来年のミラノ・コルティナ冬季オリンピック・パラリンピックの組織委員会は15日、大会で選手に授与するメダルのデザインを発表し、半円を二つ合わせた形のシンプルなものとなった。選手と支える人々との融合を象徴しており、中央に五輪マークやパラのシンボルマーク「スリーアギトス」を配置した。裏側には大会エンブレ
まるで幽霊を捕まえるような科学的偉業が達成されました。
スイスのスイス連邦材料科学技術研究所(Empa)を中心とした国際研究チームによって、これまで理論上でのみ予測されていた特殊な構造が再現され、さらにその中に現れる幻の粒子「スピノン」の定在波パターンを初めて「可視化」することに成功しました。
この粒子は電子が持つ電荷と磁気の両方のうち磁気的な性質(スピン)だけが切り離され、まるで磁気だけを持つ幽霊のように物質内を動き回るという、極めて奇妙な特徴を持っており「スピンの幽霊」の異名を持ちます。
今回の発見は、単なる理論上の現象を超えて、量子コンピュータや新しい電子デバイスなど、最先端技術への応用の可能性を大きく広げる成果です。
「スピノン」がもたらす未来のテクノロジーとは一体どのようなものなのでしょうか?
研究内容の詳細は2025年3月14日に『Nature Materials』にて発表されました。
目次
磁石の謎から量子の幽霊へ「スピンの幽霊」を観測!量子物理学の100年の予言が的中「幽霊粒子」の観測は量子テクノロジーをどう変えるか?
磁石の謎から量子の幽霊へ
磁石の謎から量子の幽霊へ / Credit:川勝康弘
子どもの頃、磁石で遊んだ経験を持つ人は多いでしょう。
砂鉄を引きつけたり、磁石同士をくっつけたり反発させたり。
そんな身近な磁石ですが、その仕組みを科学的に理解する
...more道のりは決して平坦ではありませんでした。
古代から磁石(天然の磁鉄鉱)の存在は知られていましたが、磁石が「なぜ」磁力を持つのか、その理由は長い間謎に包まれていました。
11世紀の中国では羅針盤として実用化されましたが、その磁力の根源は古典物理学では解明できず、20世紀初頭に登場した量子力学を待つ必要がありました。
量子力学が登場した1920年代、磁石の正体が徐々に明らかになっていきました。
その正体とは、物質の中にある電子が持つ「スピン」というミクロな磁石としての性質だったのです。
電子のスピンは非常に小さな磁石のように働き、そのスピン同士が一定の方向にそろって整然と並ぶと、物質全体が磁石として振る舞います。
一方、スピンがバラバラの方向を向いてしまうと、それぞれのスピンが生み出す磁力は打ち消しあい、磁石としての性質は失われてしまいます。
ある意味で、電子は電荷を運ぶ基本粒子であると同時に極小磁石でもあったわけです。
ところが、このスピンを詳しく調べる中で、科学者たちはさらに奇妙な予言に直面します。
電子1個のスピンの大きさは「1/2」という特定の値で決まっているのですが、通常、物質の中で一つの電子のスピンを反転させる(方向を逆向きにする)と、物質全体のスピンは「1」だけ変化します。
電子1つが動いたのに、物質全体では電子1つ分の「1/2」ではなく「1」だけスピンが変化するという、一見奇妙なことが起きていたのです。
これが量子磁石の世界の常識でした。
しかし理論物理学者たちは、特定の特殊な状況(例えば一次元の鎖のような構造)では、この常識が破られる可能性があることを指摘しました。
通常は物質のスピンが整数でしか変化しないのに、ある条件の下では「1/2」という半端な量だけスピンが変化することが理論上可能だと示されたのです。
この半端なスピンを物理学者たちは『スピノン』と名付けました。
このスピノンの性質もなかなかに異様なものです。
スピノンは通常の電子と異なり電子が持つ電荷(電気的性質)は全く持たず、磁力に関わるスピンだけを持つため、物質の中を自由に動き回っても電気的には検出できないという、まるで『スピンの幽霊』のような粒子です。
理論的には予測されていたものの、スピノンは特殊な性質ゆえに、実験でその姿を直接捉えることは非常に難しく、長年にわたり『捉えどころのない謎の粒子』とされてきました。
