今回は、中国WeBankのブロックチェーン活用について、一般社団法人カーボンニュートラル機構理事を務め、カーボンニュートラル関連のコンサルティングを行う中島 翔 氏(Twitter : @sweetstrader3 / @fukuokasho12))に解説していただきました。
目次
WeBankとは
1-1. WeBankの概要
1-2. WeBankが提供しているサービス
WeBankとブロックチェーン
2-1. 2年連続「Forbes Blockchain 50」に選出
2-2. ブロックチェーンプラットフォーム「FISCO BCOS」
2-3. クレジットスコアの管理
ブロックチェーンを用いたESGインフラストラクチャの構築とは
3-1. プロジェクトの概要
3-2. WeBankのESGへの取り組み
プロジェクトの今後の展開
4-1. データ管理とプライバシー保護の確立
4-2. 信頼性の信頼性の高いガバナンスの構築
4-3. ESG関連ビジネスの実装促進
まとめ
「ESG」という視点が世界的に重要視される中、中国の「WeBank(微衆銀行)」がブロックチェーン技術を活用して新たなESGインフラストラクチャの構築に挑戦しています。同社の分散型ビジネス技術開発部副部長、ファン・ルイビン氏によると、このプロジェクトはESGの発展を支える堅牢な技術基盤を築くことを目指しており
...more 、多くの関心を呼んでいます。
本記事では、WeBankが推進するこの革新的なブロックチェーンを用いたESGインフラストラクチャについて、その概要やプロジェクト内容を分かりやすくご紹介します。
1. WeBankとは
1-1. WeBankの概要
「WeBank(微衆銀行)」は、2014年12月に設立された中国初のデジタル銀行です。中国のインターネット企業「テンセント」が主要株主で、アリババ系列の「網商銀行(MYBank)」などと共に、深圳を拠点に設立されました。
WeBankは、インターネットで蓄積された膨大なデータとテクノロジーを活用し、従来は金融サービスの対象になりにくかった中小企業や個人消費者をクライアントとし、金融機関と顧客をシームレスにつなぐことを目指しています。デジタル銀行であるWeBankは、実店舗や支店の営業拠点は持っておらず、すべての銀行業務をオンラインで行っています。そのため、ユーザーはスマートフォンやパソコンからアカウントを作成し、いつでもどこでもオンラインで銀行業務を利用できます。
また、後述しますが、WeBankはシステムにブロックチェーン技術を導入し、データの安全性とプライバシーを守っています。WeBankは最新技術を活用し、信頼性と利便性の高いサービスを提供。設立から5年で1億7,000万人ものクライアントを獲得し、中国国内で急成長している企業です。
1-2. WeBankが提供しているサービス
WeBankが提供する主なサービスは以下の通りです。
マイクロローン
WeBankは、簡単な審査プロセスと低金利で個人向けマイクロローンを提供。緊急で資金が必要な人に便益をもたらし、最大50,000元まで借りられます。
オンライン預金
WeBankはデジタル銀行なので、口座開設から預金、引き出し、送金まで全てオンラインで完結。日常取引口座と高利回り口座の2つのオプションがあり、高利回り口座では一定期間預金することで高い金利が得られます。
クレジットカード
WeBankはVISAブランドのクレジットカードを発行。キャッシュバックやポイント還元などの特典があり、オンラインで申請できるため審査がスピーディです。
投資商品
WeBankは株式、債券、ファンドなどの投資商品を提供。取引プラットフォームには市場情報や分析、取引システムが揃っており、投資に興味のある人にとって利便性が高いです。
保険
WeBankは健康保険、自動車保険、旅行保険などの保険商品を提供。保険の申請もオンラインで完結し、保険金の請求もスムーズに行えます。
WeBankは、クライアントのニーズに合った多様な商品を展開し、利便性の高さからユーザー数を増やしています。
商品展開を行っており、その利便性の高さから日々ユーザー数を拡大しています。
2. WeBankとブロックチェーン
WeBankは、機械学習、クラウド、ブロックチェーンといった先端技術を活用し、非常に高いクライアント体験を提供しています。WeBankは2020年時点でブロックチェーン領域の特許取得数で世界第3位を誇り、積極的なプロジェクト開発を進めています。
