私たちはふだん「宇宙は 3次元の空間+1次元の時間=時空の織物でできている」と信じて疑いません。
目に見えるもの、時計や定規で測れるものは、当然ながら“時空”を背景に展開していると考えているからです。
しかし、それは本当に「宇宙の根源的な姿」なのでしょうか?
アメリカのプリンストン大学(PU)で行われた研究では「時空こそ、もっと深奥な何かが織りなす“投影”にすぎないのではないか」という大胆なアイデアが浮上しています。
映画のスクリーンに映し出される映像が本体ではなく、映写機内部のフィルムにこそ本質があるように、私たちが“当たり前”と感じる時空も、より根源的な“何か”から投影されている可能性があるというのです。
研究者たちも「時空は何らかの形で消え去り、より原始的で深遠な何かに置き換えられなければならない」と述べています。
このような時空を否定する意見は、荒唐無稽に思えるかもしれません。
しかし似たような話は歴史上にもありました。
かつての人々は、水星から土星まで並ぶ惑星の配置に「宇宙の根源的な秩序」を見いだそうとしていました。
「惑星の配列のような巨大なパターンは宇宙の根本を反映しているに違いない。ならば惑星間の距離や配列パターンを知ることができれば宇宙の根源を理解できるかもしれない」と固く信じられていたからです。
しかし時代が進むにつれ、より多くの惑星が見つかり、その運動をすべて
...more一括して説明する“重力”という普遍的な法則が姿を現しました。
いわば、目に見える惑星の並びは、重力という“さらに深い原理”の投影だったのです。
この流れに似た視点で「時空」そのものを見直せば、私たちが日常的に当たり前だと思いこんでいる時空観すら、真に根源的な何かが形作る「投影」にすぎない可能性がある──そんな可能性を専門家たちは真剣に議論し始めています。
そこで脚光を浴びつつあるのが、「コスモヘドラ」という名前の不思議な多面体構造です。
コスモヘドラは私たちの時空観をどのように塗り替え、宇宙の仕組みをどこまで明らかにしてくれるのでしょうか?
研究内容の詳細は『arXiv』にて公開されています。
目次
“宝石のような図形”で物理法則を語ることができる時空の全てを多面体の物語に変換する理論が変える「時空」のとらえかた
“宝石のような図形”で物理法則を語ることができる
時空はより高度な概念の投影に過ぎない:コスモヘドラで時空は消える / “宝石のような図形”で物理法則を語ることができる/Credit:Canva
「コスモヘドラ(Cosmohedra)」については、まずはまるで“宝石”のような多面体──角ばった結晶のイメージを思い浮かべると分かりやすいでしょう。
このコスモヘドラは現在、宇宙全体の量子波動関数を一挙に再現できるかもしれないという、ちょっと信じがたいほど壮大な狙いをもって研究されています。
といって、いきなり「宇宙の波動関数を宝石の形で表す」と言われても、イメージが湧きにくいかもしれません。
そこでまずは、このコスモヘドラの“前身”ともいえるアッソシアヘドロン (Associahedron)を例に、考え方の大枠を見ていきましょう。
ここではまず空間を飛び回る粒子を、時空を前提とした計算式で表すことからはじまります。
たとえば、私たちが日常で想定している「時空」という座標系を使って粒子の衝突(散乱)を厳密に計算すると、時間と空間の情報を余すところなく書き下さなければならず、その手順は膨大になりがちです。
「いつ」「どこで」「どのように」衝突が起こり、衝突後は「どの向き」に粒子が飛ぶのか……そうした要素をすべて数式で扱うには、莫大な計算が避けられません。
ところが、近年登場した「陽的幾何(positive geometry)」という発想や、高度化したシミュレーション技術の応用によって、最終的な運動量分布を「多面体の形状」として一括管理できることが分かってきたのです。
(※陽的幾何は、数々の物理条件をまとめてう形で表し、その図形的性質を読むだけで重要な物理量が分かる、という優れた手法です。煩雑だった方程式が一つの美しい形に凝縮されるという、エレガントな魅力があります。)
