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2025年3月12日株式会社マーケットリサーチセンター株式会社マーケットリサーチセンター(本社:東京都港区、世界の市場調査資料販売)では、「産業用ロールスリッターの世界市場2025年」調査資料を発表しました。資料には、産業用ロールスリッターのグローバル市場規模、動向、予測、関連企業の情報などが盛り込まれています。■主な掲載内容産業用ロールスリッター市場の概要本調査によると、世界の産業用ロールスリッター市場規模は2023年にXXX百万米ドルと評価され、2030年までにXXX百万米ドルに調整されると予測されています。レビュー期間中の年平均成長率(CAGR)はXXX%と見込まれています。本市場は、繊維業界や包装業界などの需要によって成長しており、特に自動化技術の導入が進んでいます。本レポートでは、産業用ロールスリッターの産業チェーンの発展状況、繊維業界および包装業界における市場の動向、自動化技術の進展、特許、主要な用途、企業動向を分析しています。________________________________________地域別市場動向本レポートでは、産業用ロールスリッター市場を地域ごとに分析しています。北米およびヨーロッパ市場では、政府の支援政策や消費者意識の向上により安定した成長を遂げています。特に、持続可能な包装技術や高効率の生産設備に対する需要が高まっています。一方、アジア太平
...more洋地域、特に中国は強力な国内需要と政策支援、強固な製造基盤を背景に、世界市場を主導しています。特に、低コストで高精度な機械の生産が進んでおり、市場の拡大が期待されています。________________________________________市場分析の主要ポイント本レポートでは、産業用ロールスリッター市場について包括的な分析を行っています。市場規模とセグメント化市場全体の規模を把握するため、販売数量(ユニット)、収益、市場シェアなどのデータを収集しています。また、産業用ロールスリッターを自動式、半自動式、手動式の3つのタイプに分類し、それぞれの成長率や市場規模を算出しています。業界分析政府の政策や規制、技術革新、消費者の嗜好、市場動向など、業界全体のトレンドを分析しています。この分析により、市場を牽引する要因や直面する課題が明確になります。特に、自動化技術の進化と、それに伴うコスト削減が市場拡大の大きな要因となっています。地域別分析各地域・国ごとに市場を分析し、政府の支援策、インフラ整備、経済状況、消費者の行動パターンを踏まえ、地域ごとの成長機会や市場の違いを明らかにします。市場予測収集したデータをもとに、将来の市場成長率や需要予測、新たなトレンドを特定し、市場の将来像を描きます。特に、繊維業界や包装業界での需要の増加が見込まれています。________________________________________詳細分析本レポートでは、より詳細な視点から市場を分析し、以下の要素を考察しています。企業分析主要な産業用ロールスリッターメーカー、サプライヤー、業界関係者を対象に、財務状況、市場ポジション、製品ポートフォリオ、パートナーシップ、戦略について詳細に分析しています。消費者分析消費者の行動や嗜好、産業用ロールスリッターに対する意識について調査し、アンケートやインタビュー、レビュー分析などを通じて市場の需要動向を把握しています。技術分析産業用ロールスリッターに関連する技術を評価し、現在の技術の成熟度や今後の進展の可能性について考察しています。特に、自動化技術やAIを活用した高度な制御機能の進化が注目されています。競争環境市場における各企業やサプライヤー、消費者の動向を分析し、市場シェアや競争優位性、差別化戦略について明確にします。市場検証調査結果や予測の正確性を確保するため、アンケートやインタビュー、フォーカスグループなどの一次調査を通じてデータを検証しています。________________________________________市場セグメント本レポートでは、産業用ロールスリッター市場を以下の2つの主要カテゴリに分けて分析しています。タイプ別市場自動式半自動式手動式用途別市場繊維業界包装業界製紙業界その他________________________________________主要企業本レポートでは、以下の主要企業の市場動向や戦略について分析しています。