恋愛をして、結婚に至るという今までの常識はもう通用しないようです。今回の無料メルマガ『毎日3分読書革命!土井英司のビジネスブックマラソン』で紹介しているのは、「草食系男子」や「年の差婚」をひろめた牛窪恵さんによる恋愛したくないけれど結婚はしたい人たちのお話です。
昭和の常識が終わる⇒『恋愛結婚の終焉』
『恋愛結婚の終焉』
牛窪恵・著 光文社
こんにちは、土井英司です。
本日ご紹介する一冊は、「草食系男子」「年の差婚」などを広めたと言われるマーケティングライター、世代・トレンド評論家、牛窪恵さんによる新刊。
『恋愛しない若者たち』の著者といえば、ピンとくる人もいるかもしれませんね。
『恋愛しない若者たち』
衝撃的なタイトルですが、確かにデータを見れば、恋愛結婚が行き詰まっているのがよくわかります。
すっかり定着した感のあるマッチングアプリについても、結婚率の向上に寄与しているかどうか怪しいなどの見解も示されており、大変興味深い論考だと思います。
第1章は、なぜ若者が「恋愛」「結婚」しないのかの分析、第2章は、恋愛がどうやって生まれてきたのか、その歴史と検証、第3章は「恋愛常識の落とし穴」ということで、「恋愛+結婚」が構造的に抱える問題点について述べられています(昔読んだヘレン・フィッシャー『愛はなぜ終わるのか』の理論が紹介されていて、懐かしく思いました)。
第4章からは、現在の恋愛結
...more婚とコストについての論考で、選択のパラドックスの話が示された後、「婚活」の改善策が述べられています。
最終となる第5章では、著者が提唱する「共創結婚」のための24の提言が述べられており、ここは政策担当者にぜひ読んで欲しいところです。
少子化対策に向けた政府の改善案もなんだか頼りなく見える今、ぜひ議論の俎上に載せて欲しい視点が示されています。
ビジネスの人間にとっては、この「結婚」という巨大市場が今後どこに向かうのか、新しい家族の形やコミュニケーションがどうなるのか、考える上でヒントとなる内容だと思います。
さっそく本文のなかから、気になった部分を赤ペンチェックしてみましょう。
「恋愛が面倒」とする半面、結婚については「いつか結婚したい」と希望する若者が、いまも大半を占める
2022年の民間の調査で、「恋愛と結婚は別なものだと思う」の回答は、30代以下の世代ほど、そして女性ほど多く、30代女性で58.3%、20代女性で59.5%にも達していました(同・博報堂生活総合研究所調べ)
いまや男性の半数近くが女性に「経済力」を、女性の9割以上が男性に「家事・育児の能力や姿勢」を求めるようになりました
いまも女性の8割近くは「年収400万円以上」を結婚相手の最低条件だとするなど、91.6%が男性に「経済力」を求めます
最終的に、対象との1対1を目指して争う恋愛とは違い、共創感情を伴う「推し」は“競争”になりにくい
アプリで出会って結婚する人たちは、婚姻件数全体に占める割合は増えている半面、カップル(既婚者)の“数”の増加には、さほど貢献していない可能性が高い
行動経済学からみる、非合理的な婚活行動【婚活の落とし穴】
1 対象が多すぎて決められない、安易なリセット志向2 望む条件の「高望み」傾向、条件の肥大化3 自分だけ抜け駆けしたくない、皆でハッピーになりたい
婚活改善策(1)――最適停止理論を活用する
「あなたが、15歳で誰かと人生初のデートをし、40歳までに結婚相手を決めたいなら、初めの37%の期間(24歳ぐらいか?)までに出会った人とは『付き合って見るだけ』で無条件に別れ、その次に(38%以降に)出会った人の中で、それまで出会った誰よりも素敵だ(ナンバー1)と思う、最初の人を選んでください」
婚活改善策(2)――範囲を狭め「条件」を絞る
婚活改善策(3)――みずから先に告白する
そろそろ「まず男性が告白してくれないと」や、「自分より年収が高い男性とでないと(上昇婚)」といった古い既成概念を捨て、より多様な、より自由な視点で、結婚相手を探してみてもいいのではないでしょうか
「共創結婚」という言葉が流行るかどうかは微妙な感じがしますが、現在の若者の恋愛・結婚観がよくわかる内容で、とても勉強になりました。
政策担当者はもちろん、企業のマーケティング担当もぜひ、読んでおきたい一冊です。
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MAG2 NEWS