例えるならば、「巨大なデータファイル(粒子の衝突情報)を、きれいに圧縮した多面体のファイルに変換しておき、そこから必要な情報を読み出すだけで元のデータを再現できる」というイメージに近いでしょう。
実際、アッソシアヘドロンを使うと数千行にもおよぶ膨大な方程式がぐっと短縮され、しかも結果が変わらないことが分かっています。
いわば、「複雑な数式を根気よく解くかわりに、決められたルールで作ったポリゴンや多面体の“辺”や“面”、“体積”を読み取れば事足りる」というわけです。
簡単に言えば「全体を覆う多面体の情報に内部の粒子の情報を全てコンバートでき、多面体の測定により内部粒子の状態をも知ることができる」ということがわかったのです。
その多面体の“辺や面、体積”といった幾何学的な性質が、実は膨大な方程式の答えと一対一に対応しているからです。
たとえば「この面に相当するのは〇〇という衝突パターン」「この体積を求めると、衝突全体の寄与が一気にわかる」といった具合です。
(※「もともと広がった空間・データを、よりコンパクトな境界・図形構造に落とし込み、それを読むだけで元の情報が再現できる」という点においてはホログラフィック原理を連想させる仕組みでもあります。)
ここで面白いのは、こうした計算過程でいったん「時空」(座標や時間の情報)を明示的に使わないことです。
“多面体がもつ純粋な幾何学的性質”を頼りにして、「結果的に従来の方程式と同じ答えを導き出す」仕組みを利用しているのです。
実際にやってみると、時空の座標を延々と追っていたよりも遥かにスマートに問題が解ける場合がある。
まさに、宝石のような図形ひとつで、物理学の煩雑な方程式を“置き換えてしまう”かのような感覚です。
便利と言えば、間違いなく便利でしょう。
しかしこの成果は、単に便利な計算テクニックをみつけたという話ではありません。
時空の存在をベースにした従来の大量の方程式を、時空の存在を考えず設定された多面体の測定だけで解けるという事実は、時空がなくても物理学は何とかなる……つまり時空はより根本的な何かの投影に過ぎない可能性を示しています。
この流れで登場する最新の形が「コスモヘドラ」。
アッソシアヘドロンは“粒子の衝突”に焦点を当てたものでしたが、コスモヘドラはもっとスケールが大きい──宇宙全体(“宇宙の波動関数”)を記述できるようにデザインされています。
時空の全てを多面体の物語に変換する
時空はより高度な概念の投影に過ぎない:コスモヘドラで時空は消える / 時空の全てを多面体の物語に変換する/Credit:Canva
もともと散乱振幅を表すアッソシアヘドロンは「粒子間の運動量をパズルのピースのようにつなげていくと、多角形や多面体が自然にできあがる」というアイデアから始まりました。
時空をベースに作られた大量の方程式には目をつぶり、運動量だけに着目してそれを矢印として描き続けていると、それらを繋ぐポリゴン(多角形)が出現したのです。
コスモヘドラは、このアッソシアヘドロンに“余分な面やパラメータ”を加えて拡張し、より複雑な「宝石」のような立体にまとめたものです。
イメージとしては「アッソシアヘドロンの各辺を少し“削る(Shave)”ことで、新たな面を追加する」という感じになります。
すると、その形がぐんと複雑になり、その分「宇宙の波動関数」のような巨大な系まで一度に扱えるようになるのです。
波動関数は物体を波として記述するときに現れるもので、たとえば電子を1つの波として扱う場合には「電子の波動関数」を用います。
また電子や分子などの多数の粒子からなる物体を扱う時にも、波動関数でその物体の波としての性質を現わすことが可能です。
この範囲には理論的に限りがなく、電子だけでなく、原子、ウイルス、そして人間といった巨大な系にいたるまで、厳密にいえば波動関数を用いて記述可能と考えられています。
したがって、究極的には”宇宙全体をひとつの波”として扱うことも理論上は不可能ではないわけです。
多面体を複雑にしただけで「宇宙の波動関数」のような大それた系まで扱えるようになるというのは信じがたいでしょう。
しかし、理論的には、運動量や因数分解に関する幾何学的なルールを拡張し続けることで、複雑さをさらに高め、ついには全宇宙をも波として記述する試みが視野に入るのです。
実際にそこまで到達できる...
