住戸の空間を効率的に活用できるロフト付きアパートは、出来るだけ土地を有効活用したいオーナーと、家賃を抑えつつスペースを確保したい入居者の双方にメリットがある間取りと言えます。
しかし、ロフト付きアパートは通常のアパートよりも建築費がかかります。エリアによっては入居者からのニーズが見込めないケースもあるため、メリット・デメリットの両方を比較しながら慎重に検討することが大切です。
そこで今回のコラムでは、ロフト付きアパートを経営するメリットとデメリット、注意点について解説し、ロフト付きアパートを提供するアパート建築会社も紹介いたします。
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目次
ロフト付きの部屋の定義・規定
ロフト付きアパートを経営するメリット
2-1.固定資産税を低く抑えられる
2-2.ワンルームに比べより多く賃料収入が得られる
2-3.家賃とスペースのバランスを取りたい入居者のニーズを満たせる
ロフト付きアパート経営のデメリット
3-1.ワンルームより建築費用がかかる
3-2.原状回復費用が高くなりやすい
3-3.ロフト付きの部屋を敬遠する入居者も
ロフト付きアパートを経営する際の注意点
4-1.入居者ターゲットを絞り込む
4-2.ロフト付きのアパート建築に実績のある会社を選ぶ
ロフト付きアパートを提供するアパート建築会社
5-1.シノケンプロデュース
5-2.
...moreアイケンジャパン
まとめ
1 ロフト付きの部屋の定義・規定
ロフト付きの部屋とは、床と天井の間に別の床を設けて、部屋の一部を2層構造にした部屋のことです。ロフトとは、もともと馬小屋や納屋の屋根裏にあるスペースのことを指しており、日本国内では1980年代後半に狭い空間をより有効的に使えることからロフト付きのアパートが増えていきました。
国土交通省の通達(「昭32住指発461号」「昭55住指発24号」「平成12住指発682号」など)では、ロフトは「小屋根物置等」とし、詳細な規定を設けています。代表的なものが下記になります。
床面積は小屋根物置等のある階の床面積の1/2未満にする
天井の高さは1.4メートル以下にする
直下の天井の高さは2.1メートル以上にする
専用のはしごまたは固定階段を設置する
下階または上階から出入りできる(ベランダやバルコニーからは出入りできない)
余剰空間を活用する
ロフトとは、天井裏や小屋根などの余剰空間に設置する物置などのスペースを想定しているので、このように細かな規定が設けられています。これらの規定に加えて、階段を不可にしていたり、コンセントは1つまでとしているなど、各自治体でさらに規定を設けているケースもあります。
2 ロフト付きアパートを経営するメリット
ロフト付きアパートを経営する場合、通常のアパートとは異なるメリットがあります。代表的なメリットを紹介していきます。
2-1 固定資産税を低く抑えられる
前述したようにロフトには厳密な制限がありますが、これらを満たしている場合、ロフトは階層の一つではなく小屋根物置と見なされ、部屋全体の床面積に含まれないことになっています。
床面積に含まれないことにより、ロフトのスペース分の固定資産税は加算されません。下記は、固定資産税を計算する際の計算式です。
固定資産税=課税評価額×税率
課税評価額(家屋)=単位あたり再建築費評点×経年減点補正率×床面積×評価1点あたりの価額
※参考:国税庁「地域別・構造別の工事費用表(1m2当たり)【令和5年分用】」
このように、床面積の大きさによって固定資産税の納税額は異なります。一方、ロフトの床面積は部屋全体の床面積として計算されないため、その分の固定資産税はかからないということなのです。
2-2 ワンルームに比べより多く賃料収入が得られる
同じワンルームの部屋でも、ロフトの有無によって家賃は異なります。例えば、ワンルームアパートの家賃相場が6万円のエリア(東京都内・2023年9月時点)では、5畳のロフトがついていることで5,000円〜8,000円程度高い家賃設定で募集されている事例があります。
また、30畳分の敷地面積がある土地の場合、10畳と5畳の1LDKの部屋は単純計算で2住戸しか設けられませんが、10畳の部屋に5畳のロフトがついている部屋の場合は3住戸を設けることができます。
