9月27日の投開票に向け、各候補が火花を散らす自民党総裁選。しかし現在のところ、最重要であるにも関わらず候補者が誰一人として口にしない「問題」があると国際関係ジャーナリストの北野幸伯さんは指摘します。今回北野さんは自身の無料メルマガ『ロシア政治経済ジャーナル』で、総裁選において「無意識化」されている超重要問題が何であるかを明かしています。※本記事のタイトル・見出しはMAG2NEWS編集部によるものです/原題:自民党総裁選【無意識化】される【最大の問題】
暗黒の30年が暗黒の40年になるかどうか?自民党総裁選で「無意識化」されている最大の問題は「増税問題」
全世界のRPE読者の皆様、こんにちは!北野です。
9月に行われる自民党総裁選(=事実上の首相選び)、なかなか盛り上がっているようです。出馬を宣言された人、これから出馬する可能性がある人は、
小林鷹之さん(前経済安全保障担当大臣)
茂木敏充さん(自民党幹事長、元外務大臣)
加藤勝信さん(元厚生労働大臣、元官房長官)
石破茂さん(元自民党幹事長、元防衛大臣、元農林水産大臣)
齋藤健さん(経済産業大臣)
野田聖子さん(元総務大臣)
林芳正さん(官房長官、前外務大臣)
高市早苗さん(経済安全保障担当大臣)
河野太郎さん(デジタル大臣、元外務大臣、元防衛大臣)
小泉進次郎さん(元環境大臣)
上川陽子さん(外務大臣)
青山繁晴さん(参議院議員
...more、日本の尊厳と国益を護る会代表幹事)
(@青山さんについては、「おたよりコーナー」も参考にしてください。)
なんと12人が自民党総裁=首相の座を狙っているそうです。
自民党は、何を考えているのでしょうか?
現状=裏金問題で自民党の支持率が低下している。このままでは次の選挙で勝てない
ではどうするか?
不人気な岸田さんに辞めていただく そのうえで、
クリーンなイメージの人を自民党総裁、首相にして、自民党の支持率を回復させる
新総裁=新総理の人気が高いうちに解散、総選挙を実施
めでたく自民党大勝利!
こんな感じの作戦なのでしょう。
そして、テレビを見ると、もっとも重視されているのは「裏金問題を解決して、クリーンな自民党にすること」です。とても重要なことでしょう。ですが、私が考えるに、「裏金問題」は最重要問題ではありません。
全国民が覚えておくべき岸田首相の支持率が急落した最大の理由
岸田さんの支持率が下がった理由は、いろいろありました。
統一教会問題
長男スキャンダル
裏金問題
などなど。ですが、国民が決して決して決して忘れてはならないこと。それは、岸田さんが、【 増税クソメガネ 】と呼ばれていたことです。
日本国民は、ここ数年ひどい目にあってきました。
2019年には消費税率が8%から10%に引き上げられた。2020年、2021年、新型コロナパンデミック大不況。2022年、2023年、ウクライナ戦争インフレ。
岸田さんは、「賃上げ」を誇りますが、はっきりいえばインチキです。賃上げは、物価上昇に追いついていないため、実質賃金は2年連続でマイナスなのです。「日経新聞」5月23日付。
厚生労働省が23日発表した2023年度の毎月勤労統計調査(確報、従業員5人以上)によると、物価変動の影響を除いた実質賃金は前年度から2.2%減った。マイナスは2年連続。
こんな感じで、日本国民は苦しんでいる。
岸田首相が苦しむ国民に出してきた「長い増税リスト」
そんな中、【 聞く力 】を売りにしていた岸田さんは、何をしたのでしょうか?そう、【 長い増税リスト 】です。
『税理士法人プライムタックス』のHPに長い増税リストが載っていました。
転載してみましょう。
たばこ増税本体は健康の観点からたばこの消費を抑制するためのものだが、防衛費の財源として24年より増税予定。
所得増税防衛費を確保するため24年から増税は決定しているが、定額減税が所得税から行われるため矛盾するとして時期検討中。
復興特別所得税の延長3.11復興目的に37年までの予定だが、防衛費増のために14~20年延長が議論中。
給与所得控除の廃止現行は30%控除されているが3%に減率することでサラリーマンには大打撃の可能性。
配偶者控除の廃止扶養控除のない15歳以下との公平性確保と女性の「年収の壁」問題解消のために廃止を検討。
