがっていた・・・6月19日夜(2012年)の民主党合同会議は大荒れになった。・・・ 野田は消費増税法案の採決に突き進んだ。・・・小沢は野田の意思を感じていただろう。政権中枢があきらかに自分たちを邪魔者として切り捨てようとしている
党議拘束を無視して消費増税法案に反対すれば離党せざるを得ないことになる。それは自公の民主党分断策に乗ることを意味する。それでも小沢氏を中心とするグループは消費増税法案に反対票を投じることを決めた。
衆院におけるこの法案への民主党の反対票は57人、欠席・棄権が15人にもおよんだ。この行動に対し、マスコミは「決める政治を進めようとする野田首相の足を引っ張る小沢一郎」という構図を描いて、小沢悪玉論の材料とした。
この時、枝野幸男氏は野田内閣の経済産業相だった。その前は、菅政権の官房長官や民主党幹事長をつとめた。消費増税路線の重要な推進者の一人だったことは疑う余地がない。(次ページに続く)
財務省に愛された男(3) 枝野幸男氏の場合
財務省にとって、最も重要なのは「緊縮と増税路線」を守ってくれる政治家をいかに確保するか、である。その観点でいえば、野田佳彦氏は“優等生”だ。
枝野幸男氏も、リベラルの衣をまといながら、財政再建とプライマリーバランス黒字化の旗を降ろさない点で、財務省と価値観を共有している。実際、官僚サイドからも「枝野さんは話が早い」との声が根強い。もちろん、この二人と財務省との近しい関係は今も続いている。
とりわけ新川浩嗣財務事務次官と宇波弘貴主計局長は民主党政権時代、「社会保障と税の一体改革」に深くかかわっただけに、立憲への思い入れは強い。自公との間をつないでこの二人が大連立を画策しているのではないかという噂が出るのも、そんな背景があるからだ。
政権がどちらに転んでも、「政策ラインが生き残るように」布石を打つ。それが財務省の伝統芸だ。
枝野発言によって一気にキナ臭くなった立憲の党内情勢。野田代表は4月15日、「今の党内議論をポピュリズムとは思わない。真剣な議論をしてもらっている」と減税派に気を配り、対立の鎮静化をはかっている。枝野氏は助太刀のつもりだったかもしれないが党の結束をはかる野田氏の立場からは迷惑な面もあるだろう。
今後、消費税減税の是非について、税制調査会などの合同会議を開き、意見集約をはかったうえ、GW前にも結論を出すという。
「決まったら従う政治文化をつくりたい」
野田代表はそう語った。だがそれが、「消費税減税」という結論になったとき、はたして枝野氏は“従う”だろうか。党分裂、野党再編にむかう可能性もはらみながら、参院選前の政治情勢はますます緊迫の度を増している。
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新 恭...
アメリカ・ファーストを高らかに掲げて再登板したドナルド・トランプ米大統領の関税政策が世界を混乱させている。「相互関税」の発動の後に「90日間の停止」を発表し、赤澤亮正経済再生相が訪米しての日米交渉で
経済産業省は、米トランプ政権による自動車への追加関税や「相互関税」の導入に対応し、中小企業の支援策を打ち出した。日本政策金融公庫が手掛ける「セーフティネット貸付」の要件を緩和し、資金繰りを支えることが柱。経産省は産業界との意見交換などで情報・・・
カウンターポイント・リサーチ・エイチ・ケー (英文名: Counterpoint Research HK 以下、カウンターポイント社)は、2025年4月2日に発表された米国の相互関税によるスマートフォン市場への影響を分析したSmartphone OEMs in Crisis Due to US Reciprocal Tariffsによる最新調査を発表致しました。