以下では、WeBankがこれまで行ってきたブロックチェーン技術を用いたプロジェクトについて詳しく紹介していきます。
2-1. 2年連続「Forbes Blockchain 50」に選出
WeBankは2022年と2023年の2年連続で「Forbes Blockchain 50」に選出されています。
「Forbes Blockchain 50」は、アメリカの経済誌「Forbes」が発表する、ブロックチェーン技術を活用している企業50社のリストです。このリストでは分散型台帳技術を主導し、世界のブロックチェーン市場の影響力拡大を推進している企業が選出されます。リストには金融、製造、物流、テクノロジーなど多岐にわたる業界の企業が含まれており、それぞれ独自のブロックチェーン技術を開発し、ビジネスに導入して成長を遂げています。
WeBankは、権威あるリストに2年連続で掲載される実績を持ち、中国だけでなく世界でもブロックチェーン業界をリードする存在となっています。
2-2. ブロックチェーンプラットフォーム「FISCO BCOS」
WeBankでは、ブロックチェーンプラットフォーム「FISCO BCOS」の開発を行っています。
FISCO BCOSは、多くの分散ノードで構成されるプライベートブロックチェーンを提供し、高い拡張性と利便性を実現しています。また、スマートコントラクトを実行できる仕組みがあり、企業や組織は自分たちのビジネスに合ったアプリケーションを開発できます。FISCO BCOSは、WeBankだけでなく、JD Finance、Huawei、ZTE、テンセントなど、合計100以上の企業が開発に関与しています。金融業界を中心に、IoTやサプライチェーン管理などの分野でもFISCO BCOSが採用されています。例えば、商品の流通履歴をブロックチェーン上に記録し、偽物や不正な商品の流通を防止することができます。
このように、FISCO BCOSは分散型アプリケーションを構築する企業や組織にとって利便性が高く、今後さらなる発展が期待されています。
2-3. クレジットスコアの管理
WeBankは、ブロックチェーン技術を活用し、クライアントのクレジットスコア管理を支援しています。
このプロジェクトでは、WeBankがクライアントの信用情報を収集し、ブロックチェーン上に記録することで、大量のデータを安全に保管しています。さらに、保管された情報を信用情報機関や金融機関に提供することで、ローンなどの利用時に迅速な対応が可能となっています。
3. ブロックチェーンを用いたESGインフラストラクチャの構築とは
3-1. プロジェクトの概要
2022年4月、WeBankの副社長兼最高情報責任者であるヘンリー・マー氏は、ブロックチェーン技術がESG分野で活用できる可能性について言及しました。
ESGは、「環境(Environment)」、「社会(Social)」、および「企業統治(Governance)」の頭文字をとった言葉で、企業の持続可能性を示す指標です。気候変動や社会課題が世界的に懸念される中、ESGは企業の長期的成長に重要な要素となっています。
WeBankは、ブロックチェーン技術を活用し、信頼性のあるガバナンスや分散型デジタルIDなどを導入したESGアプリケーションのフレームワークを開発しています。これにより、企業がESG関連の課題を迅速かつ効率的に解決できることを目指しています。ヘンリー・マー氏は、今後のブロックチェーンの使命として、公正で持続可能な発展を促すESGに特化した信頼できるインフラストラクチャの構築を挙げています。WeBankはこれまでの知見を活かし、この目標を実現していく予定です。
3-2. WeBankのESGへの取り組み
WeBankは元々ESG分野への取り組みが積極的で、社内に「ESG委員会」を設置し、銀行全体の戦略レベルでESGガバナンス機能を強化するなど、ESGの管理システム...
Googleは、同社のサイト収益化ツールを利用する欧州拠点のパブリッシャーを対象に新方針を策定し、要件を提示した。新方針によるとパブリッシャーは、ユーザーの同意取得にあたり、業界標準のプライバシー保護プロトコル「透明性と同意のフレームワーク」に準拠した同意管理プラットフォームのみを利用するよう求められるという。
The post Google 、パブリッシャーに特定の同意管理プラットフォーム利用を要求 appeared first on DIGIDAY[日本版].