実際にスピノンを観測しようと試みても、従来の実験手法では大きな問題がありました。
通常の物質で電子のスピンをひっくり返すと、安定したスピンのペア構造が崩れ、常に二つのスピノンがペアで同時に生じてしまいます。
そのため、一つだけ孤立したスピノンを取り出して観察することができなかったのです。
この状況から、「スピノンは必ずペアで現れ、単独では存在しない」と、実験物理学者たちは長年考えてきました。
こうした背景のもと、研究者たちは、理論的に予言されたこの不思議な粒子、スピノンを実験的に直接観測し、その謎を解明することに挑みました。
もし実験で孤立したスピノンを直接見ることができれば、量子力学が予測した不可思議な現象を裏付けることになり、さらには量子磁石にまつわる新たな物理現象の発見へと繋がるかもしれません。
そこで今回研究者たちは、『スピンの幽霊』を捕まえる試みに挑むことになりました。
研究者たちはこれまで誰も成功できなかった『スピンの幽霊』を、いったいどのような方法で捕まえたのでしょうか?
「スピンの幽霊」を観測!量子物理学の100年の予言が的中
「スピンの幽霊」を観測!量子物理学の100年の予言が的中 / スピンの幽霊を顕現させるための檻として機能する鎖構造/図(E、F、G)に示されているのは、オリンピセンと呼ばれる特殊なナノグラフェン分子を使って作られた人工的な「スピン鎖」の合成プロセスです。まず最初(E)、研究者たちはオリンピセン分子同士を化学的に連結して鎖状に並べました。その後(F)、この鎖状の分子を水素で処理(水素化)して安定化させ、スピンの性質が一時的に抑えられました。そして最後のステップ(G)では、特殊な顕微鏡の針先(STMチップ)を用いて選択的に水素を取り除くことで、再びスピンを活性化させました。これにより、スピノンという特殊な粒子を観察するための理想的な量子磁性鎖が完成したのです。・Credit:Spin excitations in nanographene-based antiferromagnetic spin-1/2 Heisenberg chains
どのようにして「スピンの幽霊」を捕らえたのか?
鍵となったのはナノグラフェン分子と呼ばれる特殊な分子です。
ナノグラフェンとは、炭素原子が蜂の巣状につながったグラフェンという物質を、ナノメートルサイズに切り出したものです。
このナノグラフェンはその形状によって様々な磁気的・電子的な性質を示します。
研究で用いられた「オリンピセン」という分子は、5つのベンゼン環が環状につながった構造をしていて、オリンピックの五輪マークを連想させる形状をしています。
このオリンピセンは1つの電子が対になっていない「非対電子スピン(S=1/2)」を持つ磁性分子で、スピノンを生み出す理論モデルに理想的な特徴を備えていました。
研究者たちはまず、このオリンピセンを1つ1つ丁寧に結びつけることで、人工的な「スピンの鎖」を作り上げました。
オリンピセン同士をまるでレゴブロックのようにつなげて並べていくと、それぞれのオリンピセンが持つ小さなスピン同士が互いに影響し合うことで、理論上予測されていたスピノンが出現する構造(1次元の反強磁性スピン鎖:ハイゼンベルク鎖)が作り出されます。
さらに研究者たちは、この鎖を長さの異なるいくつものバリエーション(5個や7個、最長では50個のスピン)で用意し詳細に観測しました。
そのために使われたのは、「走査型トンネル顕微鏡(STM)」という特殊な顕微鏡です。
走査型トンネル顕微鏡は非常に鋭い針先を物質に近づけ、わずかな電圧をかけて電流が流れる様子を調べることで、物質のミクロな性質を探ることができます。
研究チームはこの走査型トンネル顕微鏡を使ってオリンピセン鎖の一つひとつにごく小さな電圧を与え鎖の各位置における電流の強さを非常に精密にマッピングしました。
すると特に「奇数個のスピンを持つ鎖」(5個や7個など)では、電流の強さが交互に強弱の山谷パターンを描いていることが確認されました。
これはまさに理論が予測した「単一スピノンの定在波」と呼ばれるパターンに一致します。
【コラム】定在波パターンを可視化することがなぜスピノンを観測したことになるのか?
