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当初の予定より約1年遅れの2030年秋頃の開業を目指し、整備計画が進む大阪IR計画。反対の声も多く聞かれるカジノを含むIR建設は、推進派の主張通り地域に活力をもたらすことになるのでしょうか。今回のメルマガ『神樹兵輔の衰退ニッポンの暗黒地図──政治・経済・社会・マネー・投資の闇をえぐる!』では投資コンサルタント&マネーアナリストの神樹さんが、「今すぐ中止すべき」としてその理由を解説。計画を強力に進める維新の会の暴走を止めることこそが必要との持論を展開しています。
もはや「日本破壊の会」。今すぐ止めるべき維新の会のカジノ計画
当初は、カジノだけが、やたらとクローズアップされていたのですが、さまざまな議論を経るうちに、「カジノを含む統合型リゾート施設」という構想に落ち着いたという顛末だったのです。
カジノで海外からの富裕層の観光客を呼び込み収益を上げるとともに、国際会議場や展示施設といった「MICE施設」を中核として、ホテルやショッピングモール、レストラン、アミューズメント施設、劇場、映画館、スポーツ施設、温浴施設などを一体的に構成した複合観光集客施設が、「IR」というわけでした。
ちなみに「MICE施設」とは、Meeting(会議・研修・セミナー)、Incentive tour(報奨・招待旅行)、Convention(各種学会、大会、国際会議)、Exhibition(展示会)の頭文字を
...moreとった造語です。
参加者が多いため、一般の観光旅行に比べて消費額も大きくなることが期待されるといいます。
日本でも米国のラスベガスやマカオ、シンガポールのような集客施設を作って、国際観光の推進に役立てたい──というわけなのです(世界では140以上の国、地域でカジノそのものは解禁されており、先進7か国のG7でカジノが非合法なのは日本だけです)。
しかし、この「統合型リゾート」ですが、なぜ、つねに一緒にカジノがくっついてくるのか──ということが、議論を大きく左右してきました。
それもそうです。日本にはすでに公営ギャンブル(競馬・競輪・競艇)があるうえ、民営ギャンブルのパチンコまであります。
また、近年ではオンライン・カジノゲームも盛んです(日本から接続してオンライン・カジノを行うと賭博罪になり、50万円以下の罰金もしくは科料となります。また常習者は3年以下の懲役となります。日本では発覚しづらいせいか少ないものの、それでも毎年十数人が検挙されています)。
ただでさえ、ギャンブル依存症にかかり、借金苦に陥る人が多くいるのに、ブラックジャックだのポーカーだのといったカードゲームや、ルーレットなどのテーブルゲームにまで博打の種類を増やし、新たな射幸心を煽る必要性など、どこにあるのか──という懸念と反発の声を呼び起こしてきたのでした。
また、別の言い方をすれば、近年海外のカジノには、ものすごく多く備わっている数字やマーク合わせのスロットマシンなどは、すでに日本のパチンコ店でもお馴染みのマシンであり、パチンコをさらに普及させてどうする──といった声までを惹起させたわけです。
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「カジノ」は呼び水にすぎないという理屈も横行!
