賛否両論吹き荒れる中、新型コロナの2類から5類への変更を決定した岸田政権。この大きな方針の転換は今後、我が国にどのような変化をもたらすのでしょうか。今回の『きっこのメルマガ』では人気ブロガーのきっこさんが、5類への移行は多くの高齢者の命を奪うことになる「棄民政策」として強く批判。さらに岸田政権が高齢者にここまで酷い仕打ちを繰り返す理由を解説しています。
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新型コロナ対策も丸投げした岸田首相
あなたは外出する時、マスクを着けていますか?それとも外していますか?…というわけで、1月23日の施政方針演説に、マスクを外して登壇した岸田文雄首相は、新型コロナについて、「感染の波を乗り越え、ウィズコロナへの移行を進めてきました」と1年間で4万人も殺した昨年の対策を自画自賛した上で、この春から新型コロナを「2類」から「5類」へ変更すると述べ、次のように続けました。
「マスクの着用についても、5類感染症への見直しと併せて、まずは今一度、『原則、外ではマスク不要』といった現在の取り扱いについて周知徹底を図ります」
終わりの見えない新型コロナ禍において、マスク着用については個人個人いろいろな考えがあるため、つまらないトラブルがあちこちで起こっています。マスク着用をお願いしている飲食店にマスクをせずに入って店側とトラブルを起こす人、旅客機の中でマスクを外
...moreしてトラブルを起こす人、中には、他人の着けていたマスクの素材がウイルスに対応していないものだと文句をつけて、電車内で殴り合いになったという例もありました。
昨年は、ほとんどの観客がマスクなどしていない海外の野球やサッカーなどの試合を例に出し、「マスク不要論」を唱える人たちも現われました。そして、この長く続いたマスク着用を巡る議論に終止符を打つべく、「検討するだけで決断力も実行力もない検討使」と揶揄されて来た岸田首相が、昨年の5月23日、ついに重い腰を上げたのです。岸田首相は新型コロナ対策の「基本的対処方針」を改定し、「屋外では、よほど人が密集していない限り、マスクの着用は原則不要」と決められました。
しかし、このルールが定められてから8カ月が過ぎた今も、一歩外へ出ればほとんどの人がマスクをしていて、たまにマスクをしていない人を見かけると「ギョッ!」としてしまいます。あたし自身も外出する時はマスクを着用していますが、これは「皆がマスクをしているから」というだけでなく、近所のスーパーを始めとして、大半のお店や公共交通機関が「マスク着用」だからです。お店に入るたび、バスや電車に乗るたびにマスクを着けることが面倒なので、外出中は着けっぱなしにしているのです。
自分の他には猫くらいしか歩いていない田舎ならともかく、一歩外へ出れば必ず誰かとすれ違う都会で暮らしていれば、多くの人は自宅を出る時からマスクを着用しているのが現状ではないでしょうか。マスクを外してホッとできるのは、自分の車の中や自宅くらい、あとは何か食べる時と飲む時に一時的に外すだけで、外では基本、マスクは着けっぱなし。都市部では、こういう人のほうが圧倒的に多いと思いますし、あたしもその1人です。
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そして、あたしがマスクを着けているもう1つの理由は、マスクをせずに外出することによる感染リスクが恐いからです。「マスクをしていても感染する時は感染する」という人もいますが、誰もいない山にでも行くならともかく、複数の人が行き来している駅や商店街などを、マスクを着けずに歩き回るのは、やはり恐いです。現在は、もしも感染が疑われるような症状が出ても、病院へ行くことができず、自分で検査キットを買って来て自分で調べ、自宅療養するしかないのです。そして、その結果、毎日数百人が亡くなり続けているのです。
昨年12月からの第8波により、もともと逼迫していた医療現場はさらに限界となりました。1月には、急病や事故などで救急車を呼んでも、受け入れ先の病院が見つからずにタライ回しにされるという事案が4週連続で過去最多を更新し、1月末には1週間で全国8,000件を突破しました。ただし、新型コロナで重症化した場合は、現在は「2類」のカテゴリーなので、受け入れ先の病院は保健所が差配するため、比較的、優先的に入院、治療を受けることができると言います。
