少女たちの青春を描いたアニメーション映画「リズと青い鳥」が4月21日(土)に公開となる。その中から本作のメインキャスト、鎧塚みぞれ役の種崎敦美(※崎は立つ崎)と傘木希美役の東山奈央への合同インタビューの模様をお届け。登場人物の繊細な心を演じきった二人から、収録の様子、役柄と同年代の高校生へのメッセージなどを聞いた。
【写真を見る】登場人物の気持ちを丁寧に演じた種崎&東山に、作品の魅力を聞いた
本作は映画「聲の形」(2016年)を手掛けた京都アニメーションの山田尚子監督らメインスタッフ陣による最新作。原作「響け!ユーフォニアム 北宇治高校吹奏楽部、波乱の第二楽章」から、みぞれと希美の関係にスポットを当てた完全新作となっている。
――みぞれと希美の物語が映画化することを聞いた際のご感想をお聞かせください。
種崎:二人の物語が作られると聞いた瞬間は、私たちは別々の場所にいたんです。私は昨年6月にあった「響け!ユーフォニアム」のイベントで知ったのですが、そのことがサプライズ発表された瞬間、「二人の物語の続きが見られる! みぞれをまた演じられる!」ということで号泣してしまいました。「(テレビ版の)どのシーンが描かれるんだろう?」などの不安ではなく、その時はただただうれしい気持ちがあふれました。
東山:私はその日に別のイベントがあったのでどうしても現地に駆け付けられず、後からTwitterで知
...moreりました(笑)。イベント後に検索したら、“劇場版3本公開! 2本目はみぞれと希美の物語”とあったので、びっくりしましたね。
みぞれと希美の物語は「響け!ユーフォニアム2」でかなり描いていただき、“雨降って地固まる”という感じでせっかくまた二人が仲良くなれたので、劇場版ということは二人の間に何か起きてしまうのかなと思い、希美を演じている親心としては心配になりました。でも、また希美たちが動いている姿に会えるというのは純粋にうれしかったですね。
――観客に向けてのサプライズはよく聞きますが、キャストの皆さんも完全に知らされていなかったんですね。
種崎:サプライズに腰を抜かしているキャストもいました(笑)。みんなうれし過ぎて立っていられない感じでしたね。
――台本を最初に読んだ時はどういった印象を受けましたか?
種崎:台本を開くと、二人の過去でもあり今でもあり、さらにその先でもあり、全てが詰まっていながらもギュッとまとまっている印象を受け、二人の心を本当に細かく描いていくんだなと感じました。
東山:「リズと青い鳥」というタイトルについては、「なんのことだろう?」と思っていました。でも、台本を読み終えてそこに込められた意味を知ると、このタイトルを見るだけでちょっと涙腺がウルっと緩んでしまうぐらい印象が変わりましたね。
希美に関しては、少し印象が変わっています。映画では二人の気持ちを丁寧に拾い上げていくが故に、テレビでは描ききれなかった希美の一面も表現されていて、最初はかなりびっくりしました。彼女の心を解きほぐすのに結構な時間がかかりましたね。
――今作では、二人と同級生の優子を部長とした吹奏楽部の様子が描かれています。
種崎:優子は自分のことを一旦置いておいても周りのことを考えられる子ですし、優子と夏紀が本当に良い子だなと改めて思いました。
東山:みぞれと希美を中心に話が進んでいきますが、優子と夏紀を含めた四人の絆も描かれています。登場人物の新しい一面もありますし、シリーズファンの方にとってはそれぞれの過去を知っている分、「最高学年としてこういう風に立ちまわれるようになったんだな」といった成長も楽しんでもらえると思います。
種崎:最初に山田監督から「『響け!ユーフォニアム』とは別の作品をやるくらいの気持ちで演じてほしい」と言われました。優子で言えば、1学年上がって部長になっているという“だけではない”優子を演じなければいけなかったので、優子役の(山岡)ゆりちゃんはだいぶ緊張していたようでした。
東山:この映画で初めて「響け!ユーフォニアム」に触れ、「優子部長ってなんて良い人・できた人なんだ!」と思った方は、テレビシリーズを見ると面白いと思います(笑)。
種崎:「違う人かな?」ってなるかも(笑)。