スピノンという不思議な粒子を実験で確認したとき、研究者たちは「定在波パターン」を画像として捉えました。でも、なぜこの「波」のような模様を撮影できたことが、「スピノンそのものを観察できた」ことになるのでしょうか?
まず、「定在波」というのは、文字通り「その場で止まっている波」のことを指します。水面に石を投げると、波は遠くまで広がっていきますが、もし池の両端が壁で囲まれていれば、波は進んだ...
フィギュアスケートのアイスショー「フレンズ・オン・アイス2025」(8月30、31日・KOSE新横浜スケートセンター)で披露されるグループナンバーの一部が15日、発表された。ショーの座長を務める06年トリノ冬季オリンピック金メダルの荒川静香さんや、プロアイスダンサーの「かなだい」こと村元哉中さん、
カーリング女子ロコ・ソラーレで22年北京オリンピック(五輪)銀メダルの吉田知那美(33)が15日までに自身のインスタグラムを更新。“走り”への意外な考えを示し、鍛え抜かれた腹筋を披露した。 黒のベストとスパッツでランニング前後とみられる…
東京都スポーツ推進大使ゆりーと
都内に氷上スポーツの新たな拠点となる「東京辰巳アイスアリーナ」がオープンします。都立施設として初めてのアイスリンク。スケートやアイスホッケー、カーリング、パラアイスホッケー、車いすカーリングが季節を問わず一年中ご利用いただけます。
開業を記念して、華やかな開業記念イベントを開催します。様々な氷上スポーツを観て、体験し、楽しめるプログラムをご用意しますので、皆様のご来場をお待ちしております。初心者から経験者まで、障害の有無にかかわらずどなたでも参加できます。7月18日(金曜日)から8月17日(日曜日)まで開業記念イベントの各種プログラムの事前申込みを受け付けています。
※当日の取材については、8月下旬にお知らせいたします。
開業記念イベント概要
日時
令和7年9月6日(土曜日)11時00分~17時00分(予定)
場所
東京辰巳アイスアリーナ(外部サイトへリンク)
(江東区辰巳二丁目8番10号/東京メトロ有楽町線「辰巳」駅 徒歩10分)
主なプログラム
※観覧・体験無料
アイスダンス、シンクロナイズドスケーティングのオープニングパフォーマンス
オリンピアンによるトークセッション
フィギュアスケート、アイスホッケーのエキシビション、デモンストレーション
スケート、アイスホッケー、カーリングの体験会 など
スペ
...moreシャルゲスト
(C)Kenta Aminaka
荒川静香さん
2006トリノオリンピック金メダリスト
(C)Sunao Ohmori(SECESSION)
高橋大輔さん
2010バンクーバーオリンピック銅メダリスト
(C)Yumiko Inoue
村元哉中さん
2018平昌オリンピック出場
オープニングパフォーマンス
1)アイスダンス
村元哉中さん&高橋大輔さんによる華麗な氷上演技で開業を祝います。
(C)Shutterz
2)シンクロナイズドスケーティング
たくさんのスケーターが氷上で一糸乱れぬ動きを披露します。
滑らかなフォーメンションチェンジやスピンを完璧に揃えて
演じる姿が見どころです。
オープニングセレモニー
様々な氷上スポーツのアスリートや東京2020大会公式マスコットのミライトワ・ソメイティが登場し華々しくセレモニーを執り行います。
エキシビション/デモンストレーション
1)フィギュアスケート
東京にゆかりのあるスケーターが高い表現力と流れるようなスケーティングを披露します。
2)アイスホッケー
スピードとパワーの氷上バトル!現役選手との体験会や迫力のデモンストレーションを通じてアイスホッケーの醍醐味を存分に味わえます。パラアイスホッケーも体験可能です。
トークセッション
