果物大手のドール(東京都中央区)が4月、規格外のバナナを加工した「バナナ炭(すみ)」の販売を始めた。廃棄されるバナナをゼロにする取り組みの一環だが、見た目のインパクトに加え、炭としての扱いやすさや他製品への活用の幅広さから注目を集めている。
卵子が精子を「食べる」――にわかには信じ難いこのフレーズが、哺乳類の受精における実際の現象であることが明らかになりました。
静岡大学と福島県立医科大学の共同研究チームが、最先端の顕微鏡技術と遺伝子改変マウスを駆使して受精の瞬間をとらえ、卵子が精子をまるで貪食(どんしょく、食作用)するかのように取り込む新しい受精様式「SEAL」を発見したのです。
従来「融合」としか捉えられてこなかった受精像を塗り替える驚きの発見に、研究者たちも「生命の始まり」の未知の一面に興奮しています。
いったい卵子はどのようにして精子をのみ込み、新たな命を紡ぐのでしょうか?
研究内容の詳細は2025年04月22日に『Cell Reports』にて発表され同誌の表紙も飾りました。
目次
卵子と精子の間にある食う食われるの関係卵子は「捕食者」のような動きがあった「食べる受精」が塗り替える生殖の常識
卵子と精子の間にある食う食われるの関係
卵子と精子の間にある食う食われるの関係 / Credit:clip studio . 川勝康弘
哺乳類における受精とは、オスの生殖細胞である精子とメスの生殖細胞である卵子が出会い、互いの細胞膜を融合させて一つの受精卵を作り出す現象です。
言葉で聞くと「精子が卵子の中に入り込むだけ」とイメージしがちですが、実際には多種多様な分子が時系列に連携し合う、きわめて精巧なプロセスが進行
...more しています。
その中でも特に重要とされてきたのが、精子に存在するタンパク質「IZUMO1(イズモワン)」と、卵子側にある受容体「JUNO(ジュノ)」です。
実はこの2つの分子はそれぞれ、“縁結びの神様”として知られる出雲大社から名付けられたIZUMO1と、“結婚と出産を司る女神”の名を持つJUNOという、まさに“縁結びの象徴”ともいえる由緒正しき名前を与えられています。
2005年に井上直和教授らがIZUMO1を発見した当初から、「精子と卵子の融合には鍵と鍵穴の関係となる分子がある」という見方がされており、IZUMO1とJUNOががっちり組み合うことで受精が引き起こされると考えられていました。
ところが、さらに細かく調べてみると、受精にはIZUMO1とJUNO以外にも必須の膜タンパク質が何種類も存在することが分かりました。
たとえば卵子側には「CD9」、精子側には「SPACA6」「TMEM95」「FIMP」「TMEM81」「DCST1」「DCST2」といった面々が並び、いずれも配偶子(精子と卵子)どうしの融合に欠かせない要素です。
しかし、名前が分かったところで、それぞれがいつ、どのタイミングで、どのように働いているのかが長らく謎でした。受精はわずかな時間で完了してしまい、しかも卵子は不透明な大きな細胞ですから、中で何が起こっているのかをリアルタイムで見るのは至難の業だったのです。
いわば“ブラックボックス”の中で、どうやって精子と卵子が協力し合い、細胞膜を融合させているのか――多くの研究者がその謎に挑戦してきたものの、細部まで解明するのは極めて難しいテーマでした。
そこで今回研究者たちは多数の遺伝子改変マウス(ノックアウトマウス)を用いて精子・卵子の融合過程を詳細に解析し、受精直前の卵子で何が起きているのかを調べました
卵子は「捕食者」のような動きがあった
卵子は「捕食者」としての動きがある / 卵子に精子が付着した直後の電子顕微鏡画像。 卵子表面には無数の微絨毛(青緑色で着色)が存在し、精子頭部(クリーム色)に取り付いて束のように集合、「オーサイト・テンタクル(卵母細胞の触手)」と呼ばれる平べったい突起状の構造を形成している。 この後、卵子が精子を取り込む現象「SEAL」へと移行し、最終的に精子は卵子内部に飲み込まれる形で融合します。/Credit:卵子は精子を食べて受精を成立させる -食作用に類似する受精様式を発見-
研究グループはまず高精度の観察装置を用いて、卵子と精子が“出会った瞬間”の細胞表面を詳しく調べました。
すると、精子が卵子に触れた直後、卵子の表面に林立する無数の細かい突起(微絨毛)が、まるで「触手」のように精子の頭部へと向かって集まり始める映像が捉えられたのです。
