韓国で旧統一教会の韓鶴子総裁が逮捕され、捜査過程で日本支部から同総裁に宛てた3200ページにもわたる「TM特別報告」が発見されました。そこには自民党有力政治家の名前が多数記載され、同教会が日本の政治権力に入り込んできた様子が克明に描写されているとされます。高市首相が突如1月解散を検討し始めた背景には、この問題があることは明らかです。メルマガ『グーグル日本法人元社長 辻野晃一郎のアタマの中』では著者の辻野さんが、旧統一教会問題に決着を付けることなしには日本の政治を立て直すことはできないと警鐘を鳴らしています。※本記事のタイトルはMAG2NEWS編集部によるものです:再燃する旧統一教会問題について
週刊文春が報じた「自民党と統一教会」の癒着
韓国では旧統一教会の韓鶴子(ハンハクチャ)総裁が逮捕され、先日死刑が求刑された尹錫悦(ユンソンニョル)前大統領や同政権への政界工作に関する捜査が進んでいます。その捜査過程で、日本支部から同総裁に宛てた「TM(True Mother)特別報告」という3200ページにもわたる文書が見つかり、その全文を入手したとして『週刊文春』がスクープ記事を出しました。
そこには、2021年の岸田文雄政権下での総選挙において、同教会が自民党候補だけで290名を支援したと記載されているだけでなく、安倍晋三元首相や岸田文雄元首相、高市早苗現首相、萩生田光一氏など、自民党有
...more力政治家の名前が多数記載されており、同教会が日本の政治権力に入り込んできた様子が克明に描写されているとされます。
安倍氏の名前は547回、岸田氏が116回、萩生田氏が68回、高市氏が32回も言及されており、山際大志郎氏、岸信夫氏、牧島かれん氏、長島昭久氏等の名前も出てくるそうです。長島氏は元信者で合同結婚式を挙げていながら、自民党の調査ではその事実を隠していたことも判明しています。
旧統一教会問題関連では、この問題が発覚してからこれまで多数の投稿を行ってきましたが、今回の本件再燃にあたって、あらためて以下の投稿を行いました。
ベネズエラ問題についてはメディアも国会議員も評論家も大騒ぎだが、反日カルト集団旧統一教会の捜査が本国の韓国で進み、2021年岸田政権下の総選挙では自民党議員290名が彼らの支援を受けていたとの内部資料が出てきたという自国の大問題については今のところほぼ無風状態なのが摩訶不思議です。
— 辻野 晃一郎 (@ktsujino) January 5, 2026
萩生田光一氏のこれまでの釈明はすべてウソであったことが韓国当局の捜査であらためて明らかに。裏金についての釈明も同じだろう。国会議員としての彼の命運がこれで尽きることを願う。 https://t.co/Ok5sYS9Mt5
— 辻野 晃一郎 (@ktsujino) January 8, 2026
また、前号の「今週のメインコラム」での年頭所感の中では、以下のように書きました。
「高市内閣がいつ解散するのか、ということも今年の日本の政治を左右する大きなテーマだと思います。巷では、支持率が高いうちに解散するのではないかということで、今月の通常国会開始のタイミングの可能性が一時取り沙汰されていましたが、その可能性は消えたようです。今のところ、解散の可能性が最も高いとされているのは、国会会期末の6月とされますが、上記の旧統一教会問題を始め、コメ高騰を含むインフレの動向、中国問題の成り行き、3月訪米も検討されているトランプ政権との関係、林芳正総務大臣のスキャンダルなど、解散の行方を左右する変動要因は盛りだくさんです」
ここでは、「通常国会開始のタイミングでの解散の可能性は消えたようだ」と書きましたが、「解散の行方を左右する変動要因は盛りだくさん」とも書きました。
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突然浮上した「1月解散」。高市首相が“急ぐ”真の理由
すると早速、先週9日の23時に、読売新聞がオンラインで、「高市首相が衆院解散を検討、23日通常国会の冒頭に…2月上中旬に投開票の公算」と報じ、1月解散の可能性が突如再浮上して大騒ぎになりました。解散の話は、麻生副総裁や鈴木幹事長にも事前の相談がなかったということもあり、さまざまな憶測を呼びましたが、14日、鈴木幹事長と維新の吉村代表がぶら下がり会見を行い、高市氏から、国会開催冒頭で解散する意向を伝えられたことを明らかにしました。解散の理由についての高市氏自身からの説明は、週明けの19日に行われるそうです。
