AIによる選挙への介入としてこれまでは、フェイクニュースやフェイク動画が拡散されるリスクが指摘されてきた。だが、次の米大統領選では、人々を巧妙に「説得」して意識や意見を変えさせるAIが大規模に展開されるリスクが深刻化するだろう。
ウクライナのゼレンスキー大統領は9日、戒厳令下で延期されている大統領選について、米国や欧州による安全確保の協力が得られれば「60~90日以内」に実施可能だと表明した。これまでは完全な停戦が実現した後に実施する考えを示していた。
ウクライナのゼレンスキー大統領は9日、ロシアによるウクライナ侵攻で延期されている大統領選について「安全が保証されれば、60~90日間のうちに行う用意がある」と記者団に語った。AFP通信などが報じた。…
和平に向けた交渉が難航し、今この時も一般市民が命を落とし続けているウクライナとガザ地区。世界はなぜ、このような明らかな「国際法違反が疑われる行為」を止めることができないのでしょうか。今回のメルマガ『最後の調停官 島田久仁彦の「無敵の交渉・コミュニケーション術」』では元国連紛争調停官の島田久仁彦さんが、かような状況を招いている関係各国の動きと思惑を専門家目線で分析。その上で、トランプ政権に求められる役割と世界的な戦争連鎖を食い止めるために必要な条件を考察しています。※本記事のタイトル・見出しはMAG2NEWS編集部によるものです/メルマガ原題:見えてこない和平への道筋-具体策なき“仲介”と“綱引き”が生み出す複雑な混乱の図式
ウクライナで勃発した対ロ抗戦に影響を与えかねない事態
プーチン大統領は欧州の姿勢を非難していますが(そして私も読者の方たちから指摘されるように欧州の姿勢には批判的ですが)、原理原則を前面に押し出して、ウクライナを盾にロシアが作り出す不公正を正そうとする姿勢は評価できますが、どこまで本気でロシアと対峙してでもウクライナを守る気があるかという覚悟は感じられないのが実情です。
欧州国内ではすでにウクライナ離れが起きていることと、ロシア・ウクライナ戦争によって経済が停滞し、インフレ状態が継続していることへの苛立ちと怒り、そしてロシアを敵に回した際に、自国を防衛
...moreするリソースをこれ以上削るべきではないという声の拡大などが見られ、口先だけの介入に留まりがちというのも、ロシアに好き放題非難される隙を与えているものと考えます。
そのような中、ウクライナの対ロ抗戦に大きな影響を与えそうな事態がウクライナ国内で起きています。
その最たるものは、ゼレンスキー大統領の右腕で、影の大統領とまで言われ、和平協議のウクライナ側首席代表も務めたアンドリー・イェルマーク大統領府長官が汚職疑惑で解任され(辞任し)、その解任劇を巡って議会の与野党から「ゼレンスキー大統領の政治的リーダーシップに大きな疑念が生じた」として「大統領職を直ちに辞任すべき」との声が上がっていると言われている状況です。
議会側は「辞任の上、次の大統領選に出ることは止めない」としつつも、今年に入って高まるゼレンスキー大統領と政権運営に対する非難の高まりを受け、今後、どのような内政状況が生まれるかは未知数となっています。
議会からの非難が行われた際は、確かゼレンスキー大統領はパリでマクロン大統領と対ウクライナ支援および対ロ和平協議について話し合っていたはずですが、頻繁な外国出張が何ら前向きな結果をウクライナにもたらしていないことに対して、国内で不満と非難の声が高まっていると言われており、このままだとロシアという大敵からのプレッシャーを跳ね返すための後ろ盾(国内の支持と欧米からの支援など)と政治的基盤(これまでイェルマーク氏に委ねていた)を失い、四面楚歌の状況に追い込まれ、ウクライナはそのまま倒れてしまうことになるかもしれません。
和平に乗り出したトランプ大統領のゴールは、いろいろと聞くところによると、「いち早く戦争を終わらせ、ロシアとエネルギー関連でのビジネス拡大の協議を行いたい」というものらしく、あまり戦争を終わらせた後、どうするのか?に関心はない模様です。
もちろん、どのような形でも戦争が終われば、即戦後復興のプロセスが始まることになりますが、そこにはまた複雑に絡み合う利害を持った国々とステークホルダーが密集することは必然ですので、仮に戦争が終わっても、かなりの混乱が予想できます。
現時点ではロシアはまだ戦争を有利に進め、手の内をすべて明かしているわけではないことから、プーチン大統領の戦略は、アメリカからの仲介の申し出を有り難く利用し、和平協議への前向きな関心は示し続けつつ、和平合意のベースとなる“現況”を可能な限り有利な内容にするか、または一方的な内容をウクライナおよび背後にいる欧州にのませるべく、対ウクライナ攻撃を強化して、軍事的に解決してしまう選択肢(プーチン大統領の表現では“対ウクライナ外科手術”)も引き続き追及することだと見ています。