9月7日の記者会見での「性加害問題の火消し」に完全に失敗し、社名変更も含めた二度目の会見設定に動いているとされるジャニーズ事務所。そもそもなぜこの問題は、告発者が相次いだにも関わらず事件化されることがなかったのでしょうか。今回のメルマガ『ジャーナリスト伊東 森の新しい社会をデザインするニュースレター(有料版)』では著者の伊東さんが、その裏事情を深掘り。同事務所と中曽根康弘元首相のただならぬ関係を白日の下に晒しています。
プロフィール:伊東 森(いとう・しん) ジャーナリスト。物書き歴11年。精神疾患歴23年。「新しい社会をデザインする」をテーマに情報発信。1984年1月28日生まれ。幼少期を福岡県三潴郡大木町で過ごす。小学校時代から、福岡県大川市に居住。高校時代から、福岡市へ転居。高校時代から、うつ病を発症。うつ病のなか、高校、予備校を経て東洋大学社会学部社会学科へ2006年に入学。2010年卒業。その後、病気療養をしつつ、様々なWEB記事を執筆。大学時代の専攻は、メディア学、スポーツ社会学。2021年より、ジャーナリストとして本格的に活動。
裏に中曽根康弘と音事協の存在。ジャニー喜多川の性加害問題で警察が「動けなかった」訳
ジャニーズ喜多川氏による一連の性加害問題を受けた開かれたジャニーズ事務所の記者会見からもうすぐ2週間。その後、大手企業を中心に同事務所との広告契約を打ち切る動
...moreきが波及した。
他方、食品メーカー「ネスレ日本」の元代表取締約社長CEOでビジネスプロデューサーである高岡浩三氏のFacebookへの投稿が波紋を呼んでいる。高岡氏は、
「正直言って、いったい何をこんなに騒いでいるのだろうか?という感覚でジャニーズ問題を見ている」
とし、
「クライアントサイドにいた私でさえ、ジャニー喜多川氏が元々性癖があってジャニーズ事務所を開設したという噂は、かれこれ20年以上前から噂として知っていた。メディア関係者も絶対私以上に知っていたはず。なぜなら、私が知ったのは業界関係者とメディアだからだ」
と投稿。さらに、
「私は、ネスレのガバナンスとコンプライアンス規定の観点から、キットカットと言えども一度もジャニーズのタレントをCMや販促に起用しなかった。私からすると、今回のジャニーズ問題はBIGモーター社と損保ジャパンの癒着問題と重なって見える」
と続けた。
筆者である私が喜多川氏についての問題を知ったのは、中学1年生(1996年)のときに遡る。父が購読していた、「噂の眞相」という月刊誌を興味津々に盗み読みしていたときだった。
当時、SMAPの森且行の脱退をめぐるジャニーズ事務所との攻防の“裏側”が「噂の眞相」に掲載されていたが、その際に喜多川氏自身が抱える問題も併記されていた。
「噂の眞相」は、その時期には、月刊誌総合雑誌で「文藝春秋」に次ぐ規模だったといはいえ、販路が限られ、今ほど問題は“拡散”しなかった。
ただ、「噂の眞相」は2004年に休刊したために、また当時のインターネットが未発達だったために、誌面内容がネット上でアーカイブされてこなかった。
そのため、とくにZ世代(1990年代後半から2010年生まれ)には、喜多川氏についての一連の性加害問題など知る由もなかったのだろう。
目次
訪米した美空ひばりの通訳も。ジャニー喜多川の正体
なぜ警察は性加害問題を事件化できなかったのか
裏に中曽根元首相の影。単なる芸能界の問題ではないジャニー喜多川の性加害
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訪米した美空ひばりの通訳も。ジャニー喜多川の正体
喜多川氏は布教のためのアメリカに移住した真言宗米国別院の僧侶である喜多川諦道氏の次男として、1931年10月23日、アメリカ・ロサンゼルスで生まれる(*1)。2年後の1933年に日本に来日。
戦時中には和歌山大空襲を経験した。幼少期の喜多川氏を社会学者の橋爪大三郎氏は、
「2歳でアメリカから日本に来たことを考えると、幼少期は英語もほとんどしゃべれず、排日移民法の差別の記憶はおろか、アメリカの記憶も全然なかったはず。
それでも、アメリカにいたことが同級生にバレればイジめられてしまうような時代ですから、苦労したんじゃないでしょうか。
終戦後の1947年には再びロサンゼルスのハイスクールに戻ったそうですが、そこでは日本人としてイジめられ、英語も必死に覚えないといけなかったでしょうから、こちらでも大変に苦労したと思います」(*2)
と分析する。
その喜多川氏は、1950年に訪米した美空ひばりや服部良一らの通訳を務めることになる。その経験が日本で芸能事務所開設を目指すきっかけにもなったという。