しかしながら、急転直下したこの1月解散に大義などあろうはずもなく、自己都合を最優先した極めて身勝手な解散と言わざるを得ません。おまけに、今や政権与党である維新もこれに悪乗りして、代表の吉村大阪府知事は、大阪市の横山市長(同党副代表)と共に辞職して知事・市長の出直し選を行い、既に2度の住民投票で否決されて3度目はないと公言していた大阪都構想(副首都構想)の是非を再度問うそうです。このような無責任極まりない身勝手な人たちが、今や政権与党として国家運営を担っていることに、今更ながら背筋が寒くなる思いです。
「物価高対策を優先して当面解散は考えていない」と明言していた高市氏が突然態度を変えた背景には、解散を左右する変動要因として先に列挙した日中関係のさらなる悪化や、スクープされた旧統一教会問題があることは明らかです。さらに高市氏を巡っては、政治資金規正法の上限を超える企業献金を受けていた問題や、天理教系企業からの高額な迂回献金疑惑も浮上しています。旧統一教会問題については、「TM特別報告」の解析が進められており、週刊文春も第2弾、第3弾の記事を出してくるでしょう。高市氏としては、触れられたくないこれらの問題に関する国会論戦を避け、支持率が高いうちに解散した方が得策という判断に急遽傾いたことはほぼ間違いないと思いますし、自民党が実施した情勢調査の結果もその判断を後押ししたようです。
安倍政権時代に、影の総理と呼ばれていた今井尚哉氏が、高市氏に請われて内閣官房参与として政権中枢に戻っていますが、今週、経産省OBで今でも政界や官界に太いパイプを持つ知人と食事をし、内情をいろいろと教えてもらいました。彼によると、巷で言われている通り、今井氏が早期解散を高市氏に強く進言していたことは間違いないそうで、麻生外しの思惑もあるとのことです。
それにしても、よく「解散は総理の専権事項」などと言われ、7条解散とも呼ばれますが、日本国憲法には、69条も含めて、解散権の所在や行使の要件について決定的な条文はありません。時の内閣や総理の都合で解散権を自由に行使できるとすれば、まさに制度上の欠陥以外の何物でもないとも言え、この点に関しては、身勝手な解散を封じるための憲法改正が必要でしょう。
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決着を付けるべき重大問題と萩生田光一氏の重大な役割
それらはさておき、ここでは、先のXへの投稿に戻り、その理由を述べたいと思います。私は、旧統一教会問題に関して決着を付けること無しには、日本の政治を立て直すことなどできないと考えています。そのため、韓国当局の捜査がきっかけとなって、半ば忘れかけられていたこの問題が再燃しつつあることを大いに歓迎しています。
旧統一教会を批判すると、必ず「宗教弾圧」とか「信教の自由」という反発が返ってきます。しかし旧統一教会というのは、宗教を隠れ蓑にした、反日を教義とする外国の反社会的勢力であり、日本の信者から巨額の金銭を収奪した詐欺集団です。韓国の李在明(イジェミョン)大統領も、「新天地(新天地イエス教証しの幕屋聖殿)と旧統一教会が韓国社会に及ぼす害悪をあまりにも長く放置していたため弊害がきわめて大きい」と述べています。そのような外国勢力が、日本の政権与党に深く入り込んで、日本の政治に大きな影響を与えてきたのではないかという重大な疑義があるわけですが、何故か日本では当局の追及が甘く、この問題がうやむやにされてきたことに強い危機意識を持ち続けてきました。
「TM特別報告」の中には、「安倍首相(当時)がお母様(韓鶴子)にひれ伏して拝するように」というような記述や、「高市氏の後援会と我々は密接な関係にある」「高市氏が自民党総裁になることが天の最大の願いである」というような記述の存在が確認されています。
特に萩生田光一氏については、自民党議員と同教会を結び付ける上で重要な役割を果たしてきたことが記されており、「常に連絡を取り合う関係です」「我々と安倍首相との面談を一貫して主導してくれた人物」などと記載されていて、菅義偉内...