調停の現場に流れる「欧州は口出しするな」という空気
話し合いは物別れに。見通せぬガザにおける悲劇の終焉
「57か国のアラブ・ムスリム諸国は一致して、パレスチナ国家の樹立を支持し、支援することを明言する。
そのためにはイスラエルは一切の攻撃と蛮行を停止し、皆が合意に至った1967年のラインまで撤退する必要がある。
そのための道筋が鮮明に描かれ、そして実行に移されない限りは、我々は今後、何もネタニエフ首相と話し合うことはない。
また、今日、ネタニエフ首相と会ったが、“イスラエルは、イスラエルの存在を壊滅したいと願う国々囲まれていて、その脅威に立ち向かう必要がある”と言っていた。
イスラエルがこれまでアラブに対する緊張を高める理由にしてきた“イスラエル国家と国民の安全に対する脅威”は、今、ここで明言するが、存在しない。
我々は挙ってイスラエル国家の存在を認め、イスラエル国民の安寧と平和を保障するが、イスラエルもアラブの平和と安寧を尊重し、その実現に努めなくてはならない。
イスラエルは今、ガザを破壊し、レバノンに攻撃を仕掛け、シリアを不法に侵略し、アラブ諸国の地において”安全保障・自衛“の名の下、暗殺を実行し、自らテンションを高め、怒りを引き起こしているが、イスラエルは今後、どのような地域を作り、どのような世界を作りたいのか?というプランが全く見えてこない。
我々は地域の平和実現のために話し合う用意があるが、果たしてイスラエル政府の誰とその話が出来るのか分からない。
ネタニエフ首相が繰り返し私たちに伝えるのは、平和と安寧のためには脅威を取り除く必要があり、それはハマスの壊滅であり、ヒズボラの崩壊以外に手段はなく、イスラエルは必然的に武力を通じてその実現に邁進するということだが、彼の頭には戦争を継続することしかなく、何のグランドデザインもないことが分かった。
ボールはイスラエル側にあるが、イスラエルが和平について本気で話し合い、地域のあるべき未来の姿を具体的に我々と描くつもりがあれば、アラブ諸国はいつでも対話の扉を開く。
しかし、その“相手“はネタニエフ首相ではないだろう」
これは今週開かれたMuslim-Arab Committeeの首脳級・閣僚級会合の後、ヨルダンの外務大臣であるAyman Safadi氏が“57か国を代表して”プレスに示したスタンスです。
「ネタニエフ首相と話した」とありますが、これは彼がこの会合に招かれて協議に加わったのか、それともオンラインでの参加となったのかは分かりませんが、話し合いが物別れに終わり、ガザにおける悲劇の終焉が見えなかったことを暗示していると考えます。
この結果を受けて、サウジアラビア王国はモハメッド・ビン・サルマン皇太子が「ネタニエフ首相との間で今後、何かしらの話し合いが行われることはないし、かつネタニエフ首相が率い、ガザを蹂躙し、明らかに1967年合意を無視して領土的な野心を明らかにする行動を取る限り、サウジアラビア王国がイスラエルとアブラハム合意について議論することはない」と発言していますし、UAEもヨルダンも、そしてカタールも「パレスチナ国家の樹立を含む二国家並立による和平が実現するならば、我々はイスラエルが恐れるような事態に加担しないし、地域における平和的共存を支持する」と述べ、「しかし、それは明確にパレスチナ国家の樹立を馬鹿げたアイデアと非難し、アラブ社会全体をハマス、テロリストと非難を続けるネタニエフ首相が、アラブのカウンターパートになることはない」と非難しています。
トランプにも一蹴されたネタニヤフの哀れな「命乞い」
そして域外ですが、中国の習近平政権は「イスラエルはこれまでに国際法を何度も蹂躙し、無視し、非人道的な行為を繰り返してきたことを自覚しなくてはならない。一刻も早くガザに対する蛮行を停止し、人道支援を邪魔しないことが必要だが、恐らくそれはネタニエフ首相の下では行われないだろう」と、これまで見たことがないくらい踏み込み、ポジションを取った発言を行っています。
アラブ社会からの反ネタニエフ首相の発言が相次ぎ、ネタニエフ首相のイスラエルとの協力は不可能と認識がアラブから示されたことを受け、トランプ政権が何らかの反応や発言をする前に、中国が非難を行ったことは非常に珍しいことであり、驚いています。
トルコのエルドアン大統領やブラジルのルラ大統領がネタニエフ首相をヒトラーに擬え、「今、...