しかし、春から新型コロナが「5類」に変わると、保健所はノータッチになり、一般の病気と同じように、入院先も救急車の乗務員が探さなくてはならなくなります。現在でも受け入れ先の病院が見つからないという事案が過去最多を更新し続けているのに、そこに1日何万人という新型コロナ感染者が上乗せされることになるのです。もちろん、陽性でも入院の必要がない感染者のほうが多いですが、それでも連日、数百人もの死亡者が出ている現状で、何の対策も行なわないままの「事実上の規制緩和」は、国民の命など二の次で経済だけを優先した棄民政策としか言いようがありません。
さらに言えば、新型コロナが「5類」に変わると、新型コロナ感染者の受け入れ設備のない病院にも振り分けられる恐れがあり、その場合には、あっという間に院内感染が広がってしまいます。新型コロナを「5類」に変更するのであれば、まずは一般の急病や事故などで救急搬送された患者がタライ回しにされないような受け入れ態勢を作り、すべての病院に新型コロナ感染者を隔離できる設備を置き、全国的に不足している医療関係のエッセンシャルワーカーを拡充することが大前提です。
最近では「高齢者は集団自決すべき」などと言い出す経済学者まで出て来ましたが、新型コロナによる死亡者の多くが高齢者だという事実と照らし合わせると、今の岸田政権の「マスクを外せ」「5類へ移行しろ」という乱暴すぎる方針からは、「高齢者の口減らし」という本音しか見えて来ません。何故なら、2年後の2025年には、団塊の世代の全員が「後期高齢者」となり、公明党が「百年安心」と宣伝して来た日本の年金システムが、崩壊し始める恐れがあるからです。
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つまり、2025年までに、少しでも高齢者を減らしておきたいのが、岸田政権の本音なのです。そうとでも考えなければ、これまで日本を支えて来てくださった高齢者たちに、ここまで酷い仕打ちを繰り返す岸田政治というものの説明がつきません。そして、その極めつけが、医療現場が逼迫した状況のまま何の対策も講じずに「5類」へ規制緩和するという、無責任すぎる「新型コロナ対策の丸投げ」なのです。
あたしは後期高齢者の母さんとふたり暮らしなので、もしもあたしが外出中に新型コロナに感染し、それに気づかずに自宅に戻れば、母さんに感染させてしまう可能性があります。あたしはともかく、母さんの場合は年齢的にも危険なので、絶対にそんなことはあってはなりません。「自分で検査キットを買って自分で調べろ」という、とても先進国とは思えない現在の最悪の状況は、岸田首相による後手後手の無責任政治が招いたものですが、自分の身は自分で守るしかありません。
「外出時のマスク着用」は、「なるべく人の多い場所には行かない」「こまめな手指の消毒」とともに、あたしにできる数少ない自己防衛手段の1つなのです。そのため、いくら岸田首相が施政方針演説の中で「今一度、『原則、外ではマスク不要』といった現在の取り扱いについて周知徹底を図ります」などとノタマッても、あたしは1ミリも従う気などありません。何しろ今の日本では、新型コロナに感染しても、重症化するまで治療が受けられないのですから。
(『きっこのメルマガ』2023年2月1日号より一部抜粋・文中敬称略)
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image by: 首相官邸
2021年1月配信分
第104号 加害者の更生と被害者の救済/消えた黒猫の謎/探梅(1/27)
第103号 使い回しの施政方針演説/江戸時代のラブレター/スキー/あの魚の名前の意外な由来(1/20)
第102号 往生際の悪い男と執念深い女/新成人の皆さんへ/女正月/あの魚の名前の意外な由来(1/13)
第101号 初夢ダブルストラクチャー/大小歴と地球カレンダー/姫始(ひめはじめ)/世界のドナルド(1/6)
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