タレント、司会者、ラジオパーソナリティ、YouTuberなど多方面で活躍する田村淳さんがプロデュースする、新ビジネスコミュニティメディア「XU(クロスユー) – X innovation empowers U」。
その「XU」と、福岡を拠点にするFMラジオ局「CROSS FM(クロスエフエム)」、そして日本初・国内最大級のメールマガジン配信プラットフォーム「まぐまぐ!」の3メディアが、それぞれの強みを活かしたクロスメディア展開プロジェクトが、2025年9月9日より開始されました。
本記事では、「XU」を運営する株式会社HI-NEXUの代表取締役 今井豪さんに、なぜ今回XUを立ち上げようと思ったのか、その熱き思いとメディア立ち上げの裏側をお伺いします。
田村淳さんとの出会いと、番組づくりで共有した思い
今井豪さん(写真の左から2番目)
プロフィール今井 豪(株式会社HI-NEXU 代表取締役CEO)テレビ東京で『いくぞニッポン!こども経済TV』『田村淳のBusinessBasic』『田村淳が豊島区池袋/池袋イノベーション』などの企画・制作に携わったのち、2025年1月にHI-NEXUを設立。
──XU(クロスユー)はどのようなメディアとしてスタートされたのでしょうか?
今井豪氏(以後、今井):XU(クロスユー)は、従来の枠に収まりきらない“未来をつくる人たち”が交わるための、メディア
...more、そしてコミュニティとしてスタートしました。
経済ニュースをただ伝えるのではなく、企業も研究者も学生も自治体もクリエイターも、そしてスタートアップも大企業も、立場の違いを越えて交差し、まだ名前のついていない価値が生まれていくことを目指しています。
企画・総合プロデュースを務める田村淳さんとともXUを立ち上げました。また「ガイアの夜明け」などさまざまなドキュメンタリー制作に携わるネクステップの取締役石川剛さんを番組プロデューサーに迎えました。
おふたりとも、私の前職(テレビ東京)時代から長きにわたって、多様なインキュベーション番組を通じて、現場で生まれる変化の瞬間をともに見つめ、社会へ伝えてきた大切な存在です。
今井さん(写真中央)
──XUは、一見、既存の経済対談番組と同じような体裁で始まったようにも見受けますが、実際は違うということですね?
今井:はい。もちろんさまざまな対談から始めたXUは“よくある経済対談番組”のように見えるかもしれませんが、実際のXUはここから少しづつ本質的なものを伝え始めます。
むしろ、ここから一気に新しいコンテクストが立ち上がっていく段階なんです。その核になるのが、コミュニティ、現場、そして新たなビジネスを生み出す仕組みです。
XUは、ただ話すだけの番組ではなく、ここから“生まれていくプロジェクトそのもの”を追いかけるドキュメンタリーが始まっていきます。出演者同士の対談を見ても、もうすでにその萌芽が感じられるはずです。
番組は、語り合う場で終わらず、動き出し、つながり合い、実際のインキュベーションへと変わっていく。そのプロセスを可視化し、共有していくのがXUなんです。
──大企業の新規事業支援なのか、スタートアップの支援なのか、次世代育成なのか…立ち位置はどこにあるのでしょう?
今井:一言でどれかに当てはめるのは、実は難しいんです。
というのも、XUが支援しているのは「大企業の新規事業だけ」とか「スタートアップだけ」とか「若い世代だけ」という単線的なものではなく、もっと広くて、もっと混ざり合った領域だからです。それがXU、(X innovation empowers U=クロスイノベーションがあなたの背中を押す!)という名前の由来ですね。
大企業が持つ実行力や蓄積、町工場の確かな技術、大学や研究者が持つ未発掘の知、スタートアップの突破力、そして若い世代ならではの想像力。こうした異なる世界のエネルギーが混ざり合う瞬間こそ、新しい価値が生まれます。
XUはその“混ざり合うプロセス”そのものを支援し、可視化し、未来につなげることを大切にしているメディアなんです。
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──既存の経済メディアとの一番の違いは何だと思いますか?