OtemanSvegeaWindmoller & Holscher MachineryRosenthalALSKashif Saeed General TradingH. R. (Paper) Machinery PrivateOrion Graphic MachineryR. K. Label Printing MachineryHariram EngineeringK M Trivedi EngineeringCMC Converting Machinery CeveniniGhezzi & AnnoniKuen Yuh Machinery Engineering________________________________________地域別市場分析以下の地域別市場について詳細に分析し、それぞれの成長要因や市場特性を明らかにしています。北米(アメリカ、カナダ、メキシコ)ヨーロッパ(ドイツ、フランス、イギリス、ロシア、イタリア、その他)アジア太平洋(中国、日本、韓国、インド、東南アジア、オーストラリア)南米(ブラジル、アルゼンチン、コロンビア、その他)中東・アフリカ(サウジアラビア、UAE、エジプト、南アフリカ、その他)________________________________________まとめ本レポートでは、世界の産業用ロールスリッター市場について、業界動向、市場規模、技術進展、地域別動向、主要企業の戦略などを多角的に分析しています。市場は今後も成長が続くと見込まれ、特にアジア太平洋地域がリードする形となるでしょう。各企業は、技術革新や市場ニーズの変化に対応しながら、競争力を高める必要があります。自動化技術の進化や持続可能な生産技術の導入が進む中、市場はさらなる拡大が期待されています。________________________________________目次第1章 市場概要1.1 産業用ロールスリッターの製品概要と適用範囲1.2 市場推計の前提条件と基準年1.3 タイプ別市場分析1.3.1 世界の産業用ロールスリッター消費額の推移(2019年、2023年、2030年比較)1.3.2 自動式1.3.3 半自動式1.3.4 手動式1.4 用途別市場分析1.4.1 世界の産業用ロールスリッター消費額の推移(2019年、2023年、2030年比較)1.4.2 繊維業界1.4.3 包装業界1.4.4 製紙業界1.4.5 その他1.5 世界の産業用ロールスリッター市場規模と予測1.5.1 世界の消費額(2019年、2023年、2030年)1.5.2 世界の販売数量(2019年~2030年)1.5.3 世界の平均価格(2019年~2030年)________________________________________第2章 主要メーカーのプロフィール2.1 各企業の概要、主力事業、製品・サービス、販売数量、平均価格、収益、粗利益率、市場シェア(2019年~2024年)、最新動向OtemanSvegeaWindmoller & Holscher MachineryRosenthalALSKashif Saeed General TradingH. R. (Paper) Machinery PrivateOrion Graphic MachineryR. K. Label Printing MachineryHariram EngineeringK M Trivedi EngineeringCMC Converting Machinery CeveniniGhezzi & AnnoniKuen Yuh Machinery Engineering________________________________________第3章 競争環境:メーカー別市場分析3.1 世界のメーカー別販売数量(2019年~2024年)3.2 世界のメーカー別収益(2019年~2024年)3.3 世界のメーカー別平均価格(2019年~2024年)3.4 市場シェア分析(2023年)3.4.1 メーカー別出荷量およ...
国際研究チームは暗黒物質がわずかに光(フォトン)を放出して崩壊する場合、その寿命の下限が少なくとも10^24秒(約3.17京年)以上であると発表。
この結果は、最新の近赤外線分光技術と6.5mマゼラン望遠鏡を用いた精密観測により、矮小銀河Leo VやTucana IIから得られた貴重なデータに基づいています。
従来の理論では、暗黒物質はほぼ崩壊しないと考えられていましたが、今回の観測はその下限寿命を更新し、宇宙の進化や銀河の形成における暗黒物質の役割に新たな疑問を投げかけます。
しかし仮に3京年後に暗黒物質がなくなってしまったとしたら、私たちの宇宙はどうなってしまうのでしょうか?
研究内容の詳細は2025年2月7日に『Physical Review Letters』に掲載されました。
目次
暗黒物質崩壊の証拠を探る暗黒物質の寿命は3.17京年以上ある暗黒物質が崩壊したらどうなるのか?
