国民民主党の玉木雄一郎代表が選挙制度を「完全小選挙区制に」と発言したことで、メルマガ『佐高信の筆刀両断』の著者で辛口評論家として知られる佐高さんは、彼を「危険人物」と見定めたようです。完全消極性の何が危ないのか、玉木雄一郎氏が知らないであろう「過去の事例」についても紹介しながら解説しています。
小選挙区制を主張する玉木雄一郎の危険性
騒動師の立花孝志のところにSNS対策を教わりに行って、2人で動画をコラボしただけでも国民民主党の玉木雄一郎に理想や理念がないことは明らかだが、最近、選挙制度を改革するなら「完全小選挙区制にしろ」と発言していて、この男は危険極まりないと思った。
統一教会との関係もあり、私は玉木を雄一郎ではなく統一郎だと言っている。
小選挙区制が導入された時、私は懸命に反対したが、城山三郎はこう言って怒った。
「マスコミはこれまで、小選挙区制はファシズムを生むと言って反対していたのに、なぜ、くるっと変わったんだ」
そして続けた。
「もし新聞社のお偉方が改革の審議会に入っているから反対意見が書けないと言うなら、それこそ“社畜記者”ではないか」
田原総一朗、筑紫哲也、岸井成格など、名立たるメディア人も雪崩を打って賛成にまわり、しばらく経ってから、私に批判されて、彼らは反省していた。しかし、遅すぎる。
あの時、『朝日新聞』で唯一、反対の論陣を張った石川真澄は“守旧派”のレッテル
...moreを貼られた。
新党さきがけの武村正義も当時、小選挙区制推進派だったが、同じさきがけながら、田中秀征は断固反対し、武村は田中に、
「田中さん、見識がある人はみんな反対だね」
と言ったという。
田中は改めて『小選挙区制の弊害』(旬報社)を出し、「中選挙区制連記制」を提唱している。多分、見識のない玉木はこうした本など読んでいないのだろう。
「改革」に踏み切った当時の与野党のトップである細川護熙と河野洋平も「反省」しているのに、玉木は逆に「完全小選挙区制」を主張している。愚かにも程があると言わなければならない。
小選挙区制は、つまり、1人区制であり、51%の得票で当選し、49%の票が切り捨てられて死票となる。
投票率を60%とすれば、30%ちょっとの得票で当選できるから、70%の声が切り捨てられるのである。
小選挙区制は2大政党を生んで政権交代が起こりやすくなると言われるが、その2大政党は必然的に似てくる。
民主党の菅直人や岡田克也は当時、企業・団体献金を再開するなど、それまでと違ったことを言い出し、自民党とどう違うのか、と周囲をとまどわせた。
国民民主の玉木が、いま、他の野党と違って、企業・団体献金の廃止に賛成しないのと似ている。
結局、国民民主は維新を第2自民党とすれば第3自民党であり、野党とは言えない。あるいは、自民党をヤクザとすれば維新は半グレであるという私の説を引けば、元財務官僚の多い国民民主はインテリヤクザである。
こんなファシズム男がもてはやされているこの国は危なくて仕方がない。
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