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山尾志桜里氏の公認問題で政党支持率が急落した国民民主党。世論の猛反発をうけて公認を取り消したものの、時すでに遅し。「山尾叩き」の空気が一夜にして「玉木叩き」に変わり、事態はさらに悪化してしまった。想定外の深手を負った玉木代表は、いったい何を見誤ったのだろうか。元全国紙社会部記者の新 恭氏が詳しく解説する。(メルマガ『国家権力&メディア一刀両断』より)※本記事のタイトル・見出しはMAG2NEWS編集部によるものです/原題:辞退を拒否し出馬会見を強行した山尾氏を見誤ったか。玉木代表の大失策
国民民主党の支持率が急落、玉木雄一郎代表の大誤算
参院選への公認を国民民主党に取り消された山尾志桜里氏がSNSに「両院議員総会での決定について」と題する“抗議文”を公開した。下記はその一部だ。
「代表・幹事長の同席を希望しましたが、辞退会見であれば同席するとのお答えは大変残念でした」
6月10日に開かれた山尾氏の出馬記者会見。そこに、玉木雄一郎代表と榛葉賀津也幹事長の同席を求めたが、「辞退会見であれば同席する」とつれない返事だったというのだ。
それなら、会見前の時点で、党執行部は山尾氏が自ら辞退してくれることを望んでいたということにならないか。「辞退会見であれば同席する」というのはそういう意味だろうし、山尾氏に辞退するよう勧めていたとも受け取れる。
山尾氏は出馬が報じられて以来、週刊誌やSNSを中心
...moreに過去の不倫問題が蒸し返され、相手男性の妻が自死したこととの因果関係も取りざたされていた。党のあり方と山尾氏のスキャンダルとは別物であるとはいえ、支持者や党関係者からも、なぜわざわざメディアに叩かれる要素が満載の候補者を立てるのかと訝る声があふれた。
案の定、国民民主党の政党支持率は急落、玉木代表は記者会見のたびに山尾氏の公認問題について追及され、困惑の表情を浮かべていた。
玉木氏としては、いまさら公認を取り消すわけにもいかず、しだいに山尾氏自ら身を引くことしか、支持率落下に歯止めをかける手立てがないと思うようになっていったのではないか。
“8年前の不倫疑惑など、もはや時効”読みが甘すぎたか
党本部が「出馬会見」を渋る理由を山尾氏はわかっていたはずである。それでも、山尾氏に「辞退」という選択肢はなかった。こちらから頼んだのではなく、党の要請を受けて、決意したという自負があるからだ。
“抗議文”によると、山尾氏は昨年来、玉木代表から国政復帰の誘いを受けていた。今年に入り、あたらめて出馬要請があったので、その気になった。公認が決定したと党から連絡があったのは4月23日だった。だがその日に予定されていた公認の発表と、玉木代表、榛葉幹事長同席の記者会見は延期された。
5月14日、党は他3名の立候補予定者とともに山尾氏の公認を発表したが、宙に浮いていた出馬表明記者会見については、山尾氏が早く開きたいと望んでいたにもかかわらず、党はどうするべきか決めかねていた。会見で山尾氏がこれまで通り不倫問題についてノーコメントを貫けば、かえって火に油を注ぐのではないかと危惧したからだ。
山尾氏は6月4日、SNSに「出馬会見をさせてください」と投稿し、党にもその意思を強く訴えた。玉木代表、榛葉幹事長にとって難しい判断だった。当初、8年前の不倫疑惑など、もはや時効だろうとタカをくくっていたが、それはいかにも甘い見方だった。(次ページに続く)
【関連】石破自民vs野田立憲の八百長プロレスが「衆院解散」を禁止技にした理由。参院選後に「増税大連立」のフィニッシュホールド炸裂か?
不倫疑惑の説明から逃げる山尾氏。相手の妻は自死、世論は猛反発
週刊文春が報じた山尾氏の不倫疑惑。「男女の関係はなかった」と公言し、これまでそれに関するメディアの質問に山尾氏は全く答えていない。
しかも、不倫相手といわれる男性の妻が離婚後の2020年に自殺したことも同誌によって報じられている。そのため、世間には、他人事ながら山尾氏に憎悪の感情を抱く人々も数多いとみられた。
山尾氏が出馬会見をすれば、ノーコメントを貫いてきたそれらの問題について、記者たちから容赦ない質問が飛んでくるのは間違いない。山尾氏は憲法改正に前向きな国民民主党の理念に影響を与えた改憲論者であり、リベラル系のフリージャーナリストからはもともと厳しい視線を向けられている。
そんな不安に苛まれながらも玉木代表が山尾氏の出馬表明会見を認めたのは、うまく切り抜ける方策があるのだろうと、これまた甘い観測をしてしまったからにほかならない。山尾氏が自ら辞退しない以上、不倫などいくつかの疑惑について会見で説明責任を果たし世間を納得させるほか事態収拾の道はない。