生命保険料控除の廃止生命保険は元本よりも大きなお金がもらえる可能性がある点が個人投資と変わらないとされ、見直しを検討中。
退職金の非課税枠を廃止「勤続年数×40万円」の控除が認められていたが、雇用の流動性を妨げているとして廃止が検討されている。
扶養控除の縮小扶養控除の縮小が見直される見込み。一方、児童手当を高校生まで支給対象に広げ控除縮小とのバランスが問われている。
法人増税防衛費確保のため付加税方式で4%~4.5%を予定。中小企業などへの配慮として、上乗せ分を計算する際、法人税額から「所得が2400万円の相当の税額」を控除予定。
法人税の控除縮小賃上げによる税優遇措置で3%以上賃上げした大企業の控除縮小案が中小企業への優遇と同時に検討されている。大企業には実質的に増税になる可能性がある。
後期高齢者医療保険の負担増出産育児一時金の一部を75歳以上も負担するようになる。段階的に負担対象者を増やす方針で、24年4月からは年収211万円超の人を対象に月平均430円を徴収。25年4月からは年収153万円超の人を対象に月平均430円を徴収。
生前贈与の持ち戻し期間延長生前贈与制度に関するもので死亡の3年前から7年前に課税対象期間を延長する。
結婚・子育て資金の贈与特例廃止1千万円以下は非課税だった結婚・子育て資金の一括贈与特例を廃止。
教育資金一括贈与廃止教育資金の一括贈与が26年3月末で廃止予定。
介護保険料負担増1割負担から2割負担に移行する対象者を大幅に拡大する見込み。
国民年金納付期間延長少子化による財源不足の補填策として保険料の納付期間を5年延長して65歳までとする。
公的医療保険の上乗せ「異次元の少子化対策」として財源を探し回った結果、歳出改革後の足りない分を「支援金制度」という名目で国民一人約500円程度の増額が検討されている。
森林環境税の創設23年度に終了予定の特別復興住民税に替わり、森林環境贈与税とは同額の森林環境税が新設される。
厚生年金支給減額現行で平均14万6000円支給されている厚生年金額を見直す。保険料負担は重くなる一方、受給額が減額される。
走行距離課税の新設車の走行距離に合わせて課税しようというもの。しかし従来の車とハイブリッド、電気自動車等の問題やカーシェアリングなど課題は残る。
ケアプランの有料化介護保険サービスを受ける際のケアプラン(介護計画)費用の有料化を検討中。
出所はこちら→時事ネタ第23号 こんなにあるぞ!ステルス増税(税理士法人プライムタックス)
「裏金問題」は、確かに重要です。
しかし、これらの増税が実現したら、皆さんの生活がどれだけ苦しくなるか考えてみてください。
だから、自民党の新総裁=新総理には、【 これ以上増税をしない人 】になってもらうことが重要なのです。ところが…。
支配者層が大衆のコントロールに使う「無意識化」という手口
皆さんは、「無意識化」と言う言葉を聞いたことがありますか?私は、天才・天野統康先生から教えていただきました。「無意識化」というのは、言葉そのままで、「意識させない」ということです。天野先生によると、支配者層が大衆をコントロールする際、真の重要ポイントに触れないことで意識させないのだそうです。そうすれば、抵抗が発生することもありません。それを「無意識化」とよびます。
たとえば皆さん、今日、意識してテレビを見てみてください。総裁選の話は、山ほどやっているでしょう。そして、「自民党は、新総裁のもと、生まれ変わることができるのでしょうか?」などと話されることでしょう。テーマは、「裏金問題はどうする?」とか。「夫婦別姓問題をどう考える?」とか。
ですが、「岸田総理の支持率が下がったのは、もちろん裏金問題があったからです。しかし、その前に、【 増税クソメガネ 】と呼ばれて、嫌われていました。実際、『長い増税リスト』を見ると、『仕方ないかな』とも思えます。ところで、総裁候補の〇〇さんは、『私が総理になったら増税は一切しない』と断言できますか?」こういう話は、いっさい出てきません。
増税は、日本国民の生活を圧迫し、日本経済の成長を阻害し、国際社会における日本の地位を低下させる。超重要問題です。
しかし、事実上日本国の首相を決める自民党総裁選で、この最重要問題に...