政務三役の相次ぐ辞任が決定打となり、過去最低を記録した岸田政権の支持率。もはや風前の灯火と言っても過言ではない状況に追い詰められていますが、今後「奇跡の政権浮揚」はありうるのでしょうか。今回のメルマガ『ジャーナリスト伊東 森の新しい社会をデザインするニュースレター(有料版)』では伊藤さんが、岸田人事の「不適材不適所」ぶりを改めて紹介。さらに永田町で囁かれ始めた「岸田首相退陣」のXデーを明かしています。
プロフィール:伊東 森(いとう・しん) ジャーナリスト。物書き歴11年。精神疾患歴23年。「新しい社会をデザインする」をテーマに情報発信。1984年1月28日生まれ。幼少期を福岡県三潴郡大木町で過ごす。小学校時代から、福岡県大川市に居住。高校時代から、福岡市へ転居。高校時代から、うつ病を発症。うつ病のなか、高校、予備校を経て東洋大学社会学部社会学科へ2006年に入学。2010年卒業。その後、病気療養をしつつ、様々なWEB記事を執筆。大学時代の専攻は、メディア学、スポーツ社会学。2021年より、ジャーナリストとして本格的に活動。
岸田内閣、「辞任ドミノ」続く 「不適材不適所」 来年1月21日、ささやかれる「首相退陣」説
岸田文雄首相は、13日、過去の税金滞納を認めた神田憲次財務副大臣(60)=衆院愛知5区=を事実上更迭した。
神田氏は、9日の参院財務金融委員会で、税理士資格を持ちながら
...more、2013年から2022年にかけ固定資産税を滞納し、4回にわたり差し押さえを受けていたことを認める。
神田氏をめぐっては、「週刊文春」により、代表取締役を務める会社保有の土地・建物の固定資産税を過去に滞納した経緯が報道され、岸田首相は、神田氏が国民に納税を収める立場であることから、国会審議への影響は避けられないと判断。辞表を提出させ、持ち回り閣議で受理した。
これにより、9月の内閣改造後、政務三役の辞任は3人目。野党は、今後も首相の任命責任を追及するだろう。
政府は、後任に自民党の赤沢亮正政調会長代理(62)を充てる。赤沢氏は、衆院鳥取2区選出で当選6回、無派閥。
首相は、神田氏の辞任に対し、官邸で記者団に、
「任命責任は重く受け止める。政府一丸となって職務に当たり、国民の信頼を回復していく」(*1)
とし、着任後、2カ月ほどで辞任に至ったことについては、
「国民におわびしなければならない」(*2)
と述べた。
文春報道後、自民党内からも、月内成立を目指す2023年度補正予算案の審議に影響するとし、神田氏の早期辞任論が浮上していた。神田氏は衆院当選4回。自民党安倍派に所属し、内閣政務官などを歴任。
9月に発足した第2次岸田改造内閣では、10月26日に山田太郎文部科学政務官が女性問題で辞任。同31日には、東京都江東区長選に絡む公選法違反で柿沢末途法務副大臣が辞任するなど、「辞任ドミノ」が続く。
11月に入り実施された共同通信の世論調査では内閣支持率は政権発足後、初めての30%を割り込んだ。岸田内閣をめぐっては、今後も「文春砲」が続くと予想され、辞任ドミノは終わる気配はない。
目次
岸田内閣のこれまでの主な辞任と理由(肩書は当時)
不適材不適所
内閣支持率低迷、目立つ若者からの低支持率
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岸田内閣のこれまでの主な辞任と理由(肩書は当時)
2022年10月24日 山際大志郎経済再生担当相 旧統一教会(世界平和統一家庭連合)との接点が相次ぎ発覚
11月11日 葉梨康弘法相 死刑執行をめぐる発言
11月21日 寺田稔総務相 政治資金問題
12月27日 秋葉賢也復興相 政治資金問題や公選法違反疑惑
杉田水脈総務政務官 性的少数者をめぐる不適切な表現
2023年6月1日 岸田翔太郎首相政務官 首相公邸での忘年会写真をめぐる報道
8月4日 秋本真利外務政務官 洋上風力発電事業をめぐる汚職事件
10月26日 山田太郎文部科学政務官 女性問題
10月31日 柿沢末途法務副大臣 公選法違反事件に関与した疑惑が浮上
11月13日 神田憲次財務副大臣 過去に税金滞納 (*3)
不適材不適所
神田財務副大臣の事実上の更迭により、ここ3週間足らずで副大臣と政務官3人が次々に辞任するという岸田内閣の“不適材不適所”ぶりが浮き彫りに。なぜこのような事態に陥ってしまったのか。
