■世界各国・地域のCEOの50%が関税の影響を強く懸念しており、44%はすでに新たな調達先やサプライチェーンの見直しを進めている
■変革を推進する要因は依然として存在しており、57%が今後1年以内にM&Aを実施したいと考えている。一方、市場の不透明感が緩和されるまで見送る姿勢を示すCEOも少なくない
■CEOの55%が最近実施したM&Aから実質的な価値を得たと回答しており、こうした成果がM&Aへの意欲を支える要因となっている
■日本のCEOはM&Aへの慎重姿勢を見せつつも、ジョイントベンチャーや提携など多様な成長戦略を追求している
EYは、最新のM&Aに関する調査レポート「EYパルテノン CEO Outlook 調査」(以下、「本調査」)を発表しました。本調査は、世界のCEO 1,200人(日本70人)を対象に実施され、現状や将来に対する彼らの見解や楽観度を評価・分析しています。
本調査結果によると、CEOの98% (日本100%)が、今後12カ月間の業務運営や売上について、関税引き上げの影響が及ぶことを懸念しています。そのうちの50%(日本63%)は「非常に」または「極めて強い」懸念を示しています。貿易と関税に関する政策の変動に伴い、市場は不安定さが増しています。このような状況下では、投資判断が遅れる可能性も否定
...moreできません。しかし、他方で、M&Aを実行する合理的な根拠は依然として存在しており、CEOは不安定な状況下でも積極的に対応策を講じることで、自社への影響を最小限に抑え、競争力を維持したいと考えています。
日本企業の動向についてEY Japan ストラテジー・アンド・トランザクション リーダー 梅村 秀和は次のように述べています。
「今回の調査では、日本のCEO全員が今後12カ月以内に何らかのトランザクション(M&A、スピンオフ、IPOなどの戦略的取引)を計画していることが明らかになりました。一方で、M&Aへの関心は前回の69%から27%へと大きく低下しており、いわゆる“トランプ関税”の影響が不透明な中で、企業はいったん趨勢を見守る姿勢を取っています。
それでも、インドやアジア諸国のような内需主導型市場への投資意欲は依然として高く、ジョイントベンチャーや戦略的提携を模索する動きが活発です。また、75%のCEOがインフレを継続的な課題と捉え、ゼロベースでのコスト構造の見直しを進めるなど、レジリエントでサステナブルな経営体制の構築に注力しています」
実際、地政学、マクロ経済、貿易面などにおける不確実性は成長を阻害する最大のリスクであると指摘する回答者も多く(42%)、こうした懸念から、CEOの54%が計画していた投資を延期しています。一方で、グローバルな関係性の見直しなどを通じ、積極的に対応策を進めていることも明らかになっています。例えば、44%がサプライチェーンの再構築を検討しており、42%が関税対象となる原材料への依存を減らすために製品設計の革新を模索しています。また、39%が運用資産を別の国・地域に移転しています。
さらに、今回の調査で、現在の状況の複雑さが浮き彫りとなり、企業が最も注視している貿易関係が必ずしも地理的に近い国や、あるいは地域的に主要な相手国であるとは限らないことも明らかになりました。実際、中国のCEOの42%が米中間の関税・貿易摩擦を主要な懸念材料として挙げていますが、8%は米墨(アメリカ・メキシコ)関係により関心を示しています。本調査結果は、世界的な相互依存と関税問題への対応の難しさを浮き彫りにしています。特に、米国が導入を検討している関税に対して、他の主要経済国も反応しており、その難しさは一層際立っています。こうした状況は、今年4月2日に米国政府が貿易相手国に対し関税を課す方針を発表する以前にEYが予測した2025年のM&Aに対する非常にポジティブな見通しと相反するもののようにみえるかもしれません。しかし、この米国の発表後も、2025年第1四半期には前年同期比25%増の1兆米ドルのM&A取引が記録されています。本調査でも、57%が今後12カ月間以内にM&Aを実行したいと考えています。これは、技術導入や人材不足といった課題が変革を促す原動力となり、市場が落ち着くにつれてCEOが再びディールに戻ることを示唆しています。
EYパルテノンのGlobal Vice Chair であるAndrea Guerzoniは次のように述べています。
「現下の関税を巡る混乱がM&Aにどのような影響を与えるか判断するのは時期尚早です。CEOと経営陣は、現在、競争力を維持するために利用可能なさまざまな選択肢の活用に乗り出しています。歴史的にも、危機の初期段階でM&Aを実行することは、企業が価値を創出し、戦略的に有利な立場を築く上で有効であることが示されています。不確実性のパラドックスを受け入れるCEOは、慎重に計画を立て、それを果断に行動に移すことで、確信を持って自社の未来を形づくることができます。そうした取り組みが、企業を成功へと導きます。
そして、敏捷性と規律をバランスよく取り入れることができれば、企業はより強く、より回復力のある組織へと進化することができるでしょう」
M&Aは困難な時期にあっても変革を促進し価値をもたらす
一般的に、統合に伴う課題や文化の違い、過大評価されたシナジー効果などに関する報告をもとに、ディール後にどれだけの株主価値が見込まれるか予測されます。しかし、CEOの経験からすると、これらの課題が必ずしも株主価値の創出に影響を及ぼすわけではないようです。CEOの半数以上(55%)が、最近実施した買収によって、期待通りあるいは期待を超える価値を創出できたと述べており、価値を損なう結果であったと回答したCEOはわずか2%でした。
多くのCEOにとって現在の最優先課題はコスト削減であり、AI投資計画は不透明
概して、世界のCEOは、これまで実施した人工知能(AI)導入の取り組みで一貫した成果を得られていないと感じています。そのため、不安定な時代にあっては、AIの導入があまり進まない可能性があります。
本調査によると、CEOの36%が、AI導入によってポジティブな成果を得られたとし、この技術への投資を拡大することを計画していると回答しました。一方で25%はAI導入の効果について「明確な成果を得られなかった」あるいは「期待外れであった」という理由から、AI投資の縮小または再検討を進めるとしています。
こうした状況は、企業のAI導入に対して相反する課題の板挟みとなるプレッシャーを生んでいます。CEOは、現在の不安定な世界情勢に慎重に対応する必要がある一方で、AIの導入を加速させ、AIを活用した業務に不可欠なスキルの向上や専門人材の採用という継続的な課題にも取り組まなければならず、両立の難しさに苦慮しています。半数近いCEO(42%)が、運営効率の向上やコスト削減を通じて追加経費を自社内で吸収しようと考えています。これは、CEOの多くが、地政学的リスクが落ち着くまで、技術投資を見合わせる可能性があることを示唆しています。さらに、コスト管理の重要性が増す中で、企業が新たに、そして今後ますます注目する課題としてインフレへの対応が浮上しています。CEOの71%が、インフレを継続的な課題として挙げ、今後1年間の必須対応事項に位置付けています。今後、多くのCEOが、コスト上昇の影響を軽減する対策や効率化の機会を模索していくと考えられます。
本調査のすべての内容は、以下のサイトでご覧いただけます:
EYパルテノン CEO Outlook 調査(2025年5月期)
https://www.ey.com/ja_jp/ceo/ceo-outlook-global-report
※本ニュースリリースは、2025 年5月5日(現地時間)にEYが発表したニュースリリースを翻訳したものです。英語の原文と翻訳内容に相違がある場合には原文が優先します。
英語版ニュースリリース:
https://www.ey.com/en_gl/newsroom/2025/05/ceos-grapple-with-trade-and-tariff-uncertainty-but-imperatives-for-de...
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