私たちは毎日、SNSや動画配信サービスを通じて、無限に広がる情報の海に触れています。一見すると多様な世界とつながっているように見えますが、実は「自分が見たい情報」だけが選び取られ、同じような意見ばかりが流れてくる。その現象を「エコーチェンバー」といいます。Google、マッキンゼー、リクルート、楽天の執行役員などを経て、現在はIT批評家として活躍する尾原和啓さんは、自身のメルマガ『尾原のアフターデジタル時代の成長論』において、エコーチェンバーのリスクと対処法について紹介しています。
つながりすぎる時代の副作用「エコーチェンバー」と、その対処法
教会や密閉された部屋の中に入ると、自分の声が反響して、いろんなところから戻ってくることがありませんか? 教会のように、音が反響する閉じられた空間を「エコーチェンバー(残響室)」といいます。
つながりすぎる時代には、その副作用で、だれもがいつの間にか陥ってしまう「エコーチェンバー」という現象があります。どうすれば自分のいきすぎた行動を防げるのか? 自分が偏りすぎないために大事なことなので、解説しておきたいと思います。
「エコーチェンバー現象」とは?
インターネット、特にSNSやYouTubeでは、プラットフォームの会社がユーザーに長くいてもらうために、見ている人が好きな情報だけを提示していきます。ユーザーは多様な世界とつながっているつもりだけど
...more、いつの間にか好きなモノばかりを見てしまっている。そして、「世界は自分が好きなモノだけで存在しているから、自分が考えていることは正しい」と思ってしまう。それを「エコーチェンバー現象」といいます。
3年前のTEDで、すごく話題になったトークがあります。そのトークの中で、ある社会学者が実験をした結果、YouTubeのユーザーは視聴時間の8割以上「自分が選択していない動画」を見ていることがわかりました。
ジーナップ・トゥフェックチー: ネット広告の仕組みが拓く ディストピアへの道 | TED Talk (日本語字幕付):https://youtu.be/iFTWM7HV2UI
YouTube動画って、1本目はチャンネル登録した動画や検索して出てきた動画を見るケースが多いですよね。でも2本目以降は、自動再生の動画を見ていることが多いです。自分で選択したような気になっているけど、1本目の動画を見たあとに出てくる5つくらいの関連動画の中から選んでいる。これは、1日にウン十万上げられる動画のたった5つくらいの中からしか選んでいないことを示しています。
YouTube側は、「みんな自分の好きな動画を見たいだろう」と思います。だから「西野(亮廣)さんの動画を見たなら『えんとつ町のプぺル』の動画も見ておきませんか?」と、良かれと思って提示していくわけです。
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「エコーチェンバー」のリスク
今お話ししたパターンや、「ちょっと保守的な動画を見る」くらいだといいんですけど……。実験で何がみえてきたかを説明します。
例えばユーザーが「ちょっと人種差別的な動画」を見てしまった。するとYouTube側は、「この人、人種差別的な動画が好きなんだな」と思います。それって見ている人の傾向が似ているモノを提示しているだけで、動画の内容を見て判断しているわけではありません。だから、もうちょっと過激な人種差別的な動画を見てしまうと、「あ、この人はこういう傾向の動画が好きなんだ」と、さらに過激な動画を見せる。
そうやっていると、ユーザーは気付かないうちに「世の中こういうふうになっているんだな」と思うようになって、YouTubeを開くと人種差別的な動画に包まれるようになってきます。その結果、より「世間はそういうものなんだ」と思うようになるわけです。
FacebookやTwitterも同じです。Facebookのポストは基本的には友人のモノが多いですよね。特にアメリカでは地方で思考の色合いが似てくるので、同じようなことを考えている友人のポストを見るようになります。たとえ友人と距離があって色合いが多様だったとしても、Facebook側はユーザーが「いいね」をしてくれるところから「長くいてくれるモノ」を多く出しがちです。例えばユーザーが「猫好き」「犬好き」の人だったら、「友人のそういうポストを出そう」となってしまう。というように、だんだん思考が激しい方向に寄っていってしまいます。