研究者たちは、この卵子側の微絨毛が突き出して精子を取り囲む現象を「オーサイト・テンタクル(直訳で卵母細胞の触手という意味)」と名付けました。
顕微鏡の映像をよく見ると、細かい毛のようだった微絨毛がぐいっと伸びながら膜を広げ、精子をすっぽり包み込んでいく様子がはっきりと確認できます。
さらに解析を進めると、オーサイトテンタクルが形成された後には、卵子が精子を抱え込むように細胞質の内側へ取り込む“第二段階”の動きが起こっていることがわかりました。
研究チームはこの動きを「SEAL」と名付けています。
SEALとは「Sperm Engulfment Activated by IZUMO1–JUNO Linkage」の略称で、直訳すると「IZUMO1とJUNOの結合によって引き起こされる精子の吞み込み(抱え込み)」という意味合いです。
実際に観察された卵子の動きは、まるで免疫細胞が細菌を“パクッ”と取り込むような“食作用”を連想させるもので、研究者たちも「卵子が精子をまるでエサのように捕らえている」と評するほどでした。
言い換えれば、私たちが普通「受精」と聞いて思い浮かべる“二つの細胞が合体する”図式だけではなく、卵子自身が能動的に“精子を呑み込む”という意外なプロセスが進行していたのです。
では、何が合図となって卵子はこの“捕食”にも似た行動を起こすのでしょうか。
詳細な実験から見えてきたのは、先に挙げた7種類の配偶子融合因子のうち、特に精子側の6種(SPACA6、TMEM95、FIMP、TMEM81、DCST1、DCST2)が協力し合って初めて、このSEALという第二段階の取り込み反応が完成する、という事実でした。
一方、第一段階であるオーサイトテンタクルの形成には、精子側の「IZUMO1」と卵子側の「JUNO」、そして卵子の微絨毛形成を支える「CD9」がそれぞれ不可欠であることもわかっています。
つまり、受精前後には大きく分けて二つのステップが存在するのです。
まず(1) IZUMO1とJUNOが結合し、CD9によって支えられる卵子の微絨毛が触手のように精子にまとわりつく“オーサイトテンタクル”ステップがあり、その後(2) 残りの融合因子群が一斉に働いて精子を抱え込み、卵子内に呑み込む“SEAL”ステップが続く――という二段階構成と考えられます。
こうした一連の現象を可視化し、さらにどの分子がいつ・どのように働いているかを検証するためには、多数の遺伝子改変マウス(たとえばCD9を欠損させた卵子や、SPACA6やTMEM95を持たない精子など)を作り出し、あらゆるパターンで卵子と精子を交配させて観察するという、地道かつ大掛かりな実験が欠かせませんでした。
実際、CD9遺伝子を欠損した卵子は十分なオーサイトテンタクルを作れず、その結果、正常に受精できないことが示されています。
このように、各種タンパク質の役割をひとつずつ丁寧に検証していくことで、卵子と精子の接触から融合に至るダイナミックな動き――触手の形成と、いわば“丸呑み”とも呼べる取り込みの全容が明らかになったのです。
研究代表者のひとりである静岡大学農学部の齋藤貴子助教は、
「受精の瞬間を捉えるのは技術的にもタイミング的にも非常に難しく、特に卵子は中が透けて見えないので、どうやって精子を取り込み始めるのか詳しくわかりませんでした。今回の成果は、多数の変異マウスを用いた試行錯誤と撮影手法の改良の積み重ねから生まれたもので、新たな視点で受精を理解する大きな一歩になったと考えています」
と振り返っています。
こうした地道な研究の積み重ねが、“生殖の神秘”とも呼ばれる受精現象の新しい一面を照らし出し、卵子が受精相手である精子をまるで捕食するかのように取り込む――という想像を超えたドラマを解き明かしてくれたわけです。
「食べる受精」が塗り替える生殖の常識
「食べる受精」が塗り替える生殖の常識 / Credit:Canva
受精において卵子が精子を能動的に取り込むという発見は、従来の受精観を大きく刷新するものです。
これまで教科書的には、「精子と卵子が出会えば双方の細胞膜が融合して一体化する」と説明されてきました。
しかし実際には、卵子は待ち受けるだけではなく、自ら触手を伸ばして精子をつかみ取り、細胞ごと包み込んでいたのです。
この様子は、あたかも単細胞生物のアメー...
