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かねてから他国と比して「高い」と言われ、引き下げまでもが叫ばれる法人税。しかしそこには、国民に正確にアナウンスされているとは思い難い「カラクリ」があるようです。今回のメルマガ『大村大次郎の本音で役に立つ税金情報』では元国税調査官で作家の大村さんが、「日本の法人税は高い」という主張は財務省のプロパガンダであると指摘。その上で、我が国の実質的な法人税はタックスヘイブン並みに低いという事実を暴露しています。
騙されるな。日本の「法人税」は高いという財務省のプロパガンダ
筆者はこれまで「日本の消費税は悪税の極致」と述べてきました。日本経済が長期的に低迷し、国民生活が年々厳しくなっているのは、消費税が大きな要因の一つである、と。消費税が増税されるたびに法人税や富裕層の所得税が減税されており、消費税は法人税や富裕層の所得税を減税するために導入されたもの、と。
しかし、こういうことを思っている人も多いと思われます。
「日本の法人税は世界的に見て高いから下げられてもいいはず」
が、その考えは、財務省のプロパガンダにまんまとひっかかっています。
現在、日本の法人税率は23.2%(国税)です。この法人税率は、確かに先進国の中では決して安くはありません。イギリスやドイツの方が低く、アメリカも減税を行っているので日本よりも安くなっています。だからこれを根拠に「日本ではもっと法人税率を引き下げなくてはならな
...moreい」と主張する御用学者も多いです。
が、これは「名目の法人税率」の話です。日本の場合、名目の法人税率は高く設定されていますが様々な抜け穴があるために、実質の法人税率は著しく低いのです。不思議なことに日本の御用経済学者のほとんどは、この日本の法人税の抜け穴について言及したり、研究したりしている人はほとんどいません。ただただ名目の法人税率だけを振りかざし、「日本の法人税は高い」と吹聴しているのです。
実は「タックスヘイブン」並みに低い日本の実質法人税
日本の実質的な法人税率は、実は驚くほど低いのです。下の表は、法人統計調査から抽出した日本企業全体の「経常利益」と法人税収を比較したものです。いずれも、政府が発表しているデータであり、誰でも簡単に確認することができます。
経常利益 法人税収 実質法人税率
2013年 72.7兆円 10.5兆円 14.4% 2017年 96.3兆円 12.0兆円 12.5% 2022年 95.3兆円 13.3兆円 14.0%
これを見ると、日本企業は経常利益に対して法人税は10%ちょっとしかかかっていないことがわかるはずです。名目の法人税率は23.2%なので、だいたい6割しか払っていないことになります。
つまりは、日本の実質的な法人税率は10%ちょっとであり、世界的に見ても非常に安い部類なのです。タックスヘイブンのレベルだといっていいでしょう。これを見ると、絶対に日本の法人税は高いなどとは言えないはずです。ぜひ政府の御用学者の方々の弁明をお聞きしたいものです。
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大企業に「用意」された法人税の巨大な抜け穴
なぜ日本企業の実質的な法人税率がこれほど低いのかというと、日本の法人税には巨大な抜け穴が存在するからです。しかも、その抜け穴は、大企業にばかり集中しているのです。つまりは、日本では大企業の実質法人税負担率が異常に低いために、法人税収を大幅に引き下げているのです。
大企業の法人税の抜け穴は多々ありますが、代表的なのは2003年に導入された「研究開発費減税」と、2008年に導入された「外国子会社からの受取配当の益金不算入」という制度です。
「研究開発費減税」というのは、簡単に言えば、「試験開発をした企業はその費用の10%分の税金を削減しますよ」という制度です。限度額はその会社の法人税額の20%です。
「試験開発のための費用が減税されるのはいいことじゃないか」と思う人も多いはずです。しかし、この制度には大きな欠陥というか、カラクリがあるのです。この研究開発費減税は、実質的には「研究開発費を支出する余裕のある大企業しか受けられない」のです。しかも、研究開発費の範囲が広く設定されているので、製造業の大企業であれば、だいたい受けられるという制度なのです。
つまり、大まかに言えば「大企業の法人税を20%下げた」ということです。実際に、この減税を使っているのは、ほとんどが大企業です。全体の0.1%にも満たない資本金100億円超の企業への減税額の8割を独占しているのです。
「外国子会社からの受取配当の益金不算入」は、どういうことかというと、外国の子会社から配当を受け取った場合、その95%は課税対象からはずされる、という制度です。
たとえば、ある企業が、外国子会社から1,000億円の配当を受けたとします。この企業は、この1,000億円の配当収入のうち、950億円を課税収入から除外できるのです。つまり、950億円の収入については、無税ということになるのです。
なぜこのような制度があるのでしょうか?
これは、現地国と日本で二重に課税を防ぐ、ということで、そういう仕組みになっています。外国子会社からの配当は、現地で税金が徴収されているケースが多いものです。もともと現地で税金を払っている収入なので、日本では税金を払わなくていい、という理屈です。
が、この制度には巨大な矛盾があります。というのも、二重課税を防止するという意味ならば、外国で払った税金分を控除すればそれで足りるはずです。しかし、この制度では、「外国でいくら税金を払っているかにはかかわらず、配当金のほとんど(95%)を収入に換算しなくていい」ということになっているのです。
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実質的にほとんどの多国籍企業が大幅な減税に
この制度では、実質的にほとんどの多国籍企業が大幅に減税になっているのです。トヨタなどは、この制度ができたおかげで、2008年から5年間も日本の法人税を払わずに済んだのです。トヨタはこの5年間ずっと赤字だったわけではなく、赤字だったのはリーマンショックの影響を受けた2009年と2010年だけです。それ以外の年は大きな黒字を出しているのです。にもかかわらず、日本の法人税はまったく納税していなかったのです。
考えてみてください。世界中で稼いでいる日本一の大企業が、5年間も日本で法人税を払っていなかったのです。そんな馬鹿なことがあるか!ということです。こういう馬鹿なことが生じた最大の理由は、「外国子会社からの受取配当の益金不算入」なのです。
日本の法人税が実質的に低いことの証左は、日本企業の内部留保金を見てもわかります。日本企業はバブル崩壊以降に内部留保金を倍増させ500兆円にも達しています。また日本企業は、保有している手持ち資金(現金預金など)も200兆円以上あります。これは、経済規模から見れば断トツの世界一であり、これほど企業がお金を貯め込んでいる国はほかにないのです。
日本では、国民生活はどんどん苦しくなり、平均賃金は韓国よりも低いにも関わらず、税と社会保障の負担率は江戸時代よりも高くなっています。その一方で、大企業はタックスヘイブン並みの低税率になっており、莫大な資産をため込んでいるのです。日本は「大企業栄えて国滅ぶ」の図となっているのです。
(メルマガ『大村大次郎の本音で役に立つ税金情報』2023年11月16日号より一部抜粋。続きはご登録の上お楽しみください。初月無料です)
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