実は10年くらい前まで、アメリカの大統領選挙は「共和派」か「民主派」かで、その時その時にシェアリングしているアジェンダがありました。そのアジェンダに関して「今の時代、どの知事に投票すべきか?」という議論が進んで、どちらかが選ばれることが多かったんです。けど、ここ10年ほとんどの州で「こっちの州は民主(党)です」「こっちの州は共和(党)です」というのがほぼ決まっていて。そのため、フロリダやミシガンやペンシルバニアなど「いくつかの、どっちに倒れるかわからない州」のみの結果で大統領選が決まってしまう状況が起きています。
これは、「空の上には何があるのかわからない世界」ではありません。決まったものしか見えていない、僕たちはある種、限られたバブル(泡)の中で暮らしています。これを「フィルターバブル」と言います。
だれも自分から人種差別派になろう、と思ってなっていない。プラットフォーム側がよかれと思って選択したモノを見ているうちに、自然と染まっていってしまうものなんです。私たちは、そこに気を付けないといけません。
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「エコーチェンバー」の対処法
つながる時代だからこそ、
自分の好きなモノしか見えなくなりやすい性格があることを、ちゃんと自分で認識する
偏った情報をちょっとした好奇心で見たときは、必ずその逆の方向を見る
という習慣が大事です。
昔、アメリカなどでは新聞の中に「バイオプト」という記事がありました。バイオプトとは「ある記事を反対派の意見で書いたら、それに対して賛成派はこう言っていると書く」というように、常に両方の角度からみたものはどうなっているかを新聞の中で誇りを持って載せていたんですよね。それがだんだん「一方向からみたほうがうける」となり、物事を両方の角度からみる習慣を失くしてしまったニュースメディアが多いです。それに、今はほとんどの人がニュースをソーシャルメディア経由で見るようになっています。
そうすると、「エコーチェンバー」という他の人の意見を聞いているようで、「自分が見たい世界」「自分が好きだと思っているモノ」を見ているだけになってしまう。これは本当に気を付けたほうがいいです。
ある情報を見たら、その反対側の意見の検索キーワードをYouTubeで入れてみる。例えば「気象問題はない」という動画を見た時には、「気象問題はやっぱりある」と検索する。そうやって、常に自分が囲われている環境の情報をバランスを取るようにしてみる。
あと僕自身やっているんですけど、FacebookやTwitterもアルゴリズムに全部委ねず、自分がお気に入りにしているリストを時々変えていく。そうすることによってバランスを取る。
あともう1個、FacebookやTwitterを見る時も「ふだん自分がぜんぜん使わないキーワード」を入れてみる。そうすると、「こういう世界があるんだ」と気が付く。そこでおもしろいことを言っている人、「この人の意見は参考にしたほうがいいな」って人をフォローする。このように、常に洗い替えをしていくことによって自分の中のバランスを取ることが大事です。
オンラインサロンの中でも、いろんな人のコメントが付きますよね。そのコメントの中で、ついつい自分が好きなコメントを見てしまうんですけど、たまには遠いモノを見る。それを習慣化してみるといいと思います。
というわけで
今日の話を聞いて、「自分から遠い、こういうキーワードでYouTubeを見てみようと思った」など、自分の中で自分のエコーばかりを聞かずバランスを取るために、どうやって情報を接種していくかコメントをいただけたらと思います。
エコーチェンバー対策
ある情報を見たら、反対側の意見をキーワード検索する
時々お気に入りリストを入れ替える
普段、自分がぜんぜん使わない検索キーワードを入れてみる
オンラインサロンのコメントなどで、自分が好きなものとは遠いものをみる
1~4を習慣化する
(本記事は2020年11月4日の解説動画を記事化したものです)
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