ドイツ銀行元CEOのJosef Ackermann(ヨーゼフ・アッカーマン)博士が率いた取締役会には、アイルランド元首相のEnda Kenny(エンダ・ケニー)氏をはじめ、米国元大統領2人の顧問を務めるMichael Warren(マイケル・ウォーレン)氏らも出席しました。 ニューヨーク州ニューヨーク市, 2023年5月25日 /PRNewswire/ -- Internet of LifeTMを構築し、 現実の力でインターネットの第3世代を形成していくという使命に基づき、 TMRW Foundationは本日その諮問委員会の設立を発表しました。この会社の中核的な信念である、リアルタイムでの一体感や真のデジタル・アイデンティティ、そして人間性に特化したソリューションがもたらす力こそが、Internet of LifeTMを生み出しました。この試みは、2Dのインターネットから、ウェブにおける次世代の3D接続空間への今後の移行を図ることを目的としています。TMRW Foundationは、包括的でアクセスしやすく、人間性に溢れ、エンターテイメント性の高いWeb 3.0のテクノロジー開発に重点を置いています。 諮問委員会のおかげで、Web3.0のビジョンは国際的に認知されている5人のリーダー達から支援を受けることになりました。彼らは最高レベルの国際商取引や政府、およびWeb3.
...more 0のテクノロジーなどの多様な経験を持つ方々です。 彼らのそれぞれの経験と洞察により、TMRW Foundationのビジョンを追求しながら開発されたテクノロジーは、世界中の人類が最も待ち望んでいるニーズに確実に応えることでしょう。 TMRW Foundationにおける諮問委員会の創設メンバーには以下の方々が含まれます。 * Josef Ackermann博士、ドイツ銀行元CEO兼会長 * Enda Kenny氏、アイルランド元首相 * Chris Thomas氏、Integrated Insights Limited会長兼創設者 * Michael Warren氏、Dentons Global Advisorsの一員であるAlbright Stonebridge Groupのマネージング・ディレクター * Song K. Jung(ソング K. ジュン)氏、世界最大級のIntellectual Property and Technologyグループの創設会長 TMRW Foundationが政府、教育、金融、法律、そしてエンターテインメントなどの世界的なセクターにわたって革新的なサービスを立ち上げ、拡大し続ける中、諮問委員会はリーダーシップと監督、コーポレートガバナンス、そして戦略的助言を提供していく方針です。(2022年度のCiti GPSによると)、メタバース関連の経済における市場総額は、世界中で50億人のユーザーを抱えることで、2030年までに8兆~13兆ドルまで成長すると予測されています。TMRW Foundationは、Web 2.0で使用されている相互リンクされたページで成り立っているインターネットから、Web3.0による3Dの接続空間への移行を導いていく上で、完璧な立場にいます。Web3.0は、私達が人とコミュニケーションをとったり、仕事をしたり、共同作業を行う方法を永遠に変えてくれるでしょう。 300件以上の特許を取得しているTMRW Foundationは、彼らの目標を達成するため、独自のテクノロジーであるRealityOSTM を開発しました。RealityOSTMは、現実的な3Dデジタル通信のプラットフォームであるROOMを含む、Internet of LifeTMの環境を強化するものです。3Dシミュレーションや仮想現実、拡張現実、そして人工知能 (AI) に関する多数の特許を取得しているTMRW Foundationは、さまざまな業界でWeb 3.0の機能を強化することを目指しています。 「このような影響力のある業界リーダー達によって諮問委員会の任命を受けたことは、私たちのビジョンを強く反映しています」とTMRW Foundationの創設者兼最高経営責任者(CEO)であり、世界的に認められたゲーム業界のパイオニアであるCevat Yerli氏は述べています。「私たちは、世界中の社会が今日直面している最大の課題のいくつかに対して、Web3.0に焦点を当てたソリューションの作成と提供を支援するために、才能があり経験も豊富な様々なリーダーを結集しています。当社の戦略的重点を彼らが支持してくださったことを光栄に思いますし、また当社の製品、アイデア、コンセプトをさらに世界規模で展開していく上で、彼ら全員としっかり協力していきたいと思っています」 TMRW Foundationの諮問委員長であり、ドイツ銀行の前CEO兼会長であるJosef Ackermann博士は、彼の任命について次のように言及しています。「TMRW Foundationは、近年の技術的進歩が露呈した不平等に対処し、誰もが利用できるテクノロジー製品とサービスを提供することに明確に重点を置いている点で、他の組織とは一線を画しています。