今井:既存の経済メディア(テレビなどのマスメディア・昨今の配信メディア)は本当に優れています。多くの視聴者がその信頼性から“情報を得る”や“議論を形成する”ことを可能にし、その知を高めてくれ、強く刺さります。
私たちXUは、未来を実際に動かすのは、視聴して理解するだけでも、議論の質を深めていくだけではなく、その先にある「行動し、」を追いかけ、実際に事業を生み出すところまで追求していくメディアでありたいと思っています。
XUの核となるターゲットは、大きく 「実行層」 と 「挑戦層」 の2つがあると思っています。
実行層 というのは、動かす力を持っている人たちです。たとえば、スタートアップの創業者や起業準備中の人、中小企業の社長、企業のイントレプレナーや経営層・人事、そして自治体でイノベーションを推進している担当者など、規模に関係なく “決めて動ける” 人たちのことです。
一方で 挑戦層 は、まだ燻ってるけど、火がつけば一気に走り出す人たち。大学生や若手社会人、副業に挑む大企業人材、50代で再チャレンジする人、地域で何か始めようとしているローカルプレナー、そして埋もれている大学研究のシーズまで含みます。
つまり、動かせる人(実行層) と、これから跳ねる可能性を持つ人(挑戦層)。
この両方が交わることで、新しい挑戦や事業が生まれていく、という考え方です。
XUは、この“実行層”や“挑戦層”と直接つながる、数少ないメディアになることを目指しています。ニュースを届けるのではなく、「これから何を起こすのか」を共に決めるような場をつくる。そこが決定的に違う点だと感じています。
──XUが大切にしている“静かな熱量”とはどういう意味なのでしょう?
今井:自分の現場を変えよう、社会を前に進めようと静かに挑戦し続けている人たちがいます。肩書きや知名度とは関係なく、未来を信じて行動している人たちですね。そういう方の背中には、言葉にしなくても伝わる温度があります。
XUは、その“静かだけど確かな熱”が生まれる瞬間を追いかけています。声を張り上げなくても世界を動かせる人たちの、その火種が、やがて大きな炎になると信じているからです。
──XUはなぜコミュニティづくりを重視しているのでしょうか?
今井:今の時代、一社だけ、一個人だけでは解決できない課題が増えています。だからこそ、企業と自治体、研究者と学生、さらには町工場──普段は交わらない世界の人たちが出会い、試し、失敗し、また挑戦する。そのプロセスが必要なんです。
XUは、そのプロセス全体を記録しながら、同時に“出会い”そのものが起こる場所をつくっています。未来をつくるためには、まず人が混ざる土壌が必要です。コミュニティはそのための基盤だと思っています。
──XUが設計している「集まる場」とはどのような場所ですか?
今井:場といってもひとつではありません。たとえば虎ノ門にあるスタジオ「江戸見坂森ビルX Weave Studio」は、ただ収録をするための場所ではなく、議論が生まれ、新しい企画が動き出すハブのような存在です。参加者同士が一気に加速するような体験が生まれます。「ここに来れば必ず誰かと何かが始まる」という空気をつくっていることです。
このことが、XUの最大の特徴「ビジネスコミュニティメディア」ということだと思っています。XUは、“何を起こすかを決める場所”であるということです。
──そうした場に人が集まることで、どんなコンテンツや価値が生まれるのでしょう?
今井:XUのコンテンツは、あらかじめ台本を作り込むようなタイプのものではありません。むしろ、対談を通じて、あるいはコミュニティを通じて、「現場で」偶然生まれた問いや、議論の流れ、誰かのひらめき、時にはぶつかり合いなど、予定調和ではない“リアルなプロセス”こそを大切にしています。
そのリアルさが行動につながったり、企業の新しい事業のヒントになったりします。だからこそ、現場で生まれた物語そのも...