暗黒物質崩壊の証拠を探る
暗黒物質の寿命は最低でも「3京年」以上あると判明 / Credit:Canva
私たちが肉眼や通常の望遠鏡で見ることができる“ふつうの物質”は、実は宇宙全体のごく一部にすぎないと考えられています。
むしろ大部分を占めているらしいのが「暗黒物質」という、まるで舞台裏で暗躍するかのように直接は見えない存在です。
銀河が予想以上に速く回転していることや、重力レンズと呼ばれる光
...moreの曲がり方などから「暗黒物質は確かにあるらしい」と確信されて久しいのですが、その質量や相互作用、寿命など、肝心な部分はいまだ解明されていません。
そこで近年、有力な候補として注目を集めているのが「Axion-like Particle(略してALP)」です。
もしALPが暗黒物質なら、わずかに崩壊して光(フォトン)を放出する可能性があるのではないか、と理論的に示唆されています。
質量は0.01 eVから数eVくらいまで幅広く考えられ、このあたりのエネルギー帯で光が出ていれば、近赤外線の波長で“線スペクトル”として観測できるというのが一つのヒントです。
実は四十年ほど前にも、「暗黒物質がeVスケールの質量をもっていて、熱的に生成されたのではないか」という説が一部で唱えられてきました。
しかし、この程度に軽い粒子が本当に存在するかどうか確かめるには、高い感度と分解能をあわせ持つ分光観測が欠かせません。
そこでジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡(JWST)やMUSEといった装置が活躍していますが、銀河中心部などは星やガス、背景放射が混ざりすぎていて“暗黒物質が出す光”だけを取り出すのは簡単ではないのです。
そこで新たに注目されているのが、暗黒物質の割合がとても高く、邪魔になる明るい天体がほとんどない「矮小銀河(dSph)」に目を向ける手法です。
なかでも超低光度のLeo VやTucana IIのような矮小銀河なら、もし暗黒物質が二次的な光を放っていればより見つけやすいと考えられます。
こうした背景から、「崩壊で生まれる微弱な光を高分散でピンポイントに探れば、暗黒物質の正体にグッと迫れるのではないか」というアイデアが生まれました。
そこで研究者たちは6.5mマゼラン望遠鏡に搭載された近赤外線高分散分光器WINEREDを使い、実際にLeo VやTucana IIの中心付近を狙って観測。
暗黒物質由来の線スペクトルが潜んでいないか、徹底的に調べることにしたのです。
暗黒物質の寿命は3.17京年以上ある
暗黒物質の寿命は最低でも「3京年」以上あると判明 / Credit:Canva
今回の観測に使われたのは、チリのラスカンパナス天文台にある6.5mマゼラン望遠鏡と、その先端技術を集めた近赤外線高分散分光器「WINERED」です。
普通のカメラで夜空を撮ると、星の光以外にも大気がわずかに光る“夜間大気光(ナイトグロー)”などが写り込んでしまいます。
これは暗黒物質が出すかもしれない微弱な光(シグナル)を見逃す大きな原因になるため、研究チームは「オブジェクト・スカイ・オブジェクト」という手法で観測対象(Leo VやTucana II)と背景の夜空を交互に同じ時間で撮影し、その差を取ることで雑音を徹底的に減らしました。
さらに、スリットを0.29秒角(arcsec)というごく細い幅にすることで、空間的に余計な光を拾わないよう工夫しています。
こうした高分散観測では、たとえば空気中の分子が特定の波長だけ光っている“線スペクトル”も精密に切り分けられるため、不要なピークを丹念に取り除くことができるのです。
また、矮小銀河それぞれにわずかながら固有の“ドップラーシフト”があるのも重要なポイントです。