だが、6月10日に開かれた山尾氏の出馬会見は、玉木代表らが期待したものとはほど遠い内容だった。予想通り、多くの質問が不倫疑惑に集中したが、山尾氏は、あらかじめ決めていた言葉を繰り返すばかりだった。
「新しく言葉を紡ぐことはご容赦いただけたらと思う。いろいろな思いの人がいて、いろいろな立場がある。今何かを話せば、さまざまなご迷惑をおかけすることもある」
何を言っているのかわからない。色々な思い。さまざまなご迷惑。いったい誰のことを気遣っているのか。記者たちは辛辣な言葉を浴びせかけた。
「奥さんを死に追いやったような方が優しい国づくりなんて、おかしい」
「山尾さんは不倫関係を否定した。ウソをつき続けるのか。それとも不倫を認めるか。答えないと立候補する資格はない」
記者たちの感情論には辟易するが、こういう質問に対して曖昧模糊とした言い方でかわそうとするのでは、うまくいくはずがない。捨て身の覚悟をもって、包み隠さず事実を話すしか、信頼される政治家として復活する道はないのではないか。(次ページに続く)
玉木代表に誘われ決意したのにいまさら「公認取り消し」か。山尾氏の言い分
危機に瀕して、山尾氏が何ら成算なく、会見に臨んでいたとしたら、驚くべきことだ。それだけでも政治家の資質に疑問符がつく。誤算と言うほかない会見内容に、玉木氏らは自分たちの甘さを呪いたくもなっただろう。
ただでさえ、山尾氏擁立で政党支持率が急落し、このままでは参院選が戦えないという声が党内にひしめいていたのである。この記者会見のダメージはことのほか深刻だ。
玉木氏らは、もはや山尾氏を庇うことはできなくなった。舟山康江両院議員総会長らが山尾氏に辞退するよう働きかけたが、山尾氏はそれを拒否した。このため、執行部の判断ではなく、両院議員総会での決定という理由で6月11日、「公認取り消し」を山尾氏に伝えた。
もちろん、山尾氏にも言い分がある。山尾氏は6月7日に商店街の一角で事務所開きをし、後援会会員や支持者らが党の機関紙10万枚以上のポスティングやポスター掲示などを続けてきたのだ。いまさら「公認取り消し」はないという思いが強いだろう。悔しくてならない気持ちもよくわかる。
しかし、驚くべきは「公認取り消し」を受けた山尾氏の反発の凄まじさだ。“抗議文”には以下のような文章が綴られている。
「党から正式な公認内定を受けても、党の都合で排除されてしまう政党では、志ある方も今後立候補の決断に躊躇してしまうのではないでしょうか」
「国民民主党には感謝しつつ、その統治能力には深刻な疑問を抱いておりますので、今後は一線を画させて頂ければと思っております」
「統治能力に深刻な疑問」「今後は一線を画す」。玉木氏への腹いせのような言葉には違和感をおぼえる。
たしかに、玉木代表や榛葉幹事長が中心となって小所帯でやってきた政党が、昨年の衆院選での躍進を境に急成長し、組織のガバナンスが必要とされる段階にさしかかっている。そのための運営ノウハウや人材が不足しているのは事実だ。それはなにより山尾氏がよく知っていることであろう。統治能力不足を指摘されれば、玉木氏も返す言葉があるまい。(次ページに続く)
“山尾叩き”が一夜にして“玉木叩き”に変貌、このまま参院選へ?
だが、山尾氏が玉木代表や榛葉幹事長の苦しい胸の内をおもんぱかることなく、今回の結末を党のせいにしてしまうような文面を公表したのは意外だった。その思考能力、発言力が非凡であるからこそ、そう思う。
とにもかくにも、今回の騒動で国民民主党は深手を負ってしまった。玉木雄一郎ともあろう政治家が、なぜこんな失敗をしてしまうのか。昨年の衆院選以来の人気上昇に調子に乗りすぎたなどと言うつもりはない。
新人議員が急増した党内に、頼れるベテラン議員が必要だったことも理解できる。そのための、現実的な方法として、山尾氏ら4人の国会議員経験者に声をかけたのだろう。
だが、組織...
七戸町立鷹山宇一記念美術館(大沢田亜希子館長)で開催中の特別展「竹久夢二と“かわいい”デザインの黎明(れいめい)期」の入場者が15日、5千人を達成した。節目の入場者となった青森市の会社員片岡美里さん(47)に大沢田館長から記念品として同展で紹介されている中原淳一の図録が贈られた。同展は大正ロマンを代表する竹久夢二を中心に、小林かいち、中原淳一と、大衆文化の華やかな時代を生きた3人のアーティストを取り上げ、木版画や書籍などを展示している。片岡さんは中学生の娘と共に訪れ、「全部かわいいけど、中原淳…