9月の内閣改造で副大臣と政務官54人のうち、女性はゼロ。この時点でも物議を醸していたが、首相は「適材適所」と繰り返すばかり。しかしその実態は、
「派閥均衡を重視し『パズルのピースをはめていく』」(閣僚経験者)(*4)
人選であり、ほころびが露呈するのは時間の問題であった。
しかしながら、税務を所管するという財務副大臣による常習的な税金滞納という、前代未聞(*5)の不祥事であることは事実。
問題の発覚後、与党内でも、
「立場上、一番やってはいけない。道義的に持たない」(自民中堅)(*6)
とすぐさま辞任論が噴出した。ただ、関係者によると、それでも神田氏周辺は、
「滞納分は納めている。辞任はしない」(*7)
と強弁。首相も、
「まずは自分で説明しろ」(*8)
と本人の釈明を優先させ、
「法に触れていない」(首相周辺)(*9)
と官邸内の動きが鈍かった。しかし、そのことが結果的に傷口を広げる。昨年も、旧統一教会(世界平和統一家庭連合)との接点などの問題で、閣僚4人が辞任。
再び、“辞任ドミノ”が続き、自民党内は、
「危機管理がひどすぎる」(中堅)(*10)
との声や、
「税金滞納なんて調べればすぐに分かるはず」(*11)
との呆れた声が。
しかし、永田町内では、
「また別の政務三役が狙われている」(*12)
との怪情報が流れているという。
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内閣支持率低迷、目立つ若者からの低支持率
財務副大臣を辞任した神田氏に対しては、財務省職員から、
「税の大切さを訴えても説得力がなくなる」 「税制を所管する官庁して、あってはならないこと」(*13)
という批判の声が上がっている。
財務省にとっては、税制の企画立案は予算編成と並ぶ、主要な業務。とくに、現在は、岸田政権は、防衛増税などの議論を進めたイメージを払拭するかのように首相が所得税と住民税の減税策を表明しており、俄然、税への注目が集まっている。
他方で、岸田内閣の支持率は低迷。最新の読売新聞社の全国世論調査(2023年10月)によると、政権発足以来の支持率は34%と、過去最低に落ち込む。とくに注目すべきは若者からの支持率の低さだ。
政権が始まった当初は、全体の支持率は56%だったが、年代別では18~39歳の若年層からの支持率を62%と最も集めていた。
しかし、昨年の7月に行われた調査では支持層が変化。中年層(40~59歳)は9ポイント増の63%、高齢層(60歳以上)は21ポイント増の74%に伸びる。その一方で、若者の支持率は8ポイント減の54%に低下。
今年10月の調査では、全体の支持率は34%となった。若年層の支持率は26%、中年層が29%、高齢層が43%と、全体的に支持率は減少しているものの、依然として高齢層が支持率を支える状況が続く(*14)。
その要因に関しては、早稲田大学の遠藤晶久教授(投票行動論)が読売新聞に対し、
「安倍政権は『改革的』というイメージが若者の中にあったが、岸田政権にはそのようなイメージがもたれておらず、『自民は支持しないけど安倍さんは支持』といったパターンが減ったのではないか」(*15)
と分析している。
永田町では早くも、来年1月21日、「岸田首相退陣」説がささやかれ始めている(*16)状態だ。
■引用・参考文献
(*1)「政務三役3人目辞任」西日本新聞 2023年11月14日付朝刊 1項
(*2)西日本新聞 2023年11月14日
(*3)西日本新聞 2023年11月14日 1項
(*4)「『不適材不適所』露呈」西日本新聞 2023年11月14日付朝刊 3項
(*5)西日本新聞 2023年11月14日
(*6)西日本新聞 2023年11月14日 3項
(*7)西日本新聞 2023年11月14日 3項
(*8)西日本新聞 2023年11月14日 3項
(*9)西日本新聞 2023年11月14日 3項
(*10)西日本新聞 2023年11月14日 3項
(*11)西日本新聞 2023年11月14日 3項
(*12)西日本新聞 2023年11月14日 3項
(*13)「『所管するのに』」西日本新聞 2023年11月14日付朝刊 3項
(*1...