もし暗黒物質がそこから崩壊して光を放っているなら、その銀河固有の速度によって光の波長がずれているはずなので、“背景由来の光”と区別しやすくなります。
Leo VとTucana IIは別々の方向にあり、それぞれ異なる速度で動いているため、同じ装置で似た観測条件下でも、もし同じ波長に信号が見えた場合は単なるノイズにとどまらないかもしれない、と推測できるのです。
実際の観測スケジュールは、まず7月にLeo Vを1時間、空の背景を30分。
そして11月にはTucana IIを1.2時間、背景を0.7時間という形で行われました。
さらにA0型星を標準星として観測し、大気や装置が波長によって吸収したり透過したりする度合いを補正して、各波長での光の強度をそろえています。
結果的に、1.8〜2.7 eV付近の暗黒物質が放つと予想される線スペクトルはほとんど検出されず、“限りなくゼロに近い”シグナルという結論になりました。
これは「もし暗黒物質がこの質量帯にあるなら、そう簡単には崩壊しない」、つまり非常に長い寿命をもつ可能性が高いという強い証拠にもなります。
具体的には、Axion-like Particle(ALP)の寿命について、少なくとも10^24秒(約3.17×10^16年、3.17京年)以上という下限値が示唆されました。
これは現在の宇宙年齢(約138億年)の数百万倍にも相当します。
観測データの中には、わずかにシグナルが強まっている箇所もありますが、天候や測定誤差などの影響を排除できないため、今後の追観測が待たれます。
とはいえ、夜空の背景と天体由来の微光を細かく分離し、さらに複数の銀河で固有の速度(ドップラーシフト)まで考慮した解析は他に類を見ないほど厳密で、暗黒物質の寿命に関する“新たな下限値”を打ち立てたのは大きな前進といえるでしょう。
では暗黒物質が崩壊したとき、何が起こるのでしょうか。
暗黒物質が崩壊したらどうなるのか?
暗黒物質が崩壊したらどうなるのか? / Credit:Canva
そもそも暗黒物質は、銀河や銀河団を“重り”のように支える存在とされていて、特に銀河の回転速度を説明するには、星やガスなどの「見える物質」だけでは足りないと考えられています。
もし暗黒物質が宇宙の歴史の途中で崩壊し続けていたとしたら、銀河を取り囲む暗黒物質の質量が徐々に減っていき、銀河同士の重力バランスが変化するでしょう。
その影響は銀河単体よりも、数百〜数千の銀河が集まる超銀河団のような巨大なスケールでより顕著になる可能性があります。
暗黒物質が大きく減れば、団全体の重力ポテンシャルに“微調整”とは言えないほどの変化が生まれるでしょう。
また、宇宙の大規模構造の形成シナリオ自体も変わりうると考えられます。
暗黒物質が宇宙のはじめからずっと安定して存在している、という前提の下で銀河や銀河団の成り立ちが説明されてきたからです。
もし暗黒物質が一定の寿命(現在の宇宙の年齢以下など)で途中から崩壊し始めると、例えば「銀河がどれくらいのタイミングでどんな規模で形成されたか」というシナリオを大幅に組み直さなければいけないかもしれません。
加えて、崩壊により光子やニュートリノなどの軽い粒子が放出されれば、宇宙背景放射(CMB)のスペクトルや星間ガスの電離状態に変化が生じ、星形成のペースを変える要因にもなり得ます。
では、もし仮に「暗黒物質がいま突然消滅したら」どうなるのでしょうか。
実は、太陽系や地球といった局所的なスケールでは、ほぼ影響がないだろうと考えられています。
なぜなら、銀河ハロー全体に広がっている暗黒物質の密度は、地球や太陽の質量に比べると圧倒的に小さいからです。
太陽系内に存在する暗黒物質は、計算によっては地球ひとつ分の質量にも満たないと推定されており、もし一瞬で消えたところで重力バランスに大きな変化は起こりません。
私たちが感じる引...