荒川静香さん、高橋大輔さん、村元哉中さんによるオリンピアントーク。競技人生で得た学びや次世代アスリートへのメッセージ、ミラノ・コルティナ2026冬季オリンピックへの期待など存分に語っていただきます。
氷上スポーツ体験
初心者歓迎!スケート、アイスホッケー、カーリング、パラアイスホッケー、車いすカーリングまで、アスリートと一緒に“初すべり”。ファミリーで楽しめる、特別な体験が待っています。
JIHF Photo
写真提供:JWCA
一般滑走
新しいリンクで、気軽に“初すべり”。サブリンクでは、スケート靴の無料レンタル付きで一般滑走が可能。友達や家族と一緒に夏の氷上体験をお楽しみいただけます。
タイムテーブル
時間
メインリンク
観客席
サブリンク
10時00分
10時00分 開場
10時30分
11時00分
11時00分~11時45分
オープニングパフォーマンス/ セレモニー
観覧
11時30分
12時00分
12時00分~12時30分
スケートエキシビション/ トークセッション
自由観覧
12時30分
12時30分~14時00分
スケート体験会
13時00分
13時00分~ 15時00分
カーリング体験会
13時30分
14時00分
14時00分~16時30分
アイスホッケー体験会/ デモンストレーション
14時30分
15時00分
15時00分~ 17時00分
一般無料滑走
15時30分
16時00分
16時30分
17時00分
17時00分 終了
事前申込方法
申込みが必要なプログラム(抽選・無料)
オープニングパフォーマンス/セレモニー観覧(11時00分~11時45分)
氷上スポーツ体験(12時30分~)
一般無料滑走(15時00分~)
※詳細は専用ホームページ(外部サイトへリンク)でご確認ください。
募集期間
7月18日(金曜日)10時00分から8月17日(日曜日)17時00分まで
申込方法
専用ホームページ(外部サイトへリンク)からお申込みください。
専用ホームページ
抽選結果
当選した方には、8月24日(日曜日)までにEメールにてご連絡します。
東京辰巳アイスアリーナの概要
本施設は、「水泳の聖地」と呼ばれ、東京2020大会では水球の会場として利用された「東京辰巳国際水泳場」をアイスリンクとして改修した施設で、元々のプールの場所を活かし、2面リンクを実現しています。メインリンクは国際規格にも対応しており、様々な大会の開催も可能です。また、サブリンクにはカーリングシートを常設しています。
競技力向上の場として活用するとともに、都民が気軽に利用できる施設として、氷上スポーツの裾野を広げ、広く親しまれる施設を目指していきます。
改修前
改修後
施設概要
メインリンク
60メートル×30メートル(国際規格)
メインアリーナ
サブリンク
47メートル×17メートル
サブアリーナ
観客席
固定席
約3,600席(2階席:約1,500席、3階席:約 2,100席)
仮設席
約1,400席(1階)
利用可能競技
フィギュアスケート、アイスホッケー、ショートトラック、カーリング、パラアイスホッケー、車いすカーリング
利用料金
一般利用
800円(小中学生)~
※スケート靴レンタル400円
専用利用
37,500円~(メインリンク1.5時間利用)
詳細はホームページ(外部サイトへリンク)をご覧ください。
本事業は、「推しスポーツProject」の一環です。
「推しスポーツProject」とは、2025年に東京で開催される世界陸上・デフリンピックの開催を機に都民が様々なスポーツに親しむ機会を創出し、スポーツの魅力に触れる中で「都民一人ひとりの好みや特性に合ったスポーツの楽しさ(推しスポーツ)」を発見してもらえるよう支援する取組です。
本件は、「2050東京戦略」を推進する取組です。
戦略16 スポーツ「スポーツでにぎわう・スポーツを支える」...