上新電機の2023年4ー9月期(中間期)におけるEC売上高は、前年同期比11.7%減の314億6300万円だった。全社売上高における、ECの売り上げ構成比は、前年同期比2.1ポイント減の15.9%だった。 同社の中間期におけるEC売上高は、・・・
あらゆる業界で深刻化が進む人材不足。それは高齢者介護の分野においても例外ではなく、むしろその切実度は他業種を遥かに上回っていると言っても過言ではありません。そんな現状を取り上げているのは、健康社会学者の河合薫さん。河合さんは自身のメルマガ『デキる男は尻がイイ-河合薫の『社会の窓』』で今回、介護の現場で起きていることを紹介するとともに、問題解決のためにまず国がなすべきことを提示しています。
プロフィール:河合薫(かわい・かおる) 健康社会学者(Ph.D.,保健学)、気象予報士。東京大学大学院医学系研究科博士課程修了(Ph.D)。ANA国際線CAを経たのち、気象予報士として「ニュースステーション」などに出演。2007年に博士号(Ph.D)取得後は、産業ストレスを専門に調査研究を進めている。主な著書に、同メルマガの連載を元にした『他人をバカにしたがる男たち』(日経プレミアムシリーズ)など多数。
「人の顔」を忘れた介護政策
厚労省が先日公表した「2022年度介護事業経営実態調査」で、特別養護老人ホームの収支差率が、前年度比2.2ポイント減のマイナス1%、老人保健施設は2.6ポイント減のマイナス1.1%で、いずれも01年度の調査開始から初めてマイナスとなったことがわかりました。「人件費や光熱水費などの費用が増えたことが影響し、経営が悪化している」と分析されていましたが、今後は倒産を余儀なくさ
...moreれる事業者が増えてしまうかもしれません。
すでにその予兆は出ています。22年度の倒産件数は過去最多の143件を記録し、介護の最後の砦ともいわれる「訪問介護事業所」では、220件がこの5年間で「人手不足」などを理由に休止、あるいは廃止。介護を受けたくても受けられないといった深刻な問題に直面するのも、時間の問題といえそうです。
リクルートワークス研究所の推計では、介護職員や訪問介護ヘルパーは、30年には21万人が不足し、40年にはその倍以上の58万人が不足するとされています。一方で、総人口に占める高齢者の割合は、現在の28.1%から31.1%、40年には35%に増えてしまうのです。75歳以上高齢者に絞っても、全人口に占める割合は、2055年には25%を超える見込みです。
これって…すごいことですよ。私も25%の一人ですし…、おそらくきっと。
介護問題はこれまで何度も取り上げてきましたが、介護現場はすでに崩壊の危機に瀕しているのに、国は…どうするつもりなんでしょう。
そもそも日本が「最後は家族で!」といった日本型福祉政策に舵をきったのは1970年代です。50年以上も前です。その間、家族のカタチは変わり、高齢者は増え続けているのに、50年前の「家族政策」をとり続けている。しかも、「カタチが変わった家族」の穴を埋めてくれる「訪問介護ヘルパー」さんの待遇が悪い、悪すぎます。
そのきっかけが、2012年の介護保険制度の改定です。
訪問する時間を短縮することで、より多くの人のサービスをするという国の方針により、「生活援助」のサービスは1時間から45分に短縮され「身体介護」の時間区分に「20分未満」が新設されました。その結果、高齢者に満足なサービスもできず、一方で、ヘルパーさんの移動時間が増えてしまったのです。
この頃から訪問介護ヘルパーの人材不足は深刻化し、13年度の有効求人倍率3.29倍から、16年度には9.3倍に増え、22年度には15.53倍に跳ね上がりました。施設で働く介護職員の有効求人倍率が3.79倍ですから、その深刻さがおわかりいただけるのではないでしょうか。
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19年11月に、現役の介護ヘルパーが国を相手どり訴えを起こすという前代未聞の出来事がおこりましたが、裁判で明かされた原告の訪問介護ヘルパーさんたちのスケジュールは、信じがたいほど過酷でした。
朝8時30分に事務所に出勤し、5人の利用者の家を訪問し、18時40分に事務所に戻る。そこで「申し送りや翌日のスケジュール」を確認し、帰宅するのは19時。1日の給与は7,075円です。
訪問介護ヘルパーの場合(正規以外)、待機時間に対する賃金は基本的に支払われません。訪問先の移動費や事業所に連絡する電話代もすべて自分持ち、予定がキャンセルされれば事業所に支払われる介護報酬はなく、ヘルパーは無給となってしまいます。
原告の女性たちは第一回の口頭弁論で、「時間に追われ、利用者と話す十分な時間もない。やりがいも削られ、ケアの質も担保できず我慢も限界」と、訴えた理由を話していました。…まるで介護ロボットのような扱いです。
そして、それは利用者さんにとっても「まるでお人形さんのように扱われてる」と感じさせてしまうと思うのです。
多くの利用者は訪問介護ヘルパーさんとしか社会との接点のない上に、ヘルパーさんがいないと生活はできません。誰とも会わないないから会話もない。これが超高齢社会先進国日本が目指す未来なのでしょうか。
介護問題はあまりに複雑すぎて、今ここで「こうすべきだ!」と断言できるほど、簡単ではありません。しかし、まずは介護ヘルパーさんたちの働く環境を整備し、報酬を一般の企業平均まであげる、その上で「誰もが介護できるスキル」を身に付けられる教育をし、地域の人も巻き込んだ介護政策をつくるほかないと思います。
誰もが老いるし、老いるとは昨日までできていたことが、一つ一つできなくなっていくことだという当たり前の現実が、1日でも早く社会全体に広がって欲しいです。
みなさまのご意見・変革、教えてください。
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