国民が正月気分から抜け切ろうかというタイミングで突如として飛び込んできた、通常国会冒頭での衆院解散という情報。なぜ高市首相は「伝家の宝刀」を抜く決断を下したのでしょうか。今回のメルマガ『国家権力&メディア一刀両断』では元全国紙社会部記者の新 恭さんが、早期解散をめぐる政権中枢の動きと水面下の力学を解説。その上で、党利党略と自己都合が色濃くにじむ「サナエ流解散」の舞台裏と、政権が抱え込む不安定要因について考察しています。※本記事のタイトル・見出しはMAG2NEWS編集部によるものです/原題:サナエ流自己都合解散の舞台裏
今が国民の信を問うタイミングなのか。サナエ流自己都合解散の舞台裏
やっぱり、伝家の宝刀を抜く誘惑には勝てないのか。高市首相は通常国会の冒頭で「衆院解散」を断行するようだ。
読売新聞が1月9日深夜のオンライン版と翌日の朝刊一面で、こんなスクープ記事を掲載した。
高市首相(自民党総裁)は9日、23日召集が予定される通常国会の冒頭で衆院を解散する検討に入った。衆院選は2月上中旬に実施される公算が大きい。
首相の退陣と衆院の解散はメディアにとって超ド級の特ダネだ。「検討に入った」というのではいささか腰が引けているが、なにしろ扱いがデカい。
むろん、通常国会での冒頭解散説は昨年来、永田町でまことしやかに流れていた。その意味では“新味”のない情報ではある。解散時期の「検討」はず
...moreっとしてきたことだろう。
だが、永田町の観測筋は、1月23日の召集という日程が決まった段階で、解散は新年度予算の成立が見込まれる3月末か、通常国会の会期末という見方を強めていた。
そこにあえて読売は、「冒頭解散」の予測記事を放った。よほど確実な情報源でもなければ、できない芸当といえた。常識的には高市首相本人か、その意を受けた人物しかあるまい。なにしろ、昨年7月の参院選後、石破首相の退陣をめぐって大誤報を飛ばした同紙としては、同じ轍を踏むわけにはいかないのだ。
読売のスクープに対し、麻生副総裁、鈴木幹事長ら自民党幹部は「寝耳に水」と驚いて見せた。とぼけていたのかどうかはわからない。14日になって高市首相は鈴木幹事長や日本維新の会の吉村代表ら与党幹部と会談し、正式に「解散」の意向を伝える“儀式”をすませたが、自民党内には「準備が間に合わない」と反発する声も続出しているらしい。
自民党の萩生田光一幹事長代行は1月7日夜公開のインターネット番組で、解散時期についてこう語っていた。
「予算を成立させ、重要法案を執行し、通常国会を閉め、その後考えたらどうか」
「安定政権をつくるには連立拡大が必要だ。優先順位はこちらが先だ」
たしかに、物価高や経済政策など国民の気持ちに寄り添う政策を掲げてはいても、まだ「実績」に至っておらす、評価ができる段階ではない。だからいま「国民の信を問う」というのも、なんだかおかしい。新年度予算案を成立させ、満を持して「信を問う」のが王道であるには違いない。
読売の記事によると、昨年11月下旬、高市首相は「私が年明けに解散すると言ったら、どう思うか」と複数の自民党幹部に意見を求めていた。つまり、早期衆院解散はその時点で高市首相の頭にあったということだ。
首相に早期の解散総選挙を決断させた国内外の要因
昨年11月に自民が極秘に行った情勢調査では、いま総選挙をすれば自民だけで260議席を超え、単独過半数を奪回できるとの結果が出ていた。「高い支持率のうちに信を問うのが得策だ」。党内で主戦論が盛り上がった。
自民党の山田宏副幹事長は昨年12月9日公開の「Web Voice」で、こう語っている。
「年初に通常国会を召集したら即解散すべきだと考えています。衆参いずれも過半数割れしている現在の状況で通常国会に臨むのは、日本の政治にとって得策ではありません。選挙を通じて自民と維新という連立政権への支持を得ることができれば、政治を前に進めやすくなる」
山田氏は総裁選で推薦人になるなど、高市首相の同志ともいえる保守派の政治家だ。むろん、早期解散を勧めてきた一人である。