アメリカのロチェスター大学(UR)など複数機関の共同研究によって、光がわずか数百ナノメートル幅の三つのスリットを通過する際に、隣接するスリットの近くへまるでループを描くかのように回り込みながら、干渉パターンを形成する不思議な現象が初めて明確に示されました。
従来の二重スリット実験以上に複雑な経路の重ね合わせが観測されたことで、量子力学の根幹であるボルン則があらためて検証されると同時に、近接場(ナノスケールの電磁場)の寄与が思いのほか大きいことも判明し、量子光学の理解を大きく進める結果となりそうです。
いったいこの“三重スリット”の実験は、私たちの常識をどのように覆すのでしょうか?
研究内容の詳細は『Nature Communications』にて発表されました。
目次
二重スリットを超えて—量子の深淵を覗く三つ目のスリット三重スリットでループする光たち五重スリットはさらにヤバい?広がる量子干渉の可能性
二重スリットを超えて—量子の深淵を覗く三つ目のスリット
三重スリット実験で見えた「光のループ経路」 / 三重スリット構造の模式図と、光が“ループ軌道”をたどるイメージ。 左右に並んだ3本の細いスリットが金属薄膜に空けられており、真ん中の赤いラインは光がAというスリット近傍からBやCのスリット方向に“回り込む”ように進むルートを描いています。通常の二重スリット実験では考えにくい複
...more雑な経路ですが、金属表面で強く励起される『近接場(表面プラズモン)』によって、こうした微小な“寄り道”経路が大きくなり、観測可能な干渉パターンとして現れるようになります。幅が数百ナノメートル(髪の毛の太さよりずっと細い)という極めて小さなスリット構造と、光が波として振る舞う性質が組み合わさることで、量子力学の新たな一面が見えてくるのです。/Credit:Omar S Magaña-Loaiza et al . Nature Communications (2016)
光がスリットを通過するときに見せる干渉パターンは、量子力学の核心的な性質を示す代表例として知られています。
19世紀にトマス・ヤングが行った二重スリット実験は、光が「粒子でありながら波として振る舞う」ことを直感的に示すものでしたが、その後、光子だけでなく電子や原子などでも同様の干渉パターンが観測されるようになりました。
これらは重ね合わせ原理と呼ばれる量子力学の基本法則に基づいて理解されており、検出される確率分布を支配するのがボルン則です。
一方、スリットが三つになると、単純に「3つの経路の重ね合わせ」を考えただけでは説明できない追加の干渉項が生じる可能性があると指摘されてきました。
たとえば光がとても細い三つのスリットを通るとき、「ただまっすぐ進むだけ」ではなく、スリット周辺の特殊な電磁場(近接場と呼ばれます)によって、いわば“寄り道”をするように回り込む経路が生まれることがあります。
Aというスリットから出た光が、その近くにあるBやCのスリット付近へ少し回り込み、また別のスリット方向へ戻ってから最終的に先へ進む、といったルートが考えられるのです。
こうした微小な回り道は理論上存在するとされてきましたが、その確率はごくわずかで、従来の方法では観測が困難だとされていました。
そこで今回研究者たちは、ナノスケールで光の近接場(表面プラズモン)を強められる三重スリット構造を用いて、微小なループ軌道を直接検出することにしました。
三重スリットでループする光たち
三重スリット実験で見えた「光のループ経路」 / 本研究で用いられた実験装置の概略図。 左側の光源から、非常に弱いレーザー光や単一光子レベルの光が発生し、三重スリット構造へと照射されます。スリットを透過した光は、遠方(ファーフィールド)で生じる干渉パターンを高感度カメラ(ICCDカメラ)で撮影して解析します。さらに、スリットに入射する光の『偏光』を切り替えることで、金属膜表面に生じる近接場の強さを自在に制御できる仕組みです。これによって、わずかな確率で生じる“ループ軌道”を見逃さないように増幅し、“光がどの経路をたどったか”を干渉パターンから読み解くことが可能になりました。/Credit:Omar S Magaña-Loaiza et al . Nature Communications (2016)