Web3.0が普及する未来に向けて社会を準備するには、やらなければならない重要な作業が多々ありますが、それらに対処するチームの取り組みをサポートすることを楽しみにしています」 アイルランドの元首相、Enda Kenny氏は次のように付け加えました。「社会にとって主要なサービスを提供するために民間業者と政府の協力がこれまで以上に重要になっているこの時期に、諮問委員会に参加できることを光栄に思います。私はTMRW Foundationの使命を非常に信頼しており、彼らのビジネス戦略の目標を支援することを楽しみにしています」 Integrated Insightsの会長兼創設者であるChris Thomas氏は次のように述べています。「今日のテクノロジービジネスは、驚異的にダイナミックで過渡期にいます。世界中でコミュニケーションをとる方法に革命をもたらしてくれる、TMRW Foundationの指導に私達が携わることができ、非常に興奮しています」 Dentons Global Advisorsの一員である、Albright Stonebridge Groupのマネージング・ディレクターであるMichael Warren氏は次のように付け加えました。「過去数年間で、政府と民間団体によるデジタル競争を完全に変革させるような開発が非常に多く行われてきました。このTMRW Foundationでは、Web3.0 テクノロジーが人々の生活にどのような影響を与えるかをこれから定義しようとしています」 続いてSong K. Jung氏は次のように言及しました。「特許法を長年取り扱ってきた私の経験をこのエキサイティングな事業に活かせることを嬉しく思います。目まぐるしく進化し、テクノロジー主導である今の世界では、知的財産の保護がこれまで以上に重要になっています。これをきちんと認識し、イノベーションに専念するこのチームの一員になれることを光栄に思います。TMRW Foundationの3Dシミュレーションや仮想現実と拡張現実、そしてAIを導入した製品のポートフォリオは実に感動に値します。私はこれから是非ともこの貴重な知的財産の保護と収益化に貢献したいと考えています」 TMRW Foundationの詳細は tmrw.comよりご覧いただけます。 編集者の方々へCevat Yerli氏はインタビューや解説の依頼を受け付けており、特にインターネットとコミュニケーションの将来についてや、安全で包括的なデジタル環境の構築に関するトピックについてお話しすることができます。 インタビューのご依頼やメディア関連のお問い合わせは以下の連絡先までご連絡ください。[Olivera Radic, olivera.radic@tmrw.com ] TMRW FoundationについてCrytekの元CEOであるCevat Yerli氏によって設立されたTMRW Foundationは、ゲーミフィケーションや都市化、そしてデジタル化を組み合わせた製品に焦点を当てています。それらは3Dシミュレーションや仮想現実、拡張現実、そしてAIを導入した製品の先進的なポートフォリオであり、そのポートフォリオには300件以上の特許が含まれています。 TMRW Foundationの中核となる知的財産は、Internet O...
バヌアツ、ポートビラ、2023年5月23日 /PRNewswire/ -- マルチアセットブローカーのヴァンテージ(Vantage) (または「ヴァンテージ・マーケッツ」)は、同社のパートナーシッププログラムが中南米、中東・北アフリカ、世界各地で認められたことを発表しました。 ヴァンテージ、パートナーシップ・プログラムで最高の栄誉を獲得 ヴァンテージはインターナショナル・ビジネス・マガジン賞2023(International Business Magazine Awards 2023)において、「ベスト紹介ブローカープログラム中東・北アフリカ2023(Best Introducing Broker Program MENA 2023)」と「ベスト・アフィリエイト・プログラム中南米2023(Best Affiliate Program LATAM 2023)」を受賞しました。 グローバルでは、グローバル・ブランズ・マガジン(Global Brands Magazine)の「ベストForexアフィリエイトプログラム、グローバル2023(Best Forex Affiliate Program, Global 2023)」と「ベスト・アフィリエイト・プログラム、グローバル2023(Best Affiliate Program, Global 2023)」を受賞しています。 ヴァンテージ