東山:ですので、この作品はこれ単体で見ても楽しめるし、シリーズを知っている人は奥行きがさらに深まる作りになっているのがいいなと思います。
■ 東山「すべてがクライマックスなフィルムに」
――キャラクターの成長についてのお話が出ましたが、収録でお二人は演じるみぞれと希美へどのようなアプローチをしたのかお聞かせください。
東山:今回の映画では希美のずるいところなども出てくるので、そういった人間らしさを私も知ることができましたし、ご覧になる方もより親近感が湧くと思います。
私は、やはり新しい映画として描くとしても、皆さんが好きな「響け!ユーフォニアム」のときのイメージを損ないたくない思いもあって。そのバランスを取りながら、「でもこれが希美なんだよ」と、新たな一面で皆さんにはっと驚いていただければと思いながら演じていました。
また、台本を読んだ当初は、私はみぞれにすごく共感してしまいました。逆に、自分の役なのに希美のことがよく分からなくて、「なんで大事なときに目を泳がせたり足を遊ばせたりするんだろう?」なんてことも思いましたね。みぞれへの思いを抱えきれずいっぱいいっぱいになっている希美を理解できるまで、少し時間がかかりました。
種崎:私が演じたみぞれは、“希美のことが大切”という点が一切ぶれずに変わっていないので、希美ほどの戸惑いはありませんでした。でも、冗談を言い合ったりする何気ないシーンがあるたびに、「これまで見せていなかった表情かもしれないな」と、改めて演技を考えました。希美にジョークを言って「何それ!?」と返してもらえる、そんなやり取りができることが私もすごくうれしかったです。
監督からはみぞれについて、「希美と一緒にいるときや話しているときは、常にクライマックスでいつ無くなるかもしれないという気持ちを持ってしゃべってください」と言われていたので、そのスタンスで演じました。
奈央ちゃんは「最初はみぞれに共感した」と言っていましたが、私は逆に希美の方に共感できました。これまでは希美を「自分と正反対で、なんてキラキラした子なんだ」と思っていましたが、この作品ではすごく人間らしい部分や「自分もこの気持ち知ってる!」というところがたくさん見えて、私はより希美のことが好きになりましたね。
――お互いが演じたみぞれと希美について、種崎さんは希美の、東山さんはみぞれの好きなシーンやせりふを挙げていただけますか?
種崎:私は希美の後ろ姿が大好きです。みぞれの視点で描かれる、希美のポニーテールが揺れる後ろ姿の描写が何度か出てくるのですが、それを見ているだけで泣きそうになってしまうというか。映画のポスターなどに「ずっとずっと、一緒だと思っていた。」という宣伝文がありますが、このことを思いながら見ると全然違う後ろ姿に見えるんですよね。今思い出しただけで泣きそう(笑)。
東山:ノスタルジーを感じる背中に見えますよね。
種崎:少女のその時にしか見られないきれいな瞬間という気がして、希美のシーンでは一番印象深いです。
東山:あれがみぞれの見ている世界だから、「みぞれが大人になって青春を思い出すときに、あの背中を思い出すんだろうな」と思うと…、エモさがありますね(笑)。
私は好きなみぞれの描写はいっぱいありますが、ネタバレにならないところとなると難しい…。でも、みぞれが本当に希美のことを好きでいてくれているんだなと感じられるシーンがいっぱいあって、例えば希美を見ているみぞれの目などは「なんてうっとりした目で見るんだろう!」と思います。希美としては何気なく振り返ったり笑いかけたり階段からぴょこっとのぞいたりしているだけなのですが、それをみぞれは「ギフト…!」みたいな感じで見ていて(笑)。そのみぞれの描写ひとつひとつがいとおしくなりました。
また、それを「ここまで絵で表現できるんだ!」と驚くぐらい、そういったかけがえのない一瞬の描写にとても力が込められているのが伝わってくるので、監督がおっしゃっていた通り、すべてがクライマックスなフィルムになっているなと思います。
■ 種崎「自分なりの答えを見つける助けにしてもらえたら」
――高校生の青春を描いている本作ですが、彼女たちと同じ高校生や同年代の方々も劇場に足を運ぶかと思います。そういった方々へ作品を通じて、もしくは種崎さんや東山さん自身からメッセージをお願いできますか?
東山:私は今26歳で...