今回の実験では、まず金属の薄い膜に「三つの細いスリット」を空けた特別な構造を作り、そこにとても弱い光(あるいは一度に1つずつの光子)を照射しました。
スリット1本あたりの幅は数百ナノメートルほどしかなく、これは髪の毛の太さよりずっと細いサイズです。
こうした極めて小さいすきまを通る光は、ふだん私たちが見慣れている光のふるまいと異なる“量子の性質”を強く示すと考えられています。
このとき、単に「3本のスリットを全部使う」だけでなく、一部のスリットをふさいで「1本だけ開ける」「2本だけ開ける」など、合計7パターン(A、B、C、それぞれ1本ずつ、AB、BC、ACの2本ずつ、そしてABCすべて)の条件で光の通り方を調べました。
高校の物理などでも習うように、スリットから出た光は互いに干渉を起こして縞(しま)状のパターンを作ります。
研究チームは、これらのパターンを比べることで、どのように光がループ状の経路をたどっているかを検証しようとしたのです。
また、スリット周辺に強い電磁場(表面プラズモン)を発生させるため、入射する光の「偏光(へんこう)」という特性を切り替えました。
具体的には、スリットに対して電場が横方向になるような偏光を入れると、金属表面に強い近接場が生じやすくなります。
この近接場が“ループ軌道”を引き起こす手がかりになると期待されていたので、偏光を変えることで「ループ軌道が起こる場合」と「ほとんど起こらない場合」の両方を比較できるわけです。
実際に光がスリットを通り抜けたあとには、遠く離れた場所で“ファーフィールド”と呼ばれる干渉パターンを特殊なカメラ(ICCDカメラ)で撮影しました。
三重スリット実験で見えた「光のループ経路」 / 三重スリットの実際のSEM(走査型電子顕微鏡)画像と、スリットの開閉や偏光条件による干渉パターンの変化。 上段左に写っているのが、金属膜に空けられた三つの非常に細いスリットを拡大撮影したSEM画像です。一方、右側や下段には、スリットを1本だけ開けたり、2本だけ開けたり、3本すべて開けたりといった組み合わせに加え、入射光の偏光を切り替えたときに観測される干渉パターンが示されています。特定の偏光(たとえばスリット長手方向と平行なもの)を使うと、表面プラズモンが強く励起され、ループ軌道による追加の干渉が際立つことがわかります。こうしたパターンの差を定量的に比較することで、三重スリットならではの“高次干渉”の存在が裏付けられました。/Credit:Omar S Magaña-Loaiza et al . Nature Communications (2016)
このカメラはとても高感度なので、1個ずつの光子がつくる微弱なパターンでもとらえることができます。
結果として、偏光が“ループ軌道を起こしやすい”状態だと、干渉パターンがこれまでの常識とは少し違う形になり、光が三本のスリットの近くを回り込むように進む経路が存在することをはっきり示すデータが得られました。
こうした観測結果は、一見すると「光が三つのスリットを同時に通っているうえに、さらにループを描いている」という不思議なイメージを与えます。
スリットAから出た光がスリットBへ回り込み、さらにまたスリットAへと“戻ってくる”ように見えるのは、量子力学や波動理論における「すべての経路が重ね合わさる」という性質と、スリット近傍の強い近接場が組み合わさることで起こると考えられます。
とはいえ、これは量子力学の基本法則であるボルン則を揺るがすわけではありません。
むしろ、スリットの周囲に存在する“近接場”の影響が従来よりもはっきり可視化されたことで、量子の世界を説明する枠組みが一層精密に確認されたといえるでしょう。
たとえば、ループ軌道の存在を数式上では取り入れていたとしても、その確率がごく小さかったために長らく見過ごされてきました。
しかし、表面プラズモンをうまく活用するというアプローチによって、その微小な寄与を増幅し、明確に観測できるようになったことが大きな前進です。
こうしたループ軌道の観測は、「単純な重ね合わせ」では理解しきれない光の振る舞いが、確かに量子力学のなかで説明できるという点を強調します。...