100年続いている企業は、ずっと同じことをしているわけではなく、常に「革新」を続けているのです。メルマガ『『倒産危機は自力で乗り越えられる!』 by 吉田猫次郎』の著者である吉田さんは、そんな企業のなかでも山本山とアメックス、3Mに注目し、創業から今までの歴史について紹介しています。
100年企業は、100年間同じことをしているわけではない
前にブログだったかこのメルマガだったか忘れましたが、私は「山本山」と”American Express”のエピソードを書いたことがありました。
山本山は海苔を製造している会社ですが、戦前はお茶の製造のみでした。創業は1690年。実に330年以上の歴史があります。
江戸で開業し、5代目、6代目のときに「玉露」を生み出したのは有名ですね。江戸時代、明治時代、大正時代まではお茶一筋でしたが、昭和22年、もうひとつの看板商品として、海苔の取扱いを開始しました。その後は海外への営業展開も開始し、今なお革新を続けています。
American Expressは、今ではクレジットカード会社として有名ですが、この社名を日本語に直訳すると、「アメリカ急送」とか、運輸系の名前になります。(それでも社名を変更しないことに、なんというか、プライドのようなものを感じます)
以下、AMEXと略しますが、もともとAMEXは、1850年、アメリカ西海岸のゴールドラッシュにおいて
...more、運送会社を創業したのがはじまりでした。それも、金塊そのもの(モノ)にとどまらず、東部から西部へ「モノ」も「ヒト」も運ぶことに目をつけ、これが当たったのです。
革新はこれだけにとどまりません。運ぶスピードや、安全性なども追求し、今でこそ当たり前になった「カネを安全に運ぶ」「ヒトをより速く運ぶ」などを実現させました。1882年には郵便為替なども開始し、1891年にはトラベラーズチェックも開始。これにより、「運送業」から「金融業」「旅行業」への展開も急速に進んでいきました。そして1958年にはクレジットカード業も開始し、現在に至っています。
すごいですね。山本山はお茶屋さんから海苔屋さんへ。AMEXは運送会社から金融会社へ。
そういえば先週、FMラジオ(J-WAVE)を寝ながら聴いていたら、「3M」の歴史について、面白い話を聴くことができました。3Mもまた、変化に満ちたすごい会社でした。
3Mの社名の由来は「ミネソタ・マイニング・マニュファクチャリング」 だそうです。3つの頭文字Mから、3Mと名付けたそうです。
「ミネソタ・マインング・マニュファクチャリング」を直訳すると、ミネソタ州採掘工業とでも言いましょうか、実際、1902年の創業時には、鉱山ビジネスから開始したそうです。しかし、良質な鉱物が採れず、業績は低迷。質の低い鉱物(アルミナやシリカが混じった雑鉱物)を、どう付加価値をつけて売ろうかと頭を悩ませること10数年、なかなか名案は浮かばず、苦戦していたそうです。
ですが、苦しみながら革新が始まります。
1914年には、この良質とはいえない鉱物をサンドペーパー(紙やすり)として販売することを思いつき、黒字化に成功。1919年には耐水研磨剤を開発してヒット商品化。
こうして、鉱山ビジネスから大きく変化し、紙やすり、研磨剤、マスキングテープ、セロハンテープ、道路標識用反射シートなどを生み出し、テープやシート類の新分野において快進撃が始まりました。
1960年代からはスコッチ・メンディングテープ、サージカルテープなどがヒットし、ヘルスケアや文具の世界にも進出。(ポストイットなども3Mですね)
それでも、会社名は3M(ミネソタ・マイニング・マニュファクチャリング)のままなのがなんとも素敵ですね。
おそらくですが、3社とも、経営環境の変化に応じて商品やサービスを大きく変えてきたが、経営理念や、社訓・社是のようなものは、あまり変えてこなかったのかもしれません。
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