...more は長年にわたって盛んなパートナーシップコミュニティを構築し、全世界で2万人以上のアクティブなアフィリエイトと紹介ブローカー(IB)を擁し、業界で最も柔軟で高いコミッションとリベートシステムがあります。 CellXpertとNext-Gen IBポータルというパートナープラットフォームは、アフィリエイトとIBがネットワークを拡大し、お客様のニーズに応えるサポートを提供するための総合的な学習やマーケティングリソースを提供しています。 ヴァンテージは昨年、アフィリエイトとIBのサポートと貢献に感謝の意を込めてグローバル・パートナーシップコンテスト「アフィリエイト・ワールドカップ2022(Affiliate World Cup 2022)」を企画・開催しました。 ヴァンテージ 中南米のアフィリエイトプログラムマネージャーであるNino Rongは、次のように述べています。「ヴァンテージでは、新規、既存のパートナーが持続可能なエコシステムを構築し、アウトリーチやエンゲージメント活動を収益化できるよう、地域の要件に合った最高のフレームワークと紹介プログラムを提供することを目標としています」。 また、ヴァンテージの中東・北アフリカの責任者であるNadine Azzamは、「インターナショナル・ビジネス・マガジン賞2023」で認められたことを謙虚に受け止め、私たちの重要な礎である大切なパートナーの皆様に感謝を申し上げます」と語りました。 ヴァンテージの最高戦略・取引責任者であるMarc Despallieresは、「当社の長年の成長は、ヴァンテージ・パートナーズのアフィリエイトやIBの成功に支えられています。 リテールビジネスを拡大しても、アフィリエイトやIBに最高のリソースとサポートを提供し、長期的なビジネスを構築することに全力を注いでいます」と言います。 ヴァンテージについて ヴァンテージ(Vantage) は、外国為替、商品先物、インデックス、株式、ETFのCFD取引において、迅速かつ強力なサービスをお客様に提供するマルチアセット・ブローカーです。 市場で13年以上の実績があるヴァンテージは、現在、世界30カ所以上の拠点で1,000人以上の従業員を擁します。 ヴァンテージは単なるブローカーではありません。信頼できる取引のエコシステム、受賞歴のあるモバイル取引アプリ 、そしてお客様が取引機会を活用できるような使いやすい取引プラットフォームを提供しています。 trade smarter @vantage. 配信元企業:Vantageプレスリリース詳細へドリームニューストップへ
・企業の税務リーダーの過半数(グローバル:51%、日本企業:56%)が、今後2年間に税務係争が増加すると予想している
・国境を越えた税制改革がリスクのトップに挙げられ、今後は係争の増加によるコスト増が予測されている
・企業の税務リーダーの4人に3人(グローバル:75%、日本企業:82%)は、全世界における自社の係争を完全に把握できていない
EYは、最新の税務関連の調査レポート「2023年EY税務リスクと税務係争に関する調査」を発表したことをお知らせします。本調査によると、企業が経験する税務調査の件数は、今後2年間で3分の1以上増加すると予想されています。税務・財務リーダーの過半数(グローバル:51%、日本企業:56%)は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミック期間中は係争が中断していたものの、今後は税務問題に対する調査が厳しくなる時代になると考えて準備を進めています。
EYでは今回、2022年第4四半期に、日本を含む47の国と地域および20の業界セクターにわたる2,100名を超える税務・財務リーダーの見解を詳しく調査しました。これは過去20年の調査の中で最大のサンプル数となっています。
本調査では、税務執行が税務・財務リーダーの最大の懸念事項であることが明らかになっており、回答者の大多数(グローバル:35%、日本企業:3
...more 3%)が、ビジネスリスク(グローバル:26%、日本企業:21%)、法規制問題(グローバル:30%、日本企業:31%)を上回る最大のリスクとして挙げられています。こうした懸念の背景には、今後2年間にわたって、国境を越えた課税問題への一層の注力、税法に関する不確実性、税務当局からの詳細な情報提供要請の大幅な増加が見込まれていることがあります。
世界全体で、リーダーたちはすでに多くの税務問題に対処しています。調査対象のリーダーの95%(日本企業:99%)が、自社が現在少なくとも1件の税務係争を管理していると回答し、半数以上(グローバル:52%、日本企業:49%)が総額100万米ドルを超える係争を監督していると回答しました。
EY Global バイス チェア(タックス) マルナ・リッカーのコメント:
「COVID-19のパンデミック期間中は税務調査や訴訟が大幅に中断されましたが、今後、世界的な税制改革の新たな波が押し寄せる中、世界中の経営幹部は、税務調査が厳しくなる時期に入ると予想しています。テクノロジーの進歩、強化されたデータ収集力、グローバルな協力体制によって当局の権限が強化され、税務執行の新たな時代が到来しようとしています。税務・財務部門は、係争や金銭的・風評的なペナルティの可能性を回避したいのであれば、税務リスクと係争管理アプローチにおけるグローバルな連携に投資する必要があります」
国境を越えた税務問題が懸念リスクの主な要因:
国境を越えた税務が最も多くの係争を引き起こす可能性が高く、回答した税務部門のリーダーの53%(日本企業:44%)が、国際税務と移転価格問題に対する税務当局の注目度が高まると予想しています。移転価格は、2位と3位の税制優遇措置(グローバル:35%、日本企業:22%で4位)、費用の損金算入(グローバル:31%、日本企業:33%)に比べ、ほぼ2倍(グローバル:63%、日本企業:67%)の票を獲得し、最大の税務リスク要因としてトップの座に返り咲きました。
経済協力開発機構(OECD)とG20主導のBEPS (base erosion and profit shifting) 2.0プロジェクトによって策定されたグローバル最低税率15%の導入は、企業にとって懸念事項であり、回答者の55%(日本企業:52%)が税務コストが増加すると考え、ほぼ半数(グローバル:45%、日本企業:48%)が新たな調査や係争の可能性が高まると回答しています。
その結果、税務リスク管理におけるグローバルな連携の必要性が、税務部門のリーダーにとって優先事項となっています。回答者の84%(日本企業:87%)が、税務リスクと税務係争の管理に対する既存のグローバルなガバナンスフレームワークのアプローチを導入または改善することで、今後2年間で自社のビジネスに付加価値がもたらされると回答しています。調査対象の多くの企業(グローバル:39%、日本企業:42%)は、今後2年間で税務係争の管理を一元化する予定と回答しており、ほとんどの税務係争への対処を現地チームに任せている回答者はわずか7%(日本企業:19%)でした。それにもかかわらず、調査対象企業の4社に3社(グローバル:75%、日本企業:82%)は、自社の世界中の税務係争を完全に把握できていないと回答しています。
税務ガバナンスがビジネスリーダーの中心的課題に:
企業はすでに、コロナ禍後の税務リスクと税務係争の環境に適応するための変更を行っており、回答者の69%(日本企業:67%)が、税務ガバナンスへの取り組みが今後数年間で拡大すると予想しています。これは、税務当局が企業のリスク評価の方法として、税務ガバナンスの有効性の検証への注力を強化していることに反映されています。回答者は、公式および非公式の情報提供要請が増加していることを指摘し、86%(日本企業:75%)が、係争に発展する前により積極的にリスクを特定し管理したいと考えています。
企業は、税務リスクへのリソースの投入を強化:
さまざまな税務リスクに対処するため、リーダーはリソースに投資し、新しい役割や職務を設けています。多くの回答者(グローバル:38%、日本企業:28%)が、過去2年間に自社が税務リスクまたは税務係争の専任リーダーを任命したと回答し、81%(日本企業:78%)の回答者がそのような役割は自社のビジネスに大きな価値をもたらすと考えています。また、過去2年間に税務リスクと税務係争の「委員会」や「センター・オブ・エクセレンス」を設置した、あるいは既存の同様のワーキンググループを強化したと回答した割合も同じです。
EY Global タックスコントラバーシーリーダー ルイス・コロナドのコメント:
「世界各国の政府が税務執行を強化し、税務データの透明性に対する要求が高まる中、企業は税の確実性を高めるためにできる限りのことを行っています。人材への投資であれ、税務リスクと税務係争を管理するためのグローバルなアプローチの再構築であれ、経営幹部は現在、自社の税務リスクの監視、文書化、評価に対してはるかに積極的なアプローチを取っています。ただし、本調査では、適切なポリシーを策定することは1つのステップに過ぎないことも明らかになりました。税務リスクと税務係争を効果的に管理するには、グローバルオペレーションと現地オペレーション間のシームレスなコラボレーション、実行、連携が不可欠です。こうしたことを適切に行った企業は、リスクが軽減された税務プロファイルと、今後数年間で係争が減少する可能性によって報われることになるでしょう」
EY Japan タックス・ポリシー・アンド・コントラバーシーリーダー / EY税理士法人 パートナー 関谷 浩一(せきや こういち)のコメント:
「国境を跨(また)いだ課税問題の増加は、日系多国籍企業が直面する喫緊の課題です。多くの日系多国籍企業が、新興国を含む海外拠点において、よりアグレッシブな税務係争への対応を求められています。効果的にグローバルな税務係争に対応するためには、本社を司令塔としたグローバルガバナンス体制の構築が欠かせません。日系多国籍企業については、欧米や中国系多国籍企業と比してこれまで出遅れていた面があります。他方、OECDのBEPS 2.0プロジェクトの進捗もあり、グローバル係争対応も含め、グローバルガバナンスの強化にかじを切る動きが増えつつあるところ、このような内外の動向やプラクティスに注意を払っていくことが必要であると考えられます」
2023年EY税務リスクと税務係争に関する調査の詳細については、下記サイトをご参照ください。
税務リスクと税務係争が増大する時代に税務ガバナンスが鍵となる理由
なぜ今世界的な税制改革に備える必要があるのか
「2023年EY税務リスクと税務係争に関する調査 日本における結果」は、以下EY Japanのウェブサイトからダウンロードく...