統合型リゾート施設には必ず「カジノ」を併設させる──というのには、それなりの理由がありました。
カジノが上げる収益で、全体の施設の整備・運営を賄うためでもあるからです。
たとえば、カジノ成功のお手本とされるシンガポールですが、独立・建国の父と称される故リー・クアンユー元首相は、開発独裁で国を繁栄に導いてきたものの、カジノについてはずっと反対していました。
シンガポールでカジノが解禁されたのは、このリー・クワンユー首相が事実上の政界引退を果たしたあとの2005年のことであり、実際にカジノがオープンしたのは2010年でした(統合型リゾート施設「マリーナ・ベイ・サンズ」、「リゾート・ワールド・セントーサ」の2つが開業)。
シンガポールは、もともとアジアの中核的な国際都市としての自負もあってか、経済的、観光的な地位の低下にはことさら敏感でした。
とりわけ、すでに1930年代からカジノを中心とした観光政策をとり続けてきたマカオ(ポルトガル領から1999年中国返還)が2000年代に入ってから急激に隆盛していくのに、大いに刺激されたともいえるでしょう。
実際、マカオは、中国返還後の本土からの中国人たちの渡航の増加もあって、カジノ収入においては、2006年に米国のラスベガスを抜いて世界一にまで躍り出ています(現在は中国のゼロコロナ政策のあおりを受けてボロボロ状態です)。
そこで、シンガポールもマカオを見習ってカジノを解禁し、観光事業をさらに強化するべく、カジノ解禁・実施へと大きく舵を切ったのでした。
その結果、2つの統合型リゾート施設の開業後の2010年には、シンガポールへの海外からの来訪者数がいきなり前年比20%アップして1160万人となり、その後2019年には1910万人にまで伸びていきます。
また観光収入は、カジノ開業前の2009年の90億ドルが、カジノ開業後の2010年には140億ドルに急伸し、2018年には200億ドルに達し、GDPの6%を占めるまでに到ったのでした。
カジノは統合型リゾート施設全体の3%を占めるにすぎませんが、リゾート施設全体の収益の75~80%を占めているのです。
そして、カジノが占める収益割合は、リゾート全体の成功によって年々下がるともいわれています。
たとえば、ラスベガスは当初全体の7割を占めていたカジノ収益の比率が、今では地域全体の繁栄で、3割程度にまで減っています。
統合型リゾート全体が成功すると、カジノからの税収アップや、国全体の観光収入のアップがもたらされ、国全体を潤すまでの規模で収益が向上する──というわけなのです(シンガポールのGDPは、2010年から2022年までの13年間で2倍に成長しました)。
ゆえに、統合型リゾート施設においては、当初からのカジノの設置が、施設全体を牽引するエンジン役ともなり、ひいては国家収入を増大させるほどの効果がある──というわけなのです
これが、カジノを統合型リゾート施設において、スタート時点からけっして外せない理由ともなっているのでした。
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日本でのIR事業候補地は事実上「大阪」ひとつになった!
さて、日本での「カジノを含む統合型リゾート施設」の行く末ですが、その後どうなってきたのでしょうか。
IR法では、日本において3カ所のみのカジノ開業が認められることになっています。
そこに名乗りを上げた自治体は、東京・台場、愛知・常滑、大阪・夢洲、和歌山・マリーナシティ、長崎・佐世保ハウステンボス、北海道・苫小牧、千葉・幕張、神奈川・山下ふ頭……などがありました。
しかし、コロナ禍もあって東京と愛知は誘致検討自体を中断、その他の自治体は議会の反対やら、さまざまな諸事情で誘致申請自体を見送り、事実上の撤退と見込まれているのです。
残ったのは、アジアに近いというメリットのある九州の「長崎」と、関西国際空港に近く、2025年の万博とセットで絡められた「大阪府・市」の2地域が区域整備申請を行ったのでした。
そしてその結果、最終的に2023年4月に「大阪府・大阪市」が、国から唯一正式に「カジノを含む統合型リゾート施設」としての設置の認定が下ったのでした。
しかし、ここにきて大阪府・市は大きな問題を抱え込んでいます。その実施場所がヤバイからに他なりません。
2025年万博とIR整備を行う予定地である「夢洲(ゆめしま)」そのものの問題が大きくせり出してきたからです。
まず万博のほうですが、参加国からのパビリオン建設の手続きが大幅に遅れ、はたして2025年に万博を開催できるのか──という瀬戸際問題が生じているとともに、そもそもゴミ捨て場だった夢洲への交通アクセスの悪さ(埋め立てた島・夢洲に通じるのは「夢洲大橋」と「夢咲トンネル」の2ルートのみ)と地盤の悪さ(液状化懸念や土壌汚染)がネックになっており、解決が見通せなくなってきているのです。
そして、問題はそれだけではありませんでした。
夢洲の開発そのものにあたっての様々な開発費に関わる疑惑までがクローズアップされるに至っているからです。
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