これからのAIの経済的インパクトを考えるための「タスクの哲学」試論|R. Maruyama※自分のための覚書的に書いておく文章です。出典や論拠を少しは集めて「論」の体裁にできればよかったのですが、ひとまず個人の所感ということで文章化を試みます。 2022年末にChatGPTの登場で幕を開けた「生成AIブーム」。津々浦々にその「すごさ」が知れ渡ったことで投資先行で発展してきた基盤モデルを軸とした技術だ...
記事のポイント
マースはAI活用で広告クリエイティブの質を改善し、広告費の無駄を削減した。
クリエイティブXなどのAIツールが、広告のガイドライン準拠や最適化を支援している。
マーケターは予算削減に対応し、広告効果の事前・事後検証を重視するようになった。
ブランドの予算がプレッシャーにさらされるなか、マーケターはあらゆる手を使ってキャンペーンの効率化を図っている。
そんななか、見過ごされがちな領域がひとつある。クリエイティブそのものだ。
カンター(Kantar)の調査によれば、クリエイティブの質は広告のインパクトの50%ほどを占め、リーチやフリークエンシー(提示頻度)調整よりも重要だ。
しかし、一貫した品質を保つことは容易ではない。グローバル広告主の場合、マーケティングチームやエージェンシーとの関係が多数の市場にまたがるため、ブランドのガイドラインを厳密に順守することが困難になりがちで、クリエイティブやそれに付随するペイドメディア支出が非効率になりやすい。
この点の改善を望むマーケターの多くが、サードパーティのAIソリューションに期待をかけるようになっている。たとえば、酒造メーカーのディアジオ(Diageo)、ニベア(Nivea)の親会社であるバイヤスドルフ(Beiersdorf)、日用消費財大手のマース(Mars)は、テック企業クリエイティブX(CreativeX
...more )と提携し、AIを利用した検証と分析により、グローバルマーケティング分野全体のクリエイティブアセットの最適化を行い、広告費の浪費削減に努めている。
マースの場合、クリエイティブXはブランドのペイドクリエイティブアセットのデータベースを構築し、個々の要素(背景、ロゴ、主となる製品のショットなど)にタグ付けを行った。その後、大規模言語モデル(LLM)を用いて訓練された「展開前」ツールが、このデータベース(30万以上のアセットと、マースの過去のブランドパフォーマンスデータで構成される)を利用して、新たなクリエイティブアセットがガイドラインに違反していないか、要素ごとに審査した。
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The post AI が広告のムダを可視化する グローバル広告運用の最適化とクリエイティブの再評価 appeared first on DIGIDAY[日本版].
2023年に37億米ドルと評価されたアジア太平洋地域のスマート水管理市場は変革期を迎えており、2032年には102.9億米ドルに達し、予測期間2024-2032年のCAGRは12.04%で拡大すると予測されている。この目覚しい成長は、この地域の都市開発、環境意識、デジタル革新の進化を裏付けるものである。このサンプルレポートの請求はこちら:- https://www.astuteanalytica.com/ja/request-sample/asia-pacific-smart-water-management-marketアジア太平洋地域は水不足と急速な都市化という2つの課題に取り組んでおり、スマート水管理は重要なソリューションとして浮上している。東京、ムンバイ、ジャカルタ、上海といった都市の中心部では人口が急激に増加しており、老朽化した水インフラへの圧力が高まっている。これに対抗するため、資源効率を高め、サービス提供を最適化するデジタルインテリジェント水道網を統合する都市が増えている。より深い経済レベルでは、日本や韓国のような先進国からインドやベトナムのような急速な発展途上国まで、この地域の多様な経済がインテリジェントな水システムの需要を促進している。この需要は、単に施設的なものだけでなく、住宅的なものにも及んでいる。地域全体で中産階級が増加し、持続可能性への意識が高まり、リアル