部屋にロフトを設けた場合、土地を最大限活用しながら1戸当たりのスペースを確保することが可能です。同じ敷地面積から、より多くの賃料収入を得られる可能性があるという点もメリットとなります。
2-3 家賃とスペースのバランスを取りたい入居者のニーズを満たせる
部屋にロフトがついている場合、入居者にはいくつかメリットがあります。下記の点が代表的なものです。
寝室や収納スペースなどさまざまな用途で使える
天井が高く解放感がある
デッドスペースを減らせる、など
ロフトは寝室にしたり、収納スペースにしたり、といったように色々な目的で使うことができます。10畳のワンルームにベッドを置くと1/4程度を占めてしまいますが、ロフトがあると部屋を広々と使えることもメリットです。
ロフト付きの部屋にはこのようなメリットがあるため、家賃を抑えながら、スペースを有効的に使いたいといった入居者のニーズに応えることができます。
3 ロフト付きアパート経営のデメリット
一方、ロフト付きアパートを経営する場合のデメリットも解説していきます。
3-1 ワンルームより建築費用がかかる
ロフトを設ける場合は、建築費用が割高になることが考えられます。それはロフトを設けることで、下記のような設備・仕様が必要になるからです。
窓や通気口を設ける
ハシゴを設ける
照明やコンセントを設ける、など
ワンルームに比べると、ロフトを設けるだけでこれだけの費用が余計にかかります。また各部屋の天井が高くなるため、壁紙などの建築資材もより多く必要になってしまいます。
建築費用が高くなると、表面利回りが低くなります。家賃を高めに設定することで建築費用の回収も可能ですが、借入額が大きくなることで投資リスクは高まると言えるでしょう。この点をどう判断するかは、周辺エリアの入居需要を調査したうえで、最終的にはアパートオーナーの経営方針によります。
3-2 原状回復費用が高くなりやすい
ロフトを設けるには天井が高くする必要があるため、建築する際の費用が余計にかかってしまいます。また、これは原状回復やリフォームなどの際も同様です。
原状回復の際に壁紙を張り替えるといった場合も、ワンルームに比べると費用が高くなってしまう傾向があります。
またハウスクリーニングなどで室内を掃除する際も、基本料金にロフト分の特別料金として1,000円〜3,000円程度の追加料金が目安となります。この点もデメリットと考えられます。
3-3 ロフト付きの部屋を敬遠する入居者も
ロフトが付いた部屋にはメリットがある一方、入居者にとってデメリットもあります。代表的なのが以下です。
ハシゴの上り下りが面倒
エアコンの電気料金が高くなる
通気性が悪い
高いところの掃除がしにくい
夏はロフト部分が暑い、など
こうしたデメリットによって暮らしにくさを感じる方からは、ロフト付きの部屋は敬遠されることも考えられます。そのため、立地や周辺の環境などの条件が揃っていないと、入居者が確保しにくい可能性もあります。
4 ロフト付きアパートを経営する際の注意点
ロフト付きアパートの経営についてメリットとデメリットを把握したところで、経営する際の注意点について解説していきます。
4-1 入居者ターゲットを絞り込む
ロフト付きの部屋は、単身者向けが主流です。そのため、アパート自体のターゲット層に合っているかどうか、検討しましょう。
例えば、単身者向けアパートとして適している立地条件として下記が挙げられます。
最寄り駅から近い
生活利便施設が周辺に充実している
大学や専門学校などが周辺にある
ブランディングされている地域にある、など
このような立地条件であれば、ロフト付きの部屋に対して利便性を感じている単身者の入居者を確保しやすくなると考えられます。
4-2 ロフト付きのアパート建築に実績のある会社を選ぶ
ロフト付きのアパートは主に単身者が入居ターゲットとなるため、概ね20代~30代などの若い世代の方から選ばれやすい間取りとなります。デザインに工夫を凝らしたり、ロフトからの眺めを考えて設計したり、といったことの重要がより高い物件と言えるでしょう。
中には、ワンルームや1K以外にも、ロフトをパーテーションのように...