支援者たちの期待が高まる中、高市首相が大いに迷ったであろうことは想像に難くない。政策を重視する自分が、党利党略、自己都合そのものといえる「七条解散」を強行していいものかどうか。少なくとも1月23日に通常国会を召集する日程を決めた昨年12月25日の段階では、決心がつかないままだったはずである。1月23日からだと、新年度予算を3月末の年度内に成立させるためには総選挙を行う時間的ゆとりがないからだ。
年末年始、高市首相は公邸にこもった。「今が支持率のピークかもしれない」という状況は、不安をかきたてる。通常国会がはじまると、野党は待ってましたとばかり統一教会問題や維新の「国保逃れ」を追及して、連立政権に揺さぶりをかけるにちがいない。
外交面でのショックも大きい。トランプ大統領が「モンロー主義」ならぬ「ドンロー主義」と称し、ベネズエラで軍事作戦を強行して石油利権を中国から奪回。中国やロシアの支配が及ばぬよう、デンマーク自治領のグリーンランドにも「領有」の食指を伸ばして、西半球(南北アメリカなど)だけは他国に触らせない体制を確立しようとしている。
トランプ大統領は米中を「G2」と呼び、招待に応じて4月に中国訪問を予定していることから、「高市首相はハシゴを外されるのでは」と心配する声さえ出ている。中国は日本向けレアアース輸出制限をちらつかせるなど高市政権攻撃をエスカレートさせており、米中会談の前に高市首相が訪米しトランプ大統領とどのような話をするかが、外交上の勝負どころとなるだろう。
このように考えると、一刻も早く総選挙を行って政権の基盤を固めておくのが得策という高市首相の思惑が透けて見えてくる。
高市首相の決断の背景にあるもう一つの問題点は、日本維新の会との連立の不安定さだ。維新は閣僚を出さず、衆院議員定数削減という難題を連立の絶対条件として押しつけてきている。いつ連立から飛び出さないとも限らないのだ。
社会保障改革を謳う維新の兵庫県議らが、本来は国民健康保険に加入すべき立場でありながら、仕事の実態のない一般社団法人の理事に就いて、国保より負担の少ない健康保険に乗り換えていた実態も、国民の怒りを買っている。
読売記者に「解散の意向」をリークした人物の名
高市首相がもともと連立相手として望んでいたのは、国民民主党だ。「年収の壁」を178万円まで引き上げる国民民主の看板政策に合意し、新年度予算案の年度内成立に協力する約束までとりつけたのは、言うまでもなく自民・維新・国民の三党連立を実現するための布石であろう。
だが、全都道府県で候補者を擁立し「51議席」への倍増を目標とする国民民主は、容易に連立話に乗ってこない。連立に加われば、自民との候補者調整で擁立を断念せざるをえない選挙区も出てくる懸念があるからだ。むろん、支持母体である連合が反対している事情も大きい。
FNNプライムオンラインの報道によると、読売のスクープ記事が出る直前の1月9日午後、高市首相は赤坂の衆議院議員宿舎に入り、国民民主の玉木代表と会談したという。
玉木氏は「断じて会っていない」と言い、衆院解散については「経済後回し解散と言わざるを得ない。昨年12月の自民党との合意で、新年度予算案の年度内成立に協力するとしたが、前提が変ってくる」と強く批判した。
しかし、会談はあったのではないか、と筆者はにらんでいる。高市首相の目的は、再び連立入りを要請することだっただろう。自民・維新に国民民主が加われば、政権は安定する。あえて、当初予算の成立が遅れるリスクを冒してまで衆院を解散する必要はない。
玉木代表が首を縦に振らなかったため、高市首相は腹をくくったのではないか。解散総選挙に打って出て、自民単独過半数を狙うほかないと。だが、どうコトを運ぶか、高市首相にはノウハウがない。
ここで動いたのが安倍政権で首相秘書官をつとめ“影の総理”といわれた今井尚哉・内閣官房参与だといわれる。おそらく、高市首相から相談を受けた今井氏は知り合いの読売記者に「解散の意向」をリークし、記事による既成事実化をはかったのだろう。
すると、与野党の国会議員たちが慌てふためいてポスターの発注や事務所の確保に走り、他のメディアも読売に追随、総務省が各都道府県の選管に「衆院解散に伴う総選挙の執行について」と題した事務連絡をして、あっという間に日本列島は事実上の選挙モードに突入してしまった。
衆院選は1月27日公示、2月8日投開票になりそうだが、新年度予算の今年度内成立は難しく、暫定予算で対処することになってしまい...