1952年に再び来日した喜多川氏は、駐日アメリカ合衆国大使館に陸軍犯罪捜査局の情報員(通訳の助手)として勤務。朝鮮戦争に従軍して戦災孤児に英語を教え、帰国後はアメリカ合衆国大使館の職員として働いた。
「戦後すぐの日本のショービジネスは米軍基地にありました。米軍の将校や兵士を相手にショーをすれば、一晩で当時のサラリーマンの月給2カ月分が稼げたのです。
美空ひばりさんや江利チエミさんも基地で歌っていたし、それをオーガナイズする人も多かった。
若いので初めは通訳などいいように使われていたかもしれませんが、ジャニー氏は基地に自由に出入りできたので、その時代に多くのコネクションを築いたのではないでしょうか」(橋爪氏)(*3)
なぜ警察は性加害問題を事件化できなかったのか
当時、喜多川氏が住んでいたのは、「ワシントン・ハイツ」と呼ばれた場所。現在の代々木公園一帯にあった、米軍住宅地である。
ここで、少年野球チーム「ジャニーズ少年野球団」を結成したその4人の少年(のちのジャニーズ)と62年に設立したのが、今のジャニーズ事務所だ。
とはいえ、喜多川の問題は、裁判で事実と認定され、国会でも議論された。しかし、なぜ警察も動けなかったのか。いや動けなかったのだ。
筆者が「ジャニーズ帝国崩壊」(鹿砦社)を出版した際に、ジャニーズ事務所に所属していた数名の被害者に取材している。そのうちの一人の元タレントは、ジャニー氏から受けた性被害のすべてを母親に打ち明けて、警視庁の所轄署に被害届を出しているが、受理されることはなかった。
当時、その少年は、「警察の方は『まさか、天下のジャニーズの社長がそんなことするわけがない』と相手にしてくれなかった」と語っている。もう一人の被害者少年には筆者が「所轄の警察の生活安全課に相談するように」とアドバイスしたが、警察からまったく相手にされなかったという。
1997年発売の前述の著書はジャニー氏の性加害問題だけでなく、芸能界と暴力団の交際についても触れている。そのことから出版後、知人を介して警視庁捜査4課の刑事を紹介されたことがあった。
筆者はその後まもなくから2011年までの間で、担当刑事を変えて3回に渡って芸能界と暴力団の関係をレクチャーしたことがあった。その結果、ジャニー氏の性加害について関心を持ち、事件化したいと意気込んだ刑事もいたが、それが実現することはなかった。
その理由について、芸能界の業界団体である音事協(音楽事業者協会)初代会長で芸能界とパイプがある故・中曽根康弘元首相の存在を挙げる刑事もいた。(*4)
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裏に中曽根元首相の影。単なる芸能界の問題ではないジャニー喜多川の性加害
今回の問題については、喜多川氏の行為に焦点が当てられるが、“ジャニーズ問題”を語るうえではむしろ喜多川氏の姉であるメリー氏にも注目をしなければならない。
なぜなら、業界内で事務所の実質的な社長は喜多川氏ではなく、メリー氏であるとみられたからだ。
「ジャニーさんはどんなタレントが売れるか、といった現場的な嗅覚は凄い。でも、経営者として事務所を運営していたのはメリーさんです。
ジャニーズ事務所と、その所属タレントと仕事をせざるを得ないテレビマンにとって、メリーさんの意向は『絶対』です。あの人が赤だと言えば、黒いものも赤になる。
誰も、面と向かって異など唱えられない。正真正銘の『女帝』なのです」(民放キー局ディレクター)。(*5)
そしてメリー氏は、中曽根康弘元総理と親交があり、橋本龍太郎元総理とも、住んでいたマンションが同じだったという縁で、自民党ともつながりがあった。
とくに、中曽根の影響力は甚大だった。というのも、日本の芸能界は戦後、自らの地位向上を目的とし、政権与党である自民党と接近し、庇護を受けることで、政治力を付けていった経緯がある(...
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少子化対策に関する共同通信の首長アンケートや本紙取材によると、青森県の宮下宗一郎知事と県内40市町村長のうち22人(54%)が、対策の有効な取り組みに「保育無償化や医療費無償化など現物給付の強化」を挙げたことが24日分かった。一方で国や自治体が行う対策の効果を感じている首長は3人(7%)にとどまり、少子化に歯止めをかける難しさが浮かび上がった。少子化対策に有効だと思う取り組み(二つまで回答)は「現物給付の強化」が最も多く、「賃上げ」(18人)、「児童手当の増額など現金給付の強化」(12人)、「…