結婚したら子どもを持つ。
そんな価値観は、今も社会のあちこちに残っています。
その一方で、あえて子どもを持たない選択をする夫婦も少なくありません。
では、自分たちの意思で「子どもを持たない人生」を選んだ夫婦は、周囲からどのように見られているのでしょうか。
豪ウェスタン・シドニー大学(WSU)が最新研究で、その答えを見つけ出しました。
それによると、あえて子どもを持たないは「周囲から有能と見られる一方で、温かみに欠けている」とも認識されやすいようです。
研究の詳細は2025年10月16日付で学術誌『Journal of Social Psychology』に掲載されています。
目次
「温かみに欠けるが有能」と評価されやすい偏見はどこから生まれるのか
「温かみに欠けるが有能」と評価されやすい
心理学の研究によると、子どもを持たない選択をした人々は、子どもを持つ親や養子縁組をした人、子どもを望みながら持てない人と比べて、「温かみが低い」と見なされやすいことが分かっています。
一方で同時に、「有能さ」については、親や子どもがいない人よりも高く評価される傾向がありました。
つまり、チャイルドフリーの夫婦は、冷静で合理的、仕事ができそうだが、人情味には欠けるという、少し複雑なイメージを持たれやすいようです。
これは決して否定的な評価ではありませんが、無意識のうちに貼られたラベルであること...moreは確かです。
また、研究では性別による違いも確認されています。
同じチャイルドフリーであっても、女性のほうが男性より「温かみに欠ける」と評価されやすい傾向がありました。
この結果は、子育てが女性の役割だという社会的期待が、今なお根強く残っていることを示唆しています。
偏見はどこから生まれるのか
研究を進めたチームは、なぜこうした評価が生まれるのかについても分析しています。
その背景にあったのが、「子どもを持つべきだ」という出生奨励的な価値観です。
調査では、チャイルドフリーの人々に否定的な態度を示す人ほど、「子どもがいなければ社会や経済が成り立たない」「子どもを持たないのは自己中心的だ」といった考えを強く支持していました。
さらに、チャイルドフリーの人々を「自制心に欠けている」「人間味が薄い」と捉える、いわゆる非人間化の傾向も確認されています。
こうした認識は、「休暇を少なくすべきだ」といった差別的な意見とも結びついていました。
もちろん、子どもを持たない選択をした夫婦は、社会から強く拒絶されているわけでは全くありません。
しかし、「有能だが温かみに欠ける」という固定的なイメージが、今も静かに存在していることが研究から見えてきました。
家族の形が多様化する現代において、「子どもを持つかどうか」は個人や夫婦の価値観に委ねられるべき問題です。
この研究は、私たち自身が無意識のうちに抱いている前提や期待を、改めて問い直す材料を提供していると言えるでしょう。
全ての画像を見る参考文献Childfree people are viewed as competent but lacking in warmth compared to parentshttps://www.psypost.org/childfree-people-are-viewed-as-competent-but-lacking-in-warmth-compared-to-parents/元論文Evidence of a negative bias toward people who are childfree by choicehttps://doi.org/10.1080/00224545.2025.2573719ライター千野 真吾: 生物学に興味のあるWebライター。普段は読書をするのが趣味で、休みの日には野鳥や動物の写真を撮っています。編集者ナゾロジー 編集部