介護の現場はいま、「安全」と「尊厳」のはざまで揺れています。メルマガ『デキる男は尻がイイ-河合薫の『社会の窓』』では、著者で健康社会学者である河合薫さんは、高齢者の生活をどこまで「自由」に委ね、どこから「管理」すべきなのかという介護の根源的な問いについて語っています。
自由か?管理か? 問われる介護の未来
日本経済新聞が主要109の自治体に実施した調査で、自治体の5割が介護施設で発生した事故報告書の分析をせず、再発防止に向けた体制が不十分なまま運営されていることが分かりました(日経新聞1月13日付朝刊)。
介護現場の事故は増加傾向で、2024年度までの3年間で、利用者が死亡した事故は計4844件に上り、死亡事故の原因では、食事中に物を喉に詰まらせるなどの誤嚥・窒息が全体の67.8%ともっとも多くなっていました。
一方、介護職員は、40年度に57万人分不足する見通しです。これまでも事故が起こるたびに現場の人手不足問題が指摘されてきました。今後はさらに事故のリスクが高まるかもしれません。
介護問題は本メルマガでも度々取り上げていますが、問題が多岐にわたる上に、家族によっても、施設によっても、事情が千差万別で、一筋縄ではいかないのが実情です。
例えば、住み慣れた自宅で最期まで過ごしたいという本人の願いを尊重したくても、夜間の見守りや医療的ケアが必要になれば、家族の生活が立ち行かなくなると
...moreいう現実的なジレンマに直面します。経済的な事情で低額な施設を希望しても空きがなく、かといって在宅で手厚いサービスを受けるには費用が嵩みすぎるといった、制度の狭間で身動きが取れなくなるケースが後を絶ちません。
そもそも高齢になれば、どこにいても事故のリスクは高まります。
その責任を誰が、どこまで負うべきなのか? という問いに、明確な答えを出すのは容易ではありません。
2013年に認知症で入院していた男性(95歳)が、車いすに乗って一人でトイレに行き転倒。その後寝たきりの状態となったことに対し、親族が病院側を訴え、約2770万円の損害賠償を命じられる判決がありました。
裁判官は「男性は歩く際にふらつきが見られ、転倒する危険性は予測できた。
速やかに介助できるよう見守る義務を怠った」と判決理由を述べましたが、介護現場で働く人たちは戸惑います。「現場はいったいどこまで責任を負えばいいの?」と。
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介護現場は、自由か?管理か? という問いに長年悩まされてきました。
「自宅にいる時と同じような暮らしをさせてあげたい」なら自由。
「ケガをしないようにしてあげたい」なら管理です。
人生の終のすみかで、管理されるだけの生活を「私」は幸せと思えるのか? 私には・・・わかりません。
一つだけ明らかな事実があるとすれば、誰もが老いるという現実です。
「老いる」とは、当たり前にできていたことが一つ一つできなくなること。他者のサポートに頼ることでもあります。
そして、75歳以上の後期高齢者人口の増加がピークに達するのは、2070年頃。
総人口の38.7%に達すると予測され、国民の約2.6人に1人が65歳以上です。
2024年は、1人の高齢者を2.0人の生産年齢人口で支えていますが、2070年には、1.3人で支える状況になると見込まれているのです。
2070年は、今年生まれた子供が44歳になる年です。
いったいその頃、介護はどういう形になっているのか?
ロボットに介護されるようになるのか?
高齢者の体内にチップが埋め込まれて、転倒やら徘徊をすると、介護警察なるものが駆けつけるようになるのか?
はたして「私」はどういう介護を求めるのか?