...more タイムの使用状況把握や節約インセンティブを提供するスマート水道メーターや家庭レベルの管理システムが受け入れられている。この進化の中心は、アジア太平洋地域を席巻している技術革命である。中国、韓国、日本の技術リーダーたちの強力な貢献により、IoT、AI、クラウドコンピューティングなどの技術が水道システムに組み込まれつつある。これらのイノベーションは、予知保全、漏水検知、自動報告をサポートし、従来のユーティリティを応答性の高いデータ駆動型のエコシステムに変えている。しかし、テクノロジーはパズルの一部に過ぎない。規制の枠組みもまた、市場の軌道を形成している。オーストラリアの都市水効率化プログラムやシンガポールのスマート水グリッドなど、政府による先進的な政策イニシアチブが、それを可能にする環境を作り出している。こうした政策には多くの場合、優遇措置や税制優遇措置、強制規格が設けられており、官民双方の参加を促している。将来が期待されるとはいえ、スマート水管理市場は課題に直面している。特に農村部や資金不足の地域では、高額な初期投資、旧来のインフラ、技術スキルの不足が普及の妨げとなる。とはいえ、こうした障壁は、官民パートナーシップ(PPP)や地域連合を通じて積極的に解決されつつある。協力モデルは、リソースの共有、知識の移転、共同イノベーションを促進し、ギャップを埋めて市場導入を加速している。さらに、アジア開発銀行(ADB)のような地域機関は、プロジェクトに資金を供給し、政策の調整を支援し、国境を越えた知識の普及を確保することで、触媒的な役割を果たしている。こうした機関の関与は、特にインフラ整備が遅れている市場において、財務リスクのバランスをとり、長期的なインパクトを増幅するために極めて重要である。結論として、アジア太平洋地域のスマート水管理市場は、単なる成長分野ではなく、テクノロジー、持続可能性、都市の回復力の重要な交差点である。都市がよりスマート化し、人々の環境意識が高まるにつれ、この市場はアジア太平洋地域の水の未来において決定的な役割を果たすようになり、スマートで持続可能かつスケーラブルな水ソリューションの新時代が到来しようとしている。全レポートを入手する:- https://www.astuteanalytica.com/ja/industry-report/asia-pacific-smart-water-management-marketアジア太平洋スマート水管理市場のトッププレーヤー● ABB Ltd.● Arad Group● General Electric Co.● Hitachi Ltd.● Honeywell International Inc.● Huawei Technologies Co. Ltd.● Siemens AG● Suez Group● TaKaDu Limited● i2O Water Ltd.● Itron Inc.● Schneider Electric SA● Sensus Inc. (Xylem Inc.)● Other Prominent Players市場セグメンテーションの概要:コンポーネント別● ソリューション● 水道メーター● サービス用途別● 住宅用● 商用利用● 産業用地域別● 中国● インド● 日本● 韓国● オーストラリアとニュージーランド● アセアン● 残りのアジア太平洋地域詳細サンプルレポートにアクセスする: - https://www.astuteanalytica.com/ja/request-sample/asia-pacific-smart-water-management-marketアステュート・アナリティカについてアステュート・アナリティカは、グローバルなアナリティクス・アドバイザリー企業として、短期間で確固たる名声を築き上げました。私たちは、さまざまな業種にまたがる非常に要求の厳しいクライアントのために、比類のない、綿密で、驚くほど正確な見積もりと予測を作成することに誇りを持っています。テクノロジー、ヘルスケア、化学、半導体、FMCGなど、幅広い分野のお客様にご満足いただき、リピートしていただいております。このような顧客は、世界中から来ています。複雑なビジネス環境、セグメントごとの既存・新興の可能性、技術構成、成長予測、さらには戦略的な選択肢まで、すべて私たちが分析するからです。つまり、完全なパッケージなのだ。このようなことが可能なのは、ビジネス・アナリスト、エコノミスト、コンサルタント、テクノロジーの専門家からなる、高度な資格と能力を備えた経験豊かな専門家チームがあるからです。私たちの優先事項の中で、お客様、つまり私たちのパトロンの皆様が一番になります。私どもにお任せいただければ、費用対効果に優れた付加価値の高いパッケージをお約束いたします。お問い合わせ電話番号 +18884296757電子メール:sales@astuteanalytica.comウェブサイト:https://www.astuteanalytica.com/購入前にこのレポートの詳細を問い合わせる:- https://www.astuteanalytica.com/industry-report/asia-pacific-smart-water-management-market配信元企業:Astute Analytica Pvt Ltdプレスリリース詳細へドリームニューストップへ...