人生最終章の生き方について、一人一人が想いを巡らせなくてはならない時代に突入したように思えてなりません。
みなさんのご意見お聞かせください。
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MAG2 NEWS
国際法違反が指摘される、アメリカによるベネズエラ侵攻。しかし先進各国の首脳は、トランプ大統領の軍事行動に対して正面切って非難できない状況が続いています。今回のメルマガ『高野孟のTHE JOURNAL』ではジャーナリストの高野孟さんが、「自分が同じ立場に置かれたらどう思うのか」という想像力の欠如こそが、トランプ氏の暴走と国際秩序の崩壊を招いていると厳しく批判。その上で、米国内外から「トランプ包囲網」を作り上げていくことこそが肝要との見解を記しています。※本記事のタイトルはMAG2NEWS編集部によるものです/メルマガ原題:トランプも高市も「自分がマドゥロと同じ目に遭ったらどう思うのか」の想像力が欠けているのでは
プロフィール:高野孟(たかの・はじめ)
トランプ「どうしてみんな俺を褒めないんだ」の噴飯
加えて、トランプには「自己愛性パーソナリティ障害」とも言うべき気質がある。ベネズエラ侵攻から4日経った1月7日、トランプは執務室に多くの記者を迎え入れ、2時間にも及ぶ質疑応答を行った。これに参加したNYタイムズのホワイトハウス担当記者ケイティー・ロジャースは、同紙10日付に載せた報告をこう書き出している。
▼トランプ大統領はクレーマー・モード〔文句ばかりつける人のような風情〕で、それで我々は気づいたのだが、彼はこれまでずっと、ニュース・メディアによって、ノルウェーのノーベル賞
...more委員会によって、ニューヨークの〔マムダニ〕市長によって、民主党の幹部や若干の共和党員によって、自分が尊敬をもって扱われてこなかったと感じているのだ。
▼トランプは、彼を尊敬してしかるべき人たちからちゃんとした扱いを受けていないという、深く、長期にわたる不満感を抱いている。積極的な承認を得たいという衝動は、彼の大統領としての執務ぶりのあらゆる部分を形成してきたし、このインタビューのほぼあらゆる場面にも示されていた。
▼彼は、マムダニNY市長に腹が立っていると言ったが、それは同市長が最近、ベネズエラの指導者マドゥロを逮捕したのは「体制変更を目指すもの」であり「連邦法および国際法に違反するもの」だと語ったからだ。マムダニが昨年11月にホワイトハウスの執務室を訪問した際には、若くてカリスマ性のある政治的逸材に出会って興奮しているようにも見えたが、数週間後にはマムダニが全てを台無しにしたと失望に陥った。
▼ノーベル賞を貰えないでいることへの不満は長く続いていて、この日も「私は8つの戦争を終わらせてきたというのにノーベル賞を貰っていない。オバマが貰ったのはいささかビックリだよ。彼自身もなぜ貰えたのかわかっていないんじゃないか」と述べた……。
「自己愛性パーソナリティ障害」の原因については諸説があり、ネット上で見ると例えば「養育者が過度に批判的であったり、過度に賞賛したり甘やかしたりし て……子どもの安定した自己感覚の発達を妨げてしまった」場合とか、別の言い方では「幼少期の子どもの承認欲求を親が肯定し、共感することで正常な自己愛が形成されるが、親が子どもへの共感を示さないと、自己愛が育ちにくくなる。自己愛が成熟していないと、他人からの賞賛や注目を集めて自己愛を満たそうとするが、それで自己愛が成熟することはない」とされる。
過剰なまでの賞賛を受けないと気が済まず、それが途切れるとすぐに自尊心が壊れてしまうので、他の人から批判されたり失敗を指摘されたりすることに敏感。そのため、自尊心を防衛するため引きこもることもあるが、逆に激しく怒ったり荒々しく反撃したりすることもある。対ベネズエラ作戦の発動はこの「荒々しい反撃」の反応タイプの一種なのだろう。
このような精神がどのようにして形成されたのかを、幼児期まで遡って解明することは意味がない。若い頃ならば明らかな精神障害として医師の治療を受けることも出来たかもしれないが、79歳になった今ではその障害は気質そのものとなっていて、変えることなど出来るはずもない。
米国民と全世界の人民はあと3年間、このままのトランプを何とか真綿で包むようにしてこれ以上の暴発を起こさないよう「要介護」3~4レベルの面倒見を覚悟しなければならない。
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中間選挙で勝ちたいがためにジタバタを続けるトランプ
トランプがこのようにジタバタするのも、秋に迫った中間選挙で勝ちたいがためだが、私の予感では、彼がジタバタすればするほど米国民は流石に目が覚めて、厳しい審判を下すのではないか。その結果次第では、トランプは意外に早くレイムダック状態に入り、米国と世界に迷惑を及ぼすことが少なくなるかもしれない。
しかしそれはあくまで希望的観測にすぎず、本筋はあくまで米国内外から世迷い老人包囲網を作り上げていくことである。
(メルマガ『高野孟のTHE JOURNAL』2026年1月5日号より一部抜粋・文中敬称略。ご興味をお持ちの方はご登録